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Posted by ブクログ
パンデミック前は、"旅する漫画家"だったヤマザキマリさんが、パンデミックによって日本に長くとどまったことで、見えてきたこと、考えたことなどをまとめた本。
地球上の生き物の一種として人類を見たり、予定調和に沿った生き方、発言がよしとされる日本人の特性、慣習・文化を指摘したり、パンデミックの最中、反対する声も多かったにも関わらず、オリンピック・パラリンピックを十分な説明もないまま押し切って開催する政府の姿勢に対する違和感を述べていたりと、社会や人の生き方・考え方に対する深い考察が述べられた本。
古代から何度もパンデミックが起きているが、人はそれを生き抜いてきた遺伝子を持っているから、今回も大丈夫だというイタリア人の(ヤマザキさんの舅の)発想を含め、個人的には共感することが多かった。
特に次の点は今後も意識していきたいと思う。
・「常識」ではなく「良識」で生きる。
・Keep moving: 常に好奇心と感性を動かし続けろ。
・「パブリックイメージという予定調和」を過信しない。(パブリックイメージには予定調和的な期待が込められていることが多いので、鵜呑みにするのではなく、本質を見るようにしたい。)
Posted by ブクログ
ヤマザキさんの本を読んでいると、知的好奇心・探求心が刺激されて、世界についてもっと知りたい、知らなければという思いにさせてくれる。狭い自分の安心できるテリトリーで安穏と生活していないで、もっと広い世界に目を向けなさいと叱咤激励されているような。
楽しいことばかりではなく、辛いこと苦しいこともあるのが人生で、それが生きるということなのよと言われているような。
考えてみれば、現代は便利になりすぎて、ついどれだけ楽をするかということがゴールになってしまっていないか。思考をやめてしまっては、他者の都合の良いように利用されてしまう。
自分で調べて、考えて、行動しなければ。
また失敗を恐れすぎると、結果的に無難なことに落ち着き、平々凡々な人生となってしまう。色々な経験をして、地に根を張って生きている人の発言には自然と深みが出て、人生の豊かさを感じさせる。私も人生の酸いも甘いも経験して、ヤマザキさんのような層の厚い人間になりたい。
Posted by ブクログ
本書を読むと、自分の価値観がとても凝り固まっている気がした。ある程度は想像力を働かせたり周りの意見を取り込んでいるつもりだったが、良くも悪くも「日本らしさ」の枠の中に収まっていて考えが足りていなかったような気がする。
本書でも述べられている通り、疑念を抱くことはとても疲れる。しかし、漠然とした不安を抱えながらそれでも幸せに生きていくためには、一つ一つに向き合って頭を使って考え続けなければならないと感じた。
Posted by ブクログ
人生の速度がジェット機から徒歩に変わったら見えてきた世界。
2022年9月発行。『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキマリさんがコロナ禍で日本に長期滞在しその中での体験が綴られている。
昆虫の飼育、東京五輪、息子の就活、などなど。
ヤマザキさんの作品は『テルマエ・ロマエ』を冒頭ちょこっと読んだだけなので、ヤマザキさんが息子さんを一人で産み、その後(子の父親ではない男性と)結婚されたということをまったく知らなかったので、毎ページ驚きの連続でした。普段は日本在住ではなく世界のあちこちに移住されていてるんですね。バイタリティーがすごい。
歴史を取り扱った漫画を描かれる漫画家さんは資料としてたくさんの書物を読まれているしもともと本好きな印象がありますが、ヤマザキさんも多種多様な本を読まれていて考え方も行動も理知的な方でした。面白かったです(*´ω`)
こちらは2020年発行『たちどまって考える』の続編だそうで機会があればそちらも読んでみたいです。