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Posted by ブクログ
波に呑み込まれるように詐欺グループの一員になってしまっていた理緒。
自分から詐欺グループに突っ込んでいった錬。
対照的なようで他人からの暴力によって、さらに家族を守る正義感からこの道へ進んでしまった事を思うと似た者同士なのだろう。
一般人に見えた人にも裏の顔があり、人の顔は一面ではない事を思い知る。
2つの物語が重なった時よくあるパターンは、残り数ページで色々諸々が種明かしされ『あれはこれだったのか』とスッキリしてエンディングとなるのだが、この小説はその種明かしは早めに訪れる。しかしそこからの展開はエンディングに向かうというより第二章が始まったような濃さでまた引き込まれる。ものすごく長いエンディングと捉える事も出来るが。
最後の種明かしも明言はしてないが、確実にそれと分かる表現で伝え方が上手いと思う。
とにかく最後まで面白かった。
好きな作家さんがまた一人増えました。
Posted by ブクログ
詐欺をテーマにした面白くも恐ろしい小説。人間の悪意と残酷さが刻みつけるようで、読み進めるのが怖くて読み切るまで大変だった。
様々な巧みな詐欺により登場人物達が続々と騙されていくリアリティある描写、そして読者的に信頼していたはずの人物すらある意味ではを働いていた部分などが特に恐ろしかった。そして彼らもまた詐欺をすることで感覚が麻痺したり、それを楽しんでいる自分を恐れ、良心を捨てきれないのにやってしまうのが恐ろしい。また詐欺に向かってしまうような理不尽で困窮した立場の話も多く出てきており、それもまたやるせなさや、それを強要するような人間の悪性に慄く。最後まで詐欺そのものの黒幕の姿が見えないこともタイトルも相まって恐ろしい。
本作のラストでは詐欺をした過去もその才能もまた呑み込んでそうでない道を選ぶことができた人々のエピローグで話が締められている。詐欺の才能と本能を持つ人間は確かに存在し、そうせざる得ない状況に追い込まれることがある以上、詐欺は無くなることは決してない人間の必ず持つ多面性の一側面であり宿業のようなものなのだろう。だからこそ自らの宿業を認識した上でそれを跳ね除けていきたいという、か細いながらも強い希望を願わずにはいられない。
Posted by ブクログ
面白かったー!
現代の闇というか、日本が抱える貧困問題が身近にも起こり得ることだと改めて感じた。
探偵役の主人公もとても好感が持てる。
大好きなタイプのオチ。
一気に読めました。
Posted by ブクログ
ひったくりの被害に遭遇した女子大学生と男子高校生が犯人を探し求めるが、このことが過去の大規模詐欺事件へと繋がっていることに気づく...。
400ページとボリューミーだけれど1日で読み終わるほど惹きつけれた作品❕。
特に登場人物一人一人の個性的なキャラクターが面白かった。(錬とその兄妹の掛け合いが携帯小説みたい)
序盤から錬という少年の頭のキレや行動になんか裏がありそうに感じながら読み進めていたが、まさか彼も父親と同じように人を騙し(錬は悪事をしておらずいい意味で)ていたとは。詐欺で家族を含めた多くの人の人生を狂わせた父親と同じ行動(目的が違っていても)をとっていたのがどこか皮肉めいている。
犯人探し自体はスムーズに解決されたけれど、錬に似た男性の写真など未解決の部分もあり少し心残り。作者さんはあえて残したのかな❔
Posted by ブクログ
なんか、凄いの読んじゃいました…って、読み友さんのおススメではあったんだけど、想像の上の上を行かれた感じ。
さっそく未読の読み友さんに紹介しておきましたけどw