【感想・ネタバレ】ソ連兵へ差し出された娘たちのレビュー

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Posted by ブクログ

他の人を助けるために性を売る女性。
自分の意思よりも日本の集落の上層部の男の人とソ連の幹部で決められた合意に従うしかなかった少女達。

そして他の人を守るとために自ら進んで売りに行く回数を増やした人や、身体を売った人に日本に帰国後、物好きだったなと言われる彼女達。

どこまで男性は卑怯なのかと思った
そしてそんな世の中腐ってると思う。私ならその言い方はないと若くても思うし、その場で伝える。
そんな集団なら抜け出して経験を語るべきだとやっぱ思ってします。

そうならない環境、同じ地域に住んでいて閉ざされた環境にいるのは恐ろしいことだと思った。

戦争を始めたのも男性で、犠牲になるのは1番弱いもの。
その当時は結婚が尊いもののように、
まだ結婚をしていない人のみに焦点を当てられて娼婦のように働いていた彼女達。
誰にも迷惑をかけたくないから経験を黙っている彼女達。

今はそんな時代ではないけど、実際に戦争での女性に起こり得る悲劇なんだなと思った。

そして今の時代を生きてる私は
そんな経験をしたら確実に暴露するだろう。と思った。
それには恥とかではなく、言わないとわからないことが多いと思ってるからだ。そしてそれは後世に確実に伝わらないと行けない経験だと思うからだ。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

ノンフィクション。。いや、フィクションですよね?と思うほど、現実に起こったとは考えたくない話でした。生き残った娘達の言葉しか残らなかったので、さらにひどいことや悲しいこともあったでしょう。。きっと世界で今でもあるんだろうなと思うと言葉にならないですね。。

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2024年04月12日

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非常に読み応えのある本だった。取材と検証を重ねて見えてきた事実。なかったことにされている声を掬い取る著者の見る力、聞く力、書く力。何より訴える力。決して知らないままでいてはいけないし、知った自分はバトンを受け取り考え続けなければいけないと強く思った。

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2023年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毎年8月には先の大戦に関する書籍を意識して手にするようにしています。

そんな中で手にした本書。

今までに手にしてきた戦争関連本とは全く違い、国策として満州へ渡った黒川開拓団の「接待」について著者である平井美帆さんが実体験を聞きまとめたノンフィクション作品。

「減るもんじゃない」
この一言は酷すぎるし、辛すぎる。

敗戦の直前になり突如として参戦したソ連。

北方領土の問題だけでなく、かつて満州と呼ばれた地もソ連軍により攻め込まれたことを改めて実感。

いわゆる従軍慰安婦の問題で戦争により女性が性の被害を受けた事実があることは知っているつもりです。

しかし、本書で語られるのはソ連軍に「接待」の名の元、貢物のように差し出された日本人女性の辛く悲しい歴史。

一億総玉砕の名の元、「特攻」という非人道的作戦にて命を落とした多くの若者は当然ながら男性であり、今までは男性視点での関連書籍しか手にしてこなかったことにも改めて気づかされました。

「戦争は勝っても、負けても、残酷。まして負けては、女や子供が犠牲になる」と玲子さんは語気を強めて語ったという。

当時の被害女性と同年代の娘を持つ父親として、胸が張り裂けるような思いをしながらも、目を背けてはいけないと言い聞かせ読み終えることが出来ました。

あの戦争から今年で78年。

多くの戦争体験者がお亡くなりになられ、年々後世に実体験を語れる人達も少なくなっているのも事実。

残酷な歴史から人類は何を学んだのか。

残念ながら地球規模でみればロシアを筆頭に今も戦争を起こしている国がある。

平和への願いと共に忘れては、目を背けてはいけない、歴史が記されていました。



【第54回大宅壮一ノンフィクション賞(2023年)ノミネート】

文芸評論家・斎藤美奈子氏激賞!
第19回開高健ノンフィクション賞受賞作

1945年夏――。日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだった。
崩壊した「満州国」に取り残された黒川開拓団(岐阜県送出)は、日本への引揚船が出るまで入植地の陶頼昭に留まることを決断し、集団難民生活に入った。
しかし、暴徒化した現地民による襲撃は日ごとに激しさを増していく。
団幹部らは駅に進駐していたソ連軍司令部に助けを求めたが、今度は下っ端のソ連兵が入れ替わるようにやってきては“女漁り”や略奪を繰り返すようになる。
頭を悩ました団長たちが取った手段とは……。

《開高賞選考委員、全会一致の大絶賛!》
作品は、共同体の「自己防衛」のために女性たちを「人柱」に捧げる「隠された暴力」の柔らかなシステムを浮かび上がらせている点で、極めて現代的な意義を有していると言える。
――姜尚中氏(東京大学名誉教授)

本書は、変わることのできなかった日本人の問題として悲しいことに全く色褪せていないのである。
――田中優子氏(法政大学名誉教授)

犠牲者の女性たちが著者の想いと心の聴力に気づいて、真実の言葉を発してくれたのだ。
――藤沢周氏(芥川賞作家)

この凄惨な史実をほぼすべて実名で記した平井の覚悟と勇気は本物だ。
隠された史実の掘り起こしだけではない。ジェンダー後進国であるこの国への果敢な挑発であり問題提起でもある。
――森達也氏(映画監督・作家)

ディテールの迫力が凄まじい。当時の触感や恐怖がそのまま立ち上がってくるような、生々しい感覚を見事に描き出した文章に圧倒された。
――茂木健一郎氏(脳科学者)

《推薦》
今日の「性暴力」にまっすぐつながる過去の「性接待」。その事実に、あなたは打ちのめされ、そしてきっと覚醒する。
――斎藤美奈子氏(文芸評論家)

【著者略歴】
平井美帆(ひらい みほ)
1971年大阪府吹田市生まれ。ノンフィクション作家。
1989年に高校卒業と同時に渡米し、南カリフォルニア大学に入学。同大学で舞台芸術と国際関係学を学び、1993年卒業。
その後、一時東京で演劇活動に携わるも1997年に再び渡米し、執筆活動を始める。2002年に東京に拠点を移す。
著書に『中国残留孤児 70年の孤独』(集英社インターナショナル・2015)、『獄に消えた狂気 滋賀・長浜「2園児」刺殺事件』(新潮社・2011)、『イレーナ・センドラー ホロコーストの子ども達の母』(汐文社・2008)など。

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2023年08月09日

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また私の知らなかった戦争が、ここに記されている。
戦争関連の本を読むたび、知らないことばかりだなぁ、とため息が出る。

内容はあまりにも衝撃的で、著者はよくここまで聞き出せたと思う。
やはり女性だからこそ出来たのでしょう。

敗戦直後の満州。
黒川開拓団は団を守るため、未婚の娘たちを「接待」の名目でソ連兵へ差し出す決定をする。
こうした接待や性的暴行などは戦時中の話として聞くことはあるが、衝撃なのは身内の男たちの態度だ。
「皆を守るため」と娘たちを選別して差し出し、誰も助けてくれない。
更にやっとの思いで帰国したら「汚い」と言われ、誰にも歓迎されない。
笑みを浮かべながら「減るものじゃない」と発言する
男。

無意識、無自覚の性差別には落胆しかない。

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

下手すると下卑た内容になりがちなテーマが静謐な筆致でまとめられている。
まずそこに感服した。
当事者目線で寄り添う筆者の温かい共感があったからこそ、このような大作が生まれたのだろうなと思った。
それにしても、当事者たち(特に善子、玲子)の強いこと。
しかし、彼女たちも、元から強かったわけではないだろうし、強くなりたかったわけでもなかったに違いない。
強くならざるを得なかった彼女たちの哀しい境遇に、今一度、男たちは思いを馳せてほしいと思う。
男たちの(日ソ、そして時代を問わず)卑怯さ、浅ましさ、薄さは、彼女たちの強さ、優しさと余りに対照的だった。

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2023年04月09日

タイトルから想像される事実は
この本にとって前半の部分のみ
後半は命からがら満州から
引き揚げてきた女性たちの
戦後の戦いだ

新聞で性被害にあった女性の体験談を
読んだことがあるが
男性にとっては加害の事実は
一時のことかもしれないが
女性にとっては一生続く苦しみ
だということを知った
その性差の感覚の違いは
どうしようもなく大きいのだ

男たちが口にする
「減るもんじゃないから」ではなく
「減るなんて生易しいものではなく
すり減って消耗して呑み込まれて
蝕まれて病んでいくもの」だと
抗議したい

だから作者が戦後77年もたって
過去の事実を執拗に追うのか
最初は抵抗があった
けれど最後に
「被害の事実を美化しないでほしい、
なかったことにしてほしくない」
という確固たる意思のもと
実名で取材を受けた玲子が
90歳を過ぎてもなお
当時の事を思い出して
眠れなくなるという事実に
驚愕を受けた

男たちが始めた戦争で犠牲になるのは
女や子供たちだ
そして今もなお戦争は繰り返されている
爆撃の映像の裏で繰り返される被害を
思うと無力な自分がただただ哀しい

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2023年03月18日

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「戦争」への憤りはもちろんのこと、「意識的なもしくは無意識な女性蔑視」への不愉快さで胸が悪くなる。
ちゃんと書物として世に出して残してくれてありがとう、という気持ち。我々は知るべきだと思う。

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2023年02月26日

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本著の最後の方で用いられた表現、人柱や人身御供が当にそれだと思った。読書を通じて薄らとは知っていた、強姦とは異なる取引。ソ連兵の要求に対して身を捧げた女性たち、それを開拓団が集団の防衛のためと組織立って行い「接待」と称した。無力な敗戦者は彼女たちに救われた訳だ。しかし、彼女たちに感謝も謝罪もないばかりか、心無い、汚れに触れるような扱いや言葉。その取引で交渉人が私益を得るような疑いまであったという、日本軍として武装解除後の無力感、意地汚さ、苛立ちと悲しさの混ざる思いだ。

戦争にも国際法があるとは言え、警察機能が麻痺した状態、かつ敵地において何を頼れば良いか。原始的な暴力と略奪を含む社会に戻り、生き延びるため、望まぬ選択肢は避けられない。しかし、許し難いのは、戦勝国だったならば、あるいは戦争が有利に進む状況下では、自分たち日本兵もそうした「接待」に近い待遇を得られたはずだったのだと、だから、立場が逆転すれば、日本女性も凌辱されて仕方ないと言い切る男たちの神経だ。クソ情け無い。

強引さが慰安婦問題の争点の一つだし、擁護派には、時代背景を言い訳にした主張もある。しかし、合意の下、対価を引き換えにしたとして、女性を兵隊の報酬として扱っていた事実は変わらない。自国女性が軍事行為の報酬ならば、敵国女性は更に戦利品として認知し易いのだろう。精神も肉体も自己管理し切れる程、人間は機械的ではないし、コンディションにもよる。だから、禁止令を敷いても違反が出てくる。しかし、組織が道徳感情を失っていては駄目だ。汚らわしい事という価値観は時代と共に変化するが、せめて救世主には感謝を。

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2022年12月18日

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戦争が狂気であることは皆が知る事だ。
中でも、他国で終戦を体験した人の生は、死ぬことよりも苦の連続だったことを知る。

接待という身体の提供により、団体の護衛を約束されるもの。
集団で願われ接待に出されたのなら、最後までその礼に尽くされるべきではないかと思うが、その扱いに接待は続いていたかのような非道さを感じるものだ。

たくさんの犠牲の上にあった命を考えさせられる一冊だっあ。

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2022年11月19日

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日本の敗戦は満州開拓団にとって、地獄の日々の始まりだったとあるが、そのなかでも団の皆を守るために犠牲になった女性たちは、悲劇というより他にない。

だが、彼女たちの心の叫びを文面で見ないことには、知らずに闇に埋もれていく。
悲惨なこともあったであろうで済まされ流されていくのは、避けてほしいと思う。
真実が見えなくなっていくことは、決してあってはならないはずだから。

彼女たちの書き記したメモがすべてを教えてくれる

《私は見た 父のにぎりこぶしに なみだ一滴》

《ソ連兵に引きだされ、友は馬にのせられ、どこへ行ったのか》

《乙女ささげて 数百の命守る 女塾で学んだ大和魂 音をたててくずれ落ちる》

《傷つき帰る 小鳥たち 羽根を休める 場所もなく
冷たき眼 身に受けて 夜空に祈る 幸せを》


一般に国家や国策との関係では、満州開拓団は
「棄民」、戦争犠牲者として語られる。
現実はそう単純な構造でもなく、そこに女性問題が加われば、複合的かつ重層的な性質を帯びる。
国内で差別問題に敏感であるはずの男たちですら、女性差別には無自覚でいられる…。

文中にもそうあったが、確かに男たちは口を濁す。
まるで関係ないことのように。
それが娘であってもそうなのか…。

死ぬまで逃れられない記憶としてあるのなら安易に過去として片付けられないと…。


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2022年10月31日

Posted by ブクログ

若い娘をソ連兵に「接待」に出しておいて、あとから「ロスケにやられた女」と負の烙印を押しつける。戦争が何をもたらすのか。目を背けてはいけない過去の現実。

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2022年09月23日

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戦争の貴重な記録であり生存者の生の声である。団の防衛と生存のため人柱にされた独身の女性たちの苦しみの声が聞こえる。そしてそれを強いた団の責任者達の「減るもんじゃなし」という女性蔑視、男尊女卑の思想が当たり前の社会の恐ろしさ。そして今も男の中に根強く残る女性差別。やりきれない思いだが、この本が心ある男たちに響いてくれたらいいと思った。

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2022年09月07日

Posted by ブクログ

 アジア・太平洋戦争では、日本の貧困や飢餓から村をあげて旧満州への移民政策が推し進められた。移民政策と同時に現地に住む中国人の住居を接収し、日本人に追い出された多くの中国人が困窮した。敗戦と同時に、中国人はかつて日本人が行ったとおり、日本人への略奪や暴行があいつだ。加えてソ連軍の進行で、帰国もできず対応を迫られる村人たち。相次ぐ集団自決の中、黒川満蒙開拓団では娘たち15人を「性接待」としてソ連軍に提供し、村人の人柱にされた。呼び出し係、事後の洗浄係、人柱としての娘たち。性病や感染症で亡くなる娘たち。やっとの思いで、帰国に途につくが、橋を渡る際に渡河する交換条件で蹂躙される娘たち。命からがら帰国しても、地域で蔑まれる娘たち。それでも生きて、必至に働き、過去の苦しみを抱き続ける娘たちの声を。戦争は、非戦闘員が犠牲になる。ウクライナの惨状に胸を痛めながら。

2021年第19回開高健ノンフィクション賞受賞作

傷つき帰る 小鳥(娘)たち
羽根(心) 休める 場所もなく
冷たき眼  身に受けて
夜空に祈る 幸せを

平井美帆:ソ連兵に差し出された娘たち.集英社,2022(1月30日第1刷発行)

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2022年08月18日

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開拓団でそんなことがあったなんて、でもあり得ることだと感じた。これ読むと、従軍慰安婦は確かに存在したのだろうと思う。
ソ連軍から女性兵の笑い声が聞こえた、と書かれているところがあり、同じ性でも立場が違うと人の痛みに鈍感、冷淡になれる、想像力の欠如にゾッとする。いや、ここで男の立場に立たないと自分が逆の立場になるという自衛の気持ちが麻痺させるのだろうか。平時は優しくて、リーダーとして振る舞っていた人が、犠牲者を接待に連れ出し、その後見ぬふりして生きていける厚顔ぶり。「非常時だったから」という言葉の冷淡さ。
その「非常時」から戻っても、感謝されず、いないものとされる、むしろ傷モノとしてさげずまれる。同じようなことがあった開拓団で、犠牲者が戦後大切にされたところはないのかね。ひとつもないのかね。おかしいと感じて反省するより、忘れた方が楽だからそっちに流れてしまうことに怒らないといけない。
男女雇用機会均等は、私には「女も男になれ」と聞こえる。家事に加えて長時間労働を課し、なのに低賃金(実際、私の会社では「男性は生活を支えなければならないので、給料面で配慮する」ということがあった。アホ?)。女の生活や人生はほぼ顧みられない。実際コロナ禍で自殺した人の数は20代女性が多いと聞く。そういう考え方はまだ強く残っている。
私は戦争で生活を奪われたことはないけれども、想像はできる。戦争を体験せずに済んでいるのは、両親、祖父母が作ってくれた平和であることに感謝。なのに両親、祖父母の世代の中に戦争を進めたがる声が最近聞こえる。
集団の輪の中に絡め取られてしまうと、自分がどう思おうと流れに乗ってしまう。逃げられない。そのような状況を作らないことが私がやるべきことで、その一歩としてこの本をお勧めします。95

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2022年08月18日

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このことは前から知っていた。その時はソ連兵が酷いと思った。もちろんそうだけど日本の男も帰ってからの周りの日本人も酷い。(残念だー。語彙力)日本人はこんな事があったと知っておかなければいけないよな。

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2022年08月07日

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敗戦後、当時の日本の傀儡国であった満州から、開拓移民団が引き揚げる際のノンフィクションと、その後の引き揚げ者からの聞き取りルポが中心。

1929年から約2年続いた世界恐慌の影響と人口飽和、耕地不足と言う問題解決のため、満州開拓移民の必要性が一部農学者から強く説かれ、それが関東軍の思惑と一致して、組織的な移民計画へと移る。
本書の日本側の舞台となるのが、岐阜県の黒川開拓団。貧しい村、貧しい家にとっては国の甘言に乗るのは容易いことだったのだろう。他の村などにも声をかけ集団で満州に移動した。
しかし現地で待ち受けていたのは、厳しい環境で、住居も現地の人を追い出して使用すると言うものだった。だが苦労して開墾を進める。

敗戦が近づくと、米英とヤルタ秘密協定を結んでいたソ連が、一方的に日ソ中立条約を破棄し宣戦布告を行う。ソ連兵は逃げ惑う農民、女子どもを手当たり次第に殺していく。自分たちの行く末に絶望した人々は、自分では死にきれないため、在郷軍人らに日本刀で切り殺してもらうため、長蛇の列をなしたという。
ソ連兵だけではない。それまで虐げられてきた中国人たちも暴徒化し襲ってきた。
黒川開拓団は迫り来る中国人から自分たちを守るために使った手段は、進駐していたソ連兵に若い独身女性を「接待」と称して慰安させることだった。

本来日本人を守るべき関東軍や行政幹部は、戦況が悪くなると、いち早く立ち去っていた。そして開拓団の取った人身御供提供の決断は、ごく一部の男性幹部。
命からがら帰国出来た団員は、接待のことを表沙汰にはしないどころか、ことを矮小化しようとする。

戦争はどれも男が始め、勝っても負けても一般人、特に女や子どもなどの弱者が犠牲になる。

あらゆる決め事を一方の性だけで行ってきたこの国は、自省を込めて戦後を歩んできたと言えるのか と言う筆者の言葉が心に深く刺さる。
きな臭い世界情勢の中、女性の視点も入れて、国々との対話が必要なのだろう。

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2022年05月26日

Posted by ブクログ

真実の前では言葉はあまりにも空疎だ。なのでコメントは差し控える。歴史の片隅で忘れ去られることが必定の事実を後世に書き残すことがどれだけ偉大な仕事か、改めて考えさせられる。第三次世界大戦の扉が開かれるかもしれないこのタイミングで、殺し合いとは別の戦争の悲惨さを追体験しておくことは無意味ではない。

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2022年05月06日

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中国残留孤児のノンフィクションがとても良かったため、同じ著者の本を読んでみた。

著者は中国残留孤児の取材をする中でソ連兵への性接待を知るに至り、この一冊にまとめあげた。
戦争という非常時に略奪、強姦はつきものとはいえ、味方であるはずの日本人男性が自分達が助かりたいがために進んで女性を接待に差し出していたというのは驚愕である。

少数の犠牲で多数を守るためという大義名分があったのかもしれないが、守られた男達は接待した女性に感謝するどころか、帰国してからは汚れた女と言いふらした。更に、ある女性に対してはロシア人のことが好きで積極的に接待に行っていたと言いふらしていたというから信じられない。
そのある女性は、妹が接待に出されないように自分が多めに接待に出ていたのである。

70年以上前の出来事、戦争という非常時だったと主張する男もいたが、根底にある女性差別、女性軽視の姿勢は現代にも通じるものがある。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

この10年ほどで、もっとも辛く気持ちが沈む、でもだからこそ知らなければならない、と思える本の一つでした。

ペルシャでもミシシッピでもポーランドでもベトナムでも、古来からずっとずっとずっと繰り返されているであろう、戦争とその中の人間たちの恐ろしさ非道さ。

法治や人権、尊厳は、紙のように簡単に引き裂かれ燃えていくのだということを知っている必要がある。

そんなことを考えながら、しっかりと目と心と頭に焼き付けました。

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2023年10月14日

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タイトルどおり『差し出された娘たち』の話し。差し出した男たちや差し出されなかったけれどそのことを知っていた女たち、それに娘たちを差し出されたソ連兵たちはどう思っていたのだろう。まあソ連兵は「ラッキー!」「当然じゃん!」なんだろうけど。自分が女だから、ことを進めた男たちには嫌悪しか感じない。今を生きているから「日本に帰る!」と思いがあったにせよ、こういう選択をした人たちにも嫌悪しか感じない。でももし自分がそこにいて自分が差し出される娘の一人だったら・・・?あるいは差し出されなかった女だったら・・・?戦争はつくづく男のものだ。

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2023年02月07日

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当時の娘たちのルポルタージュ。はじめは読むのが辛かったが、淡々と語る当事者が浮かび上がってくると、次第にこちらも冷静且つ静かな怒りが込み上げてきた。

反抗できない状況で言いくるめられ…。戦時下だからではない。著者も述べているが、現代にも同様のことは多々あると思う。

悲しいことに、読んでほしいと思う人はたぶん手に取らないでしょうね。

本にしていただきありがとうございました。

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2022年12月14日

Posted by ブクログ

昔、満州からの引き揚げ体験談に、そういった仕事をしていたとされる女性たちが、自ら申し出てソ連兵の求めに応じてくれたから、自分たちは日本に帰ることができたと書いてあった。あれは、本当に、自らだったのだろうか。そう申し出ざるをえない状況にあったのではないか。この本を読むと、そんなことを考えてしまう。どれだけの女性がつらい思いをしたのか。しかも、満州にいた時だけではなく、日本に帰ってからも、揶揄され、差別され、つらい思いは続いたのだ。

戦時性暴力のことを読むたび、「戦争は怖い」「戦争は人を変えてしまう」と思ってしまうけれど、その根底にあるものは平常時から醸成されている、とこの本は言おうとしている。女性の「性」が物のごとく消費され続けることに無意識・無自覚でいることが、悲劇の元凶なのだ、と。
犠牲は美しいものではない。
当事者にとってそれはいつまでも過去にはならない。
「ならば私たちも安易に過去にしてはいけないのではないか」

重い、重い話だけれど、何が行われたかをきちんと知っておきたい。

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2022年11月09日

Posted by ブクログ

戦時下での性暴力は、肯定しないが仕方がないと思ってたけど、確かに自分の娘がその立場になったら、仕方がないでは済まされない深い心の傷を負うところまで思い至らなかった。
安易な人身御供を選択した団幹部に心の痛みは無かったのだろうか?集団自決でも人身御供でもない選択があったのでは…。でも男尊女卑の風潮ではそこで思考停止になってしまうのか。残念でならない!

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2022年10月26日

Posted by ブクログ

きついな。厳しい。
何事もミクロとマクロがあるが、特に戦争について言えば、ミクロは悲惨以外の何もない。
弱いものからの目は、なおさらだ。

大陸の人間が大概獣みたいなもんだが、その時の、この判断が、本当にそれしかなかったのかどうかは、後で考えれば価値が変わってくるものだからそれだけで責める気はあまりないが、当然、今後にも備えて検証する必要はある。
しかし、あまりにも「男ども」の、クズっぷりが際立つ。
その場ではなくて、その後だ。
臭いものには一生蓋をする。それが、だめだ。
減るものじゃなしとか、喜んでたみたいな、気の遠くなるような外道な台詞。
だがそれは、そうしないと自分達も壊れてしまうからなんだろう。二度殺される、という、オトコ側の言葉は嘘ではないと思った。
あれだな、フロイトとか、ユングの世界だな。思い出したくないことに蓋をするから。一旦それを明るみに出さないと、解決しない。
向き合えば耐えられないからこそ、向き合わないと進めないものがある。
そういう本だと思う。

もちろんこの著者の視点が全てとも思わない。
男の性はでは、非人間的な業なのか。
綺麗事抜きの剥き出しの世界に、どう向き合うのか。

あっちこっちでぎったんばったんしながら、何かの正解に辿り着けるのか。

日本を取り巻く情勢を考えれば、否が応でもそれに直面する場面が、早晩訪れる気がする。

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2022年10月14日

Posted by ブクログ

敗戦直後の満州で起きた女性たちへの性暴力。終戦から80年近い年月が経とうとしている2022年の現在、被害者となった女性の肉声を収めることができる最後のタイミミングだったのではないでしょうか。

戦争を賛美してはいけない理由が何かと問われたら、その答えはここにあると思います。もちろん、答えはひとつだけでなくて、たくさんの理由がありそれぞれに優劣はなく、戦争反対の大きな理由の一つです。

彼女たちの悲劇の記憶。ただ自分の胸の内にひた隠しにしてきた人生というものに想像はできないし、安易に同情し理解したつもりになってはいけない。それでも、記録として残しておかないと、歴史から消えてしまう。安易な同情をすることもできずに、時に流され、なかったことにされてしまうのは、違うのではないか。

文中で「非常時だから」「しかたがない」という許容に対して、自分が犠牲にされない限り、という根拠のない前提が無意識にあるから、という一文があります。これが最も危険な考え方ではないかと感じます。
物事の責任を放棄し、思考停止してしまう。

いろいろと思うところのある一冊でしたが、安易に同情してしまいそうになるから、感情の起き所が難しい。被害にあってしまった人々に、自分ができることはないと思う。安易に同情することは、自己満足でしかないと思う。
少なくとも、同じ悲劇を繰り返さないことを目指すしかないのではないか。当たり前だけど、毎年この季節になると繰り返されるお題目ではあるけども、平和を自分達の後の世代へ継続してゆくことが、大事なことなのでしょう。

記憶を残すことでしか伝えられない事実はある。
全てを聞き取ることはできないかもしれないけども、自分が知ることができたことに関しては真摯に向き合わなければならない、と思います。

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2022年08月17日

Posted by ブクログ

もうひとつの「戦争は女の顔をしていない」だと思った。

第二次大戦敗戦直後の満洲。
タイトルからは、ソ連の蛮行(戦争犯罪)が連想される。もちろんそれも酷いが、メインではない。
本書で最も断罪されるべき存在は、自分達のコミュニティを守るため、ソ連兵に若い未婚の女性を差し出し「接待」させた日本の男たちだ

衝撃的な内容に、男として考えさせられることが多い。
男性こそ読むべき本だ。

「戦争で男は無力になっちゃう。女は男の人の食い物にされる」ー接待に差し出されたある女性の言葉だ。

結局、戦争の大義は、個人の人格を犠牲にして成り立つ。どんなに綺麗事を言っても、それが真実だ。

やはり、戦争は人間の顔をしていないし、どんな理由があっても許してはならない。
ウクライナの平和を祈らずにはいられない。

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2022年06月22日

Posted by ブクログ

 『生きている間に読むべき本』というものがこの世にはあると思う 本著もそのうちの1冊だと感じる

 第二次世界大戦で日本は敗れた 
その時満州開拓団に起こった悲劇がノンフィクションで綴られている

集団自決や子殺しという 命の尊さを顧みることすらできない 戦争が引き起こす道徳感の及ばない状況…
開拓団を守るために…と『接待』という名でソ連兵に差し出された 未婚の若い女性の悲劇…
綴られるのは人間のおぞましさだが これを直視しなくては今後の世の平和追求はあり得ないと思う

『性欲』とは一体なんだろうと思う
男性の性欲を満たすために女性が差し出されるとは 絶対にあってはならない行為だ
死ぬほど辛いレイプを 接待というあやふやな呼び名で強いられた女性が 帰国後は汚いと罵られる二重苦に落とされた事実を知るに至り 怒りと悲しみで胸が張り裂けそうだった
平和な時には守られやすい『道徳感、倫理観』が 戦争時には守られない
この世で1番恐ろしいのは 人間の我欲に他ならない
戦禍のような 非日常時にこそ人間の強欲が現れる
自分がどんなに清い心を保っていても それを侵す集団や体制には太刀打ちできないのが事実だ

人間とはなんだろう
性欲を初め、人の持つ欲望とはなんだろう
考えるほど 今この平和に思える日々が 実は嘘くさい裏側の世界のように思えてならない




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2022年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ソ連兵へ差し出された娘たち

著者:平井美帆
発行:2022年1月30日
集英社
(第19回開高健ノンフィクション賞受賞作)

岐阜県の黒川村(現在の白川町)の人々が、満蒙開拓団で満州に渡り、戦後、取り残される中でソ連兵に独身の娘を(形の上では本人同意のもとに)差し出して、「接待」をさせたという事実を紹介したノンフィクション。この本がスクープしたということではなく、もともと知られた話で、マスメディアでも報じられていたようだ。この本は、直接それを体験した(差し出された)人たちに取材を重ね、非常に分かりやすく明快に書いている秀作。久々に出会った4★本だった。

終戦となり、傀儡政権だった満州国が解放され、ほぼ力尽くで現地の人から奪っていた農地を放棄、そして帰国も出来ずに開拓団だけかたまって生きていれば、当然のことながら現地の人たちから仕返しをされる。暴徒に襲われ、物を奪われ、そして強姦もされる。なんとかしなければと、駐留しているソ連の治安維持部隊に団の幹部(男たち)が頼みに行く。結局、独身の若い女性を「接待」として差し出すことになった。ずっと行かせるのではなく、狭い簡易な接待場として使うスペースで、複数のソ連兵の慰め物にされる。村のみんなを守るためだ、みんなが生きるためだ、力を貸してくれと頼まれ、形の上では同意して、呼ばれると出かけていく。

でも、それではすまなかった。ソ連兵は〝公式に〟設定された「接待」枠だけじゃなく、若い兵士が強姦をするようにもなった。それに加え、中国共産党の八路軍と国民政府軍の内線が激化する中、どちらの兵隊かは分からないが、そちらから強姦されたことも。それはソ連兵への「接待」行為の後のことだった。さらには、引き上げる際、橋を渡る時にもその条件として「接待」が通行料として求められた。共産側か国民側かは、これも不明。そして、最悪なこともあった。開拓団幹部のある男が、なんと満人(満州族以外も含めて現地の人間をそう呼んだ)から金を受け取って管理売春をしようとしたのだった。恐らく、幹部の藤井軍平という人物。もちろん、させられる本人はそんなことを知らない。買った方の満人はすでにお金を払っているのに拒否とは何事だと激怒・・・

若い10代の彼女たちの犠牲のもとで、なんとか引き揚げてきたが、そこに待っていたのは彼女たちに対する蔑視だった。「汚れている」とされ、結婚できない、できたとしても姑からいじめられ、こき使われて早死にさせられる。団の幹部でその後、遺族会の幹部になった男たちからは感謝もお詫びの言葉もない。それどころから「減るもんじゃないし」という言葉を折あるごとに浴びせてくる。これほどの屈辱感はないだろう。

敗戦と同時に使命である開拓団たちを守ることを放棄し、いち早く逃げ出した関東軍。もぬけのからとなった軍の倉庫には豊富な食料が残されていた。しかし、それらも奪われ、生きていくために必要な塩をもらうために「接待」に差し出された娘たち。それを仕切ったのも、やはり威張り腐った団の幹部、すなわち男たち。集団自決を呼びかけていた連中が、自ら生きんがために娘を「盾」として差し出す。その上にいて一番安全ところで生き抜いたのは軍人、政治家、そして、もちろん頂点に天皇がいたことを忘れてはいけない。責任が問われたのはそのうちのいかほどだろうか。

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1945(昭和20)年8月9日のソ連対日参戦時、旧満州国で肉親と離別し、身元の分からない12歳以下の日本人児童が「中国残留孤児」。
13歳以上で旧満州国にいた日本人が「中国残留婦人」。ただし、男性も含まれていたため、正式名称は「中国残留婦人等」。

難民生活の期間は、ソ連の対日参戦から集団引き揚げが本格的に始まる約1年間。

「接待」役にされたのは、数えで18歳以上の未婚の女性。19歳か20歳ぐらいだと結婚しているケースがほとんど。黒川開拓団は600人余りで、おそらく15、6名、うち4人は満州で死亡。引き揚げてきたうちの8、9人も既に死亡。

満州開拓といっても、自分たちで開拓するのではなく、現地の人がすでに開拓している農地を安く買う(取り上げる)。地元の満人(満州族に限らず暮らしていた人々)は生きていけなくなるため、なんとかしてくれと開拓団に連日交渉して頼み込む。この強引な追い出しが、戦後の暴民による略奪や暴動につながったことは想像に難くない。

一家族に東京ドーム2個がすっぽり入るほどの耕地が割り当てられた。

満州開拓団全体で約4割強が命を落とした。

「開拓団を守るのか、このまま自滅してしまうのか、おまえたちの力にあるんだと男たちから言われ、本当に悲しかったが開拓団の何百名の命を救うために、泣きながら(ソ連の)将校のお相手をすることになってしまった」(21歳、善子)

「明日、団に塩がない。塩がなけりゃ、コーリャンご飯が食えへんで。その塩、もらわんなんで、頼む、行ってくれ!」団幹部の藤井三郎がセツを呼びに来てそう言った。

接待の後、元衛生兵と称する「アサヒ」が性病と妊娠予防にと膣洗浄をした。この効果があったかどうかは疑わしいが、妊娠をした者はなかった。

「接待」をした場所は、入植時に学校の教室として使われていた8畳~10畳ぐらいの部屋。そこに4人ほどの娘が、同数かそれ以上の人数のソ連兵の前に差し出された。

引き揚げ船に長春(新京)から乗るために新京に行く。無事に行くために、九州の元兵隊さんと男女関係になって守ってもらった。博多につくまでの関係。「博多別れ」と呼んだ。日本の港に着くまでの間、赤ん坊を抱いた母親が元兵士などを頼る光景はあちこちで見られた。もちろん、性的な関係が伴った。

善子は戦後落ち着いてから、団にいた男と2人になったとき、こう言われた。「ロスケにやらせたくらいなら、俺にもやらせてくれよ」。

1980年ごろ、遺族会の慰霊祭があり、酒席が終盤に差し掛かったころ、遺族会長の藤井三郎が善子に言った。「おまえはロモーズ(ソ連兵)が好きやったで」。同じ場にいた元団員の男も三郎の卑猥な口ぶりを真似してみせた。善子は抗議したが、三郎は謝らなかった。

満蒙開拓団の募集では、分村が行われたことがよく知られている。村長が決めたら、ほぼ強制的に村の一部の人たちが行かされる。黒川村も分村を行い、黒川村だけじゃなく近くの村からも集められた。村長の右腕として取り仕切った藤井軍平は、戦後、満州移民として国策の「盾」に使われたと強調しつつ、自分たちが団の娘を「盾」に使ったことは一切触れていない。

善子は、熊本県の来民(くたみ)開拓団の男たちにあったことがある。元団員の手記を手渡されて読むと、そこには開拓団の女たちが九州人として満州で辱めをうけることなく、日本国民のために自滅。大和撫子として満州で戦死してくれたことを誇りに思いたい、と書かれていた。それは善子を突き刺した。かたや女が犯されることなく死んだことを誇りに思うと讃える。かたや自分はみんなが生きるために犠牲になって「汚れて」帰って来た。私は大和撫子ではなかったのか。

結局、ロシア語が堪能でソ連兵との「接待」について交渉をした「辻」という人物と、元衛生兵と称していたアサヒは、元々性に関する仕事をしていて、南下してきたのだろう(両方とも開拓団員ではない)。

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2022年05月24日

Posted by ブクログ

従軍慰安婦については、強制連行と表現するのは適切でないというのが、日本政府の公式見解(閣議決定)になっています。

満州でも、婦女子は強制的に性の饗応者として差し出されたのではないと思います。
でも、当時の空気としてほぼ強制的な形で、ソ連兵の前にさし出された女性はいたものと思われます。
同じ空気を共有した、日本国民としての朝鮮国においても、同じように空気に強制された方はいたのだろうと推測されます。

そして、さらに、プーチンが戦場に駆り出した犯罪者集団によって、現在もウクライナで同じような、いや、犯罪としてのレイプ行為が行われているだろうというのは想像に難くありません。

自分の妻や子を守る気持ちがあるなら、ウクライナ支援についても積極的に行動しなければならない。
改めてそう感じました。

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2023年08月22日

Posted by ブクログ

「娘を殺して自分も死ぬ」・・無力感に苛まれ行きつく先。勿論、人の命を奪う権利などない。生きてこそ、その後の人生がある。語り継ぐこともできる・・満州で迎える終戦。集団自決を免れた黒川開拓団。それができた裏の事情。「接待」という的を得ない表現。尊厳を傷付けられた「犠牲者」たち。なかったことにはできない。陰がつきまとう。語ることのできない思いを慮っても行きつけない。それでも考え続けることが大切。平和への備え。選択肢のないその究極に至らぬよう、今何ができるのか。現在も異国で起きている出来事を前に頭をフル回転させる。
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本書に対して遺族会が抗議声明を出している。一旦は拳を下したようだが、関係者や地元白川町には相当なわだかまりが残ったことだろう。確かに故人や遺族を直接批難するような表現があり危ういものを感じた。終章では、現代の女性差別問題にも結びつけようとしているが、書を改めて欲しかった。多くの人がそれぞれの立場で悲惨な思いをした先の大戦。より弱きものを思えというのならば、日本進出により追い出された現地の方々の視点はどうなのか。テーマから逸脱したところで余計な対立を生んで欲しくない。戦争は微かな憎しみから生まれるのだから。

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2022年07月08日

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