【感想・ネタバレ】金環日蝕のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月13日

波に呑み込まれるように詐欺グループの一員になってしまっていた理緒。
自分から詐欺グループに突っ込んでいった錬。
対照的なようで他人からの暴力によって、さらに家族を守る正義感からこの道へ進んでしまった事を思うと似た者同士なのだろう。
一般人に見えた人にも裏の顔があり、人の顔は一面ではない事を思い知る。...続きを読む

2つの物語が重なった時よくあるパターンは、残り数ページで色々諸々が種明かしされ『あれはこれだったのか』とスッキリしてエンディングとなるのだが、この小説はその種明かしは早めに訪れる。しかしそこからの展開はエンディングに向かうというより第二章が始まったような濃さでまた引き込まれる。ものすごく長いエンディングと捉える事も出来るが。
最後の種明かしも明言はしてないが、確実にそれと分かる表現で伝え方が上手いと思う。

とにかく最後まで面白かった。
好きな作家さんがまた一人増えました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月06日

 詐欺をテーマにした面白くも恐ろしい小説。人間の悪意と残酷さが刻みつけるようで、読み進めるのが怖くて読み切るまで大変だった。
 様々な巧みな詐欺により登場人物達が続々と騙されていくリアリティある描写、そして読者的に信頼していたはずの人物すらある意味ではを働いていた部分などが特に恐ろしかった。そして彼...続きを読むらもまた詐欺をすることで感覚が麻痺したり、それを楽しんでいる自分を恐れ、良心を捨てきれないのにやってしまうのが恐ろしい。また詐欺に向かってしまうような理不尽で困窮した立場の話も多く出てきており、それもまたやるせなさや、それを強要するような人間の悪性に慄く。最後まで詐欺そのものの黒幕の姿が見えないこともタイトルも相まって恐ろしい。
 本作のラストでは詐欺をした過去もその才能もまた呑み込んでそうでない道を選ぶことができた人々のエピローグで話が締められている。詐欺の才能と本能を持つ人間は確かに存在し、そうせざる得ない状況に追い込まれることがある以上、詐欺は無くなることは決してない人間の必ず持つ多面性の一側面であり宿業のようなものなのだろう。だからこそ自らの宿業を認識した上でそれを跳ね除けていきたいという、か細いながらも強い希望を願わずにはいられない。
 

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Posted by ブクログ 2024年03月15日

犯罪を描いたこの物語
登場人物たちがするすると吐き出す嘘の数々
その度に胸が締め付けられ、そして愛おしくてたまらない


大学生の春風が引ったくりを目撃し、犯人を追いかけていると、通りかかった学ラン少年も追跡に加わる。
そんな場面から始まる物語は、青春ストーリー?
それとも学園ミステリ?
といった雰...続きを読む囲気。
ずいぶんと足の速い二人は、とっても魅力的なキャラで良いコンビ。
これからも軽やかに展開する予感……?


しかし第二章
同じ大学生の理緒が登場すると、ガラリと雰囲気は変わる。
理緒の妹と母親。
学ラン少年(錬)の弟と妹、母親、更に錬の隣人で友人の正人などが登場し、どんどん厚みを増していく。
そして最初はバラバラだったものが、次々と繋がっていく気持ち良さ。
今までの、これからの、全ての言動や描写に意味があり伏線なのだと気付き、音を立てて嵌っていく。


でも題材が犯罪なだけに、苦しく辛い場面も多い。
特に子どもたちを巻き込む犯罪は悲しい。
どうかあちら側の世界へ行かないで!

錬、あなたは一人じゃない。
もう一人で戦わなくていいんだよ。
ぎゅっと抱きしめたい……

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Posted by ブクログ 2024年01月14日

読書備忘録794号。
★★★★★。

阿部さんの著書は初です!
大大大満足です!
作品タイトルの深さに感動。

主人公的3人。北大2年の森川春風。
高2の北原錬。
春風と同じく北大生、志水理緒。

物語はひったくりの場面から始まる。
春風がご近所のお婆ちゃん小佐田サヨ子さんが家の前でひったくりに遭う...続きを読む場面に遭遇!
咄嗟に犯人の若い男性を追いかける春風。走りには自信があったが、追いつかない。
そして、同じくひったくの場面に遭遇した錬も犯人を追いかけるが取り逃がす。
そして犯人が落としてったストラップは、北大の写真展で配ったものだった。
事件に偶然係わった春風と錬は大学で犯人を捜すことになった・・・。

場面は変わり、とあるカフェ。犯罪に巻き込まれそうになって困っている高齢女性を手助けしている理緒。北大のボランティアサークルに所属しているようだ。理緒は高齢女性と打ち解けて、高齢女性の身の上話に相槌を打つ・・・。

ひったくり事件とカフェの雑談。一見無関係な事象は、6年前に起きた詐欺事件から始まった大規模な組織的詐欺犯罪で繋がりを持っていた・・・。必然と偶然の接触。

凄く良く練られたストーリーで、伏線も見事なので、備忘記録は止めておきます。笑
誰かを守る為にはなんでもやる・・・。
自分たちを不幸にしたやつは絶対に許さない・・・。
助けてくれた人には盲目・・・。
生きていくにはお金が必要・・・。

そのために、人は人を騙す。欺く。それは相手を大切に思うから。逆に相手を貶めるために。
人の心の闇ですね。人は簡単なきっかけで暗黒面に落ちていく。この物語を通じてまざまざと見せつけられました。

この作品の登場人物たち。みんな良い!
春風と錬の信念はすごかった。欺き方も。
そして理緒の妹、奈緒がすごく強かった。
陽&翠。まっすぐ育て!
そして春風の兄、夏夜は妹から定常的にDVを受けている。
鐘下も過去に不幸を抱えているのだろう。
そして潤。家族の元に戻って欲しい!
辻正人。世界的なデザイナーになるんだぞ!

まさに金環日蝕の中心は黒い闇だ・・・。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月10日

面白かったー!
現代の闇というか、日本が抱える貧困問題が身近にも起こり得ることだと改めて感じた。
探偵役の主人公もとても好感が持てる。
大好きなタイプのオチ。
一気に読めました。

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Posted by ブクログ 2024年01月08日

たまたまひったくりの現場に出くわし、その犯人を突き止めようとする女子大生と男子高校生。あらかじめ期限とした二日間の調査は犯人らしき人物を突き止めるに至るものの、その本人に接触できないままに終わったはずだった。その一方で、不穏なある仕事に手を染める少女と謎の男。苦難の中で、それでも優しさや希望を感じさ...続きを読むせられる物語です。
まずメインとなってくる春風と錬のコンビが良いなあ。にわかコンビだけれど、彼らの会話などが読んでいてとにかく楽しいし、ひったくり犯人を追う「探偵」パートには本当にわくわくします。彼らの家庭の明るさや楽しさも本当に素敵。逆に真面目に頑張っているのに苦労ばかりの理緒のパートはつらく、なのにさらにとんでもない状況に巻き込まれていきそうなところがやり切れなくて。明暗の対比がしんどいなあ、と思うのですが。
しかし春風や錬の過去は決して順風満帆なものではないし、逆に理緒が何もかも恵まれていないわけでもない。誰にでも絶望と希望がある。そして人間の善悪もどちらか一方しかないなどということはない、という当たり前のことを気づかされます。ついついどちらか一方の強いほうを見てしまいがちだし、特に悪いことがあるとそちらに呑み込まれそうになってしまうのですが。どんなに小さくとも光を信じたい気持ちになりました。

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Posted by ブクログ 2023年12月26日

「輪郭は強烈な輝きを放っているのに、
彼の心の中心は闇に沈み、謎めいたまま─── 」

ひったくりの現場に居合わせた大学生の春風と高校生の錬。
二人は探偵コンビのように犯人に辿り着くがそれだけでは終わらず、特殊詐欺事件に繋がっていく。
伏線多数。
ひとつひとつ繋がっていく面白さと苦しさ。
丁寧な社会...続きを読む派ミステリーでした。

家族を支える大学生の理緒。
正義感が強く向こう見ずでお節介な春風。
賢くて大人びた錬。

「人間の顔ってひとつじゃない。置かれた状況でいくらでも変われる·····」

大切な家族を守りたい人たちが、どうしょうもなく巻き込まれていく場面は苦しくなった。
光り輝く眩しさと、深く暗い部分がコントラストになって現れるストーリーと、
『日蝕』の蝕むという漢字、装幀も見事でした。

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Posted by ブクログ 2023年10月09日

面白かった。少し前に似た設定の作品を読んだので、続けて読まない方がよかったかなと思ったけど、面白くてあっという間に読めた。

私が読んでて気になってしょうがなかったのが、謎の人物"カガヤ"。ずーっと何者か分からなくて、途中で分かったと思ったら、最後でそれが違ってるわで終始&quo...続きを読むt;カガヤ"に振り回された感じがする。正体が分かった時、はぁ〜、違うの???となり騙された。今までバラバラだった事が最後で繋がって全て分かった時の爽快感。素晴らしい。始まりから気の抜けない物語。

考えさせられたのが、学生の貧困、ヤングケアラー、ブラック企業の問題。その箇所を読んでてズンと重くのしかかってきた。助けてくれる人がいれば良かったのに…。行政なんとかしてよ、と読んでて強く思った。

スーパー高校生"北原錬くん"が"カガヤ"と同じ側に行きませんように。

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Posted by ブクログ 2024年02月21日

主人公がひったくり現場に遭遇したことをきっかけに、さらに大きな事件に巻き込まれていく話でした。
 女子大学生と男子高校生のかわいいバディものかと思ったら、違いました。

現代日本の闇が色々と出てきました。読みやすく、悪くなかったと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月10日

ひったくりの被害に遭遇した女子大学生と男子高校生が犯人を探し求めるが、このことが過去の大規模詐欺事件へと繋がっていることに気づく...。
400ページとボリューミーだけれど1日で読み終わるほど惹きつけれた作品❕。
特に登場人物一人一人の個性的なキャラクターが面白かった。(錬とその兄妹の掛け合いが携帯...続きを読む小説みたい)
序盤から錬という少年の頭のキレや行動になんか裏がありそうに感じながら読み進めていたが、まさか彼も父親と同じように人を騙し(錬は悪事をしておらずいい意味で)ていたとは。詐欺で家族を含めた多くの人の人生を狂わせた父親と同じ行動(目的が違っていても)をとっていたのがどこか皮肉めいている。
犯人探し自体はスムーズに解決されたけれど、錬に似た男性の写真など未解決の部分もあり少し心残り。作者さんはあえて残したのかな❔

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Posted by ブクログ 2024年02月09日

ページターナー本。一気読み必須。
ひったくりにあったおばあさんを助けたことが、思いもよらない展開に発展していく、その裏切られ感がなかなかよい。次々と展開する第二の顔、第三の顔に翻弄させられるのもまた楽しい。
それぞれに深い傷を負った若者たちが、トラブルを解決する中で自分を成長させていく。でもそんなに...続きを読む簡単に傷は癒えないわけで、続編がありそうな予感。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

人は綺麗事では生きられない。
犯罪に手を染めたくなくても手も染めてしまう人、息をするようにそれを行う人、実際にいると思う。そんな人たちが一つのきっかけで集まって事を明らかにしていく。


犯罪に巻き込まれた人が犯罪を犯す側にもなる、という、これって当たり前を壊された時の反動なのだろうか。これでもかっ...続きを読むて犯罪に巻き込まれた人と犯罪を犯した人が集まっているのがエクスペンダブルズ的なものを感じる。

各登場人物の心情は結構しっくりきたけど、主人子にだけ同調しきれずに終わった。相性がよくなかったなぁ。

2024.2.4
18

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Posted by ブクログ 2024年01月05日

何となく、経済小説の様な気がしてた。
経済っちゃ経済なのかな。
登場人物が皆、魅力的。
割と厚みのある本だったから心配だったけど、
一気読みでした。

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Posted by ブクログ 2023年12月27日

近所に住む老女がひったくりに会う現場を目撃した女子大生の森川春風(はるか)は、偶然居合わせた高校生の北原錬と共に犯人を追いかけるも取り逃がしてしまう。犯人が落とした物を手掛かりに犯人探しをする二人。やがて犯人と思しき人物に迫るが…
一方、苦学生の理緒はバイト先で知り合ったカガヤという年上の男に惹かれ...続きを読む、言われるがままに闇の世界に足を踏み入れて行く…

主人公の春風の正義感溢れる“人となり”がまずもって魅力的。脇を固めるバイプレイヤー達もいい味出してて、人物描写が上手い。春風と錬のかけ合いも微笑ましい。物語は春風視点と理緒視点が交互に進む構成。ミッシングリンクというべきか、両者の共通点が時にじわじわ、時に急転直下に交わる展開がとにかく読ませるのだ。

親子の絆、兄弟姉妹の絆、○○(とある犯罪)、等色々と考えさせられる要素もあり、勉強になった。
《以下引用》P253
心理学では、親は子供の精神的根幹を形成するもっとも重要な存在として扱われる。大きな安定した存在に保護され、慈しまれる経験を重ねることで、人は自分の存在を肯定する感覚と世界そのものへの信頼を獲得する。

このミステリーがすごい! 18位

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Posted by ブクログ 2023年11月05日

大学生の春風(はるか)と、高校生の錬。
ふたりは高齢女性がひったくり被害にあう現場に遭遇し、知り合い、犯人探しをする。
それが、大規模な詐欺事件に繋がっていくとは。

春風の子ども時代の誘拐犯人。
錬の父親である加賀谷潤。
この2人に関する謎はのこったままなので、続編があるんだろうか?

この本は結...続きを読む構長い話で、わたしは読みながら、何度も同じ話をされている気すらしてしまった。
おそらく、春風という真面目で正義感のつよいキャラクターが話す内容が、同じような正論だったからだろうか…。
錬の正体がわかったあたりがハッとして、おもしろさのピークで、その後は特に長く感じしてしまったな。

苦学生な女の子が詐欺に巻き込まれていくところは、読んでいてすごくもどかしくて、あ~なんとか手を差し伸べられないか!どうすれば良いんだ?と考えたりした。真に迫っていて読みごたえがあった。

殺人事件がおきない、詐欺をテーマにしたミステリー小説はめずらしい。
金環日食というタイトルも、本文中にはっきりと言及がないあたり、謎を呼ぶ感じがして気になるタイトルだ(続編を見越して「日食月食」シリーズにしたいのかな?なんてことも考えたりした)。
わたしは、このタイトルから、太陽が月によって覆われ、その後また月の影から太陽が現れる。しかし一度月に覆われた世界は、覆われる前の世界とは変わってしまっているような(現実にはそんなことはないが)、一度暗くなった世界がまた明るくなるけど、完全に元通りではないということ、犯罪被害者や加害者家族、犯罪にかかわってしまった登場人物達を通じて表現したかったのかな?なんてことを考えた。

登場人物が背の高い美人女子大生(春風)と、メガネをかけたイケメン男子高生(錬)とあって、「これは実写化しやすそうな設定だ」と思ったけど、実際には映像化がむずかしそうな内容だったなぁ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月16日

なんか、凄いの読んじゃいました…って、読み友さんのおススメではあったんだけど、想像の上の上を行かれた感じ。

さっそく未読の読み友さんに紹介しておきましたけどw

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Posted by ブクログ 2023年10月06日

出てくる人みんな重要人物。なかなか進まなかったけど途中から面白かった。最初題名にしては軽い話だなあと思ったけどそんな事なかったね。

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Posted by ブクログ 2023年09月30日

前半のほのぼの加減、といってもきっかけはひったくり犯を追いかけるところではあるが、春風と練の人間関係が出来上がっていくのと、後半一気に人の本性みたいなのが暴かれていく対比に驚いた。

詐欺とかプレーヤーとか受け子とか、非常に身近なところから始まっているんだと恐ろしくなる。
最近電車内の広告などで闇バ...続きを読むイトへの注意喚起をよく見るけど、時給が良いとか、先輩に紹介されたとかで簡単に足を踏み入れることができる世界なんだね。
そういう犯罪のターゲットになるのも怖いけど、子供たちのすぐ近くに闇があるというのを想像しただけでゾッとした。

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Posted by ブクログ 2023年09月14日

阿部暁子さんの作品は『どこよりも遠い場所にいる君へ 』に続き2作目
しかし!今回はあまりにも印象が異なり衝撃を受けた。

読み進めるにつれ、冒頭に漠然と抱いていたイメージがどんどん趣を変えていき、作中の表現を拝借すると「白と信じていたものが、次々とひっくり返り、見る間に黒に染まっていく」驚きと戸惑い...続きを読むを感じた。

場面展開もスピード感があるので、二転三転する展開に心地よく転がされたが、数日間を行ったり来たりする箇所が何度もあり、そこは些かスムーズでなく緩慢な印象を受けた。

本作のメインテーマは「詐欺」だが、決して私たちの普段の生活と遠い所で起きている訳では無く、どちらかと言えば気付かないだけで、すごく身近に潜んでいるかもしれないという感覚を覚えた。きっと人物の描き方がとても魅力的で親近感を抱いた影響だろう・・・
またその一方で、情報飽和社会の中、意識するしないはさておき、詐欺の片棒を担いでしまうケースも少なからず存在する時代になっているという危うさも感じた。

詐欺で騙される側ではなく、騙す側にフォーカスした内容なので、好き嫌いも分かれるところだと思う。

これからの時代は特に、被害者、加害者いずれであっても犯罪に巻き込まれるかもしれないリスクを考えて行動することの重要性を考えさせられた。
詐欺はますます多様化し巧妙化する。
平和大国日本、アジアでは平和国トップと言われる日本だからこそ、幼い頃から教育の一環として防犯や護身の術を身に付ける必要性があると感じた。

余談だが、タイトルは『金環日食』ではなく『金環日蝕』
敢えて「蝕む」という字を使われた意図を考えてゾワゾワしてしまった。

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Posted by ブクログ 2023年08月19日

詐欺に手を貸す女子大生。お金のため、好きな人の力になりたいと動機もそれに伴う苦悩もきちんと描かれていていけない事をしているのに捕まって欲しくない、幸せな生活をしてほしいと願いながら読む。主人公の女子大生は正義が全面に出て心理学を学んでいる割に自分の考えを相手に言ってしまう。昔の私みたいで好きになれな...続きを読むかった。
穏やかな読書ばかり読んでいたので最初刺激強かったらどうしようと時間がかかっていたがほとんど大学生以下が中心だったのでどん底までいかず中間下ぐらいの暗さ、人間の心理状態??だったので読破できた。

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Posted by ブクログ 2023年08月13日

阿部暁子さんと言えば、ライト文芸やノベライズ本などのイメージで、中学生にも人気のタイトルがある。

そのイメージからいくと、今作は表紙からちょっと違っていたので、どんなストーリーなのかとても気になっていた。

いやー、久しぶりに、ページを捲る手が止まりませんでしたよ。
読み始めからは想像もしなかった...続きを読む展開。
どんどん深みにハマっていきました。

主人公の無駄に正義感の強い大学2年の春風(はるか)と、ひったくり犯を追ったことをきっかけに犯人探しの行動を共にするようになる高校2年の錬(れん)。
犯人まで後一歩と迫るが、それ以上足跡を追うことができず、諦めるはずだったが…。

登場人物達は、確かにライト文芸に出てきそうな容姿の持ち主だったりするけれど、話の運びがスピーディーで、どんな風に展開するのか手に汗握る感じだった。
錬の母由紀乃が語る、過去の出来事の時系列がちょっと分かりにくかったけれど読み返せば大丈夫。
次回作も楽しみ。
2023.8

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Posted by ブクログ 2023年02月05日

 特殊詐欺の実態と裏側を描くサスペンスミステリー。
 物語は、本編5章と序章および終章の7章からなり、2人の女子大生の視点で交互に語られる形式をとっている。

     * * * * *

 阿部暁子さんの巧みな構成が際立った作品でした。

 ひったくり発生、通りがかった春風による犯人追跡と、のっ...続きを読むけから息もつかせぬ展開で始まります。
 春風の為人がよくわかる描写で、後半のための伏線になっているところも合わせ、うまい序章だと思います。

 森川春風と志水理緖。
 北海道大学の2年生と1年生。性格から生育過程や境遇まで、ほぼ正反対の2人。その点を活かした描写もうまい。
 春風視点のときはアップテンポで明るく安心感があるのに対し、理緖視点のときはイヤミスの如き暗さで読むのに忍耐が必要なほど。それが交互に配されるという、読み手を退屈させない緩急の付け方は見事のひと言です。

 また共演者もよく考えられていました。
 春風には錬、理緒にはカガヤか鐘下。彼ら共演者の持つムードが主人公を絶妙に引き立てていました。

 そしてタイトル『金環日蝕』。

 ひったくり。特殊詐欺。事件の輪郭はわかりやすい。なのに真相部分は暗くて見えない。
 さらに春風や錬、サヨ子、はては加々谷や鐘下など、事件に関わる人物の陰の事情や真の顔すら、表面上からは見えない。

 言い得て妙のタイトルだと思います。

 さてストーリーを引っ張る探偵役を受け持つ春風と錬について。

 ともに聡明で度胸もあって魅力的に描かれていました。その息のあった名コンビぶりは読んでいて楽しかったです。
 ただ、錬の高校生離れしたと落ち着きと臨機応変さや、2人が危機に瀕したときでもあまりハラハラしないような作りはリアリティという点で「?」がつきますが、ご愛嬌として受け止めておくことにします。

 次作があるのではと期待しています。

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購入済み

金環日蝕

2023年01月30日

ティーン向けっぽいキャッチーなキャラクター設定で、貧困や詐欺など薄暗いテーマを描く、学生探偵バディものでした。
張られた伏線を最後は少し強引にまとめられている感じがしました。謎が残ったままに感じられる部分もありましたが、余韻が残って良いのかもしれません。

#ドキドキハラハラ

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Posted by ブクログ 2024年01月28日

ひったくり犯を追いかける事から始まる大学生の春風と高校生の錬。そこから意外な展開に。犯罪は身近なところにあるものだと思わされる。そしてその背景や心情にもスポットを当てていて同情する点も見えた。そうするとなかなか憎めないもんだ。

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Posted by ブクログ 2023年11月29日

『金環日蝕』というタイトルには文豪を思わせ重厚な響きで煙たく感じていた。読み初めて女子大生の春風と高校生の錬が織りなすひったくり犯人捜しの爽やか系青春物かと拍子抜け、更に引ったくりに遭ったのが70歳の老婦人とあり、アラコキの私はカチンと来て読む気が失せかけた。しかし、次の章で理緒らが出てきて異なる展...続きを読む開に気分を持ち直して読み終える。
本作中の『”金環日蝕”とは中心は暗闇に沈んで何も見えないのにその輪郭だけが強烈な輝きを放つ。今自分たちが相手にしようとしているのはそういう存在だ』に、主人公のふたりはそういうことだったのか得心できた。
納得がいかなかった錬の父親。するりと人の懐に入り込んで詐欺という犯罪を犯す憎めない人物だ。彼は本作の最後まではっきり本書に登場しなかった。犯罪者はみな複雑な事情を抱えていて同情できるし、犯罪に手を染める染めないは紙一重というのも解る一方で、簡単に頷けない。
調査対象の老夫人が「いくらお金があってもさびしい」と言うのに対し、理緒は「お金がないことのみじめさを知らないから、そんな生ぬるいことを平気で言えるのだ」と考えるシーンがあった。うら若い理緒を老いの孤独を知らないだろうと責められない。詐欺を許せないのは、私が運よく平凡な環境に生まれ育ったからかもしれないが、経済的に満たされている人にも不遇は数えきれないほど存在している。1章で溌溂と振舞っていた春風が、思いがけない過去の闇を背負っていたように。
誰か教えて欲しい。ラストに大学で撮られた写真は錬でなかったような箇所があったけれど、あの写真はいったい誰なのでしょうか?

♬~冒頭で引ったくりに遭った老女さんが単なる被害者ではなく、後半部で昔の詐欺事件の関係者であったことが分かった。彼女が一方的に年寄り呼ばわりされなかったことに胸がすく思いでした(笑)

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Posted by ブクログ 2023年11月20日

近所のよく会うおばあさんが、目の前でひったくりにあった。女子大生の春風は、その犯人を現場に居合わせた高校2年生の練と共に追いかけるが、取り逃してしまう。
大学2年の春風は、高校2年生の練と、犯人探しを始める事になる。

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Posted by ブクログ 2023年10月30日

とてもまとまっている。どこで繋がるのだろうと思っていたら、想定外の方向から繋がっていく。出てくる登場人物、春風さんも錬くんも理緒ちゃんもカッコいい。詐欺が話の大本だから、カッコいいは間違った表現なのだが、皆若いのに守りたい者を守ろうと頑張っている。どうしてこの題なんだろう。この表紙なんだろう。世間か...続きを読むらはみだしている人々を書いているから?それぞれの重たい過去に負けないよう戦っている姿勢もカッコいい。

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Posted by ブクログ 2023年10月05日

前情報をあまり入れずに読む。
学生さんたちが主役らしく、思ったよりライトな文章。こりゃハマらないかなぁと思いつつ、やっぱり軽めでハマらないんだけれども。

途中でギュンと面白くなる感じがあった。
あの人やその人が入り乱れてくる感じで内容は面白かったです。

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Posted by ブクログ 2023年09月21日

装丁から想像するよりもキャラクターやセリフ回しがライトだった。読みやすいが個人的にはあまり好みのストーリーではなかった。(ミステリーは好きだが犯罪小説は苦手)ただ、前評判通り、次々と進む展開が想像できずにぐいぐい読んでしまった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月19日

ひったくり事件から始まる二転三転のストーリー。
最初は詐欺に纏わる手口の物語かと思っていたが、主人公たちが謎の詐欺師との関わりの中で欺し欺され絡み合う青春ドラマだった。
犯罪に関わる物語であるにもかかわらず、警察や大人たちが入ってこない物語作りは面白いが、謎解きに関しては辻褄合わせが多すぎる気がする...続きを読む
また犯罪は別としても、騙したい、騙されたいという人間の本質にもう少し切り込んでほしかった。

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Posted by ブクログ 2024年01月01日

初読み作家さんなのですが面白く読めました♪

とある木曜日の夕方、大学から帰ってきた森川春風ハルカは近所に住む70歳の老女が引ったくりに遭う場面に出くわす!
そこに偶然同じように犯人を追ってくれた高校生の北原錬クン。
2人は犯人が落としていった手作りキーホルダーを手がかりに犯人捜しを始めたのだけど....続きを読む....

ああ同じ高校の先輩後輩コンビの犯人探しの話なのかな?と思ってたら思いがけずとんでもない方向に進んでいきます‼︎

なかなか上手いし、特殊詐欺事件という時流もきちんと取り込んであり面白い作品でした♪

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