【感想・ネタバレ】介護者Dのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

介護、小型犬のペット、アイドルの推し、どれも自分のなかでは引っかるところのない要素だらけなのに、気がつけば一気読みしていた。しかも、どの要素もリアリティがあって(小説家なら当たり前かもしれないが)驚いてしまった。

琴美は派遣先の会社の契約が切れるのを期に、父親の介護をするため東京から札幌の実家に帰...続きを読むってくる。母親は事故で亡くしているし、妹はアメリカで結婚しているので琴美ひとりが介護を行うのだ。
元塾講師の父は正論を言うけれど頑固で、歳を重ねるごとに頑固さはいや増している。それを何とかやり過ごすこともストレスだ。
そんな琴美の唯一の救いは、インディーズアイドルグループ「アルティメット」の「ゆな」だ。彼女の歌と踊り、その若々しい姿に癒やされる。(ここが男性アイドルではないことが、案外重要に思える。)
前半は、30代独身の琴美が、いつまで続くのかわからない父の介護をするという不安が物語を覆い尽くす。
しかし彼女はきちんと家事をこなし、仕事も見つけ、不満と不安を持ちながらも、札幌での生活を築いていく。
そこにコロナ感染がひろがって・・・。

Aランク評価の妹とは違って、父親からの自分の評価はD。なかなかコンプレックスからも抜け出せない琴美だが、後半は少しずつ流れが変わっていく。

毎回作り込まれた物語で、人物に深みがあって、読み手を掴んで話さない。今回は、都会の日常からリアルな現実をえぐり出し、私の持たない部分を刺激された。小説の醍醐味だろう。どんな時代や背景の物語であろうと、作者の根幹にあるものは変わっていないのが頼もしい。さらに凄みを増していく才能に、期待が高まる。

0

Posted by ブクログ 2023年10月22日

126介護で辛く暗くなるところを、推しがいたことでつまらない毎日に一瞬の光が差す。懸命に前向きに生きる一人の物語。北海道の毎日が伺えてよかったです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月30日

まだ30代で父親の介護をすることになった琴美。彼女の支えは女性アイドルグループの推し活。
介護というのは終わりが見えないし、よくなることはない。周囲の人たちの言葉に傷ついたり、イラついたりする。すごくわかる。推し活に心を支えられる気持ちもすごく共感した。
それなのに推しのグループがコロナ禍で活動でき...続きを読むず、解散。
そんな明るい要素がないように見えたのに、少しずつ前を向けたので読後感がよかった。

0

Posted by ブクログ 2022年11月16日

前半、というか読み始めて半分以上は、はっきり自分の思いを伝えられずにいる琴美にイラつく思いでいたが、施設への入所を決断した父と、解散コンサートで、きっちり琴美を認識してくれた「ゆな」の姿に涙が止まらなくなった。
「推し」の存在と価値の重さは当人にしかわからないけれど、人が生きていくうえで、とてもとて...続きを読むも大きな力になることだけは、私も認識している。

0

Posted by ブクログ 2024年04月18日

子供の頃、塾経営をしていた元教員をしていた父親に学力ランク付けされ、出来の良い妹と比較された娘。
母親が急逝し、その後、病気で介護が必要になった父は、雪かき要員と称して遠く離れて暮らす娘を実家に呼び戻す。
もうこの時点で、父親の身勝手さにイライラしてしまう自分。
娘も割り切れない気持ちで、でもアメリ...続きを読むカで暮らす妹には頼れないので、実家へ戻るのだ。
どこまでも身勝手と思えるような言動をする父に、ぐっとこらえる娘。
さらに父親の飼い犬が認知症に。
推しのアイドルを支えに生きるも、すごい閉塞感が伝わってくるのだ。介護はいつ終わるとも分からず、社会的なサポートを当事者に拒否され、すべての負担が家族にのしかかってきて、そこからのコロナウィルス大流行。
きっと世の中にこういう逃げ場のない人たちはたくさんいるのだろうと思い、本当にドーンと重石のように胸にのしかかってきた。
介護が家族の人生をも変えてしまいかねない。
家族だから割り切れない気持ちを抱えながらも頑張るのかもしれない。
最後に落としどころがきちんとあったのが救いだった。
きれいごとじゃ済まないテーマで、イライラともどかしさを感じながらもグイグイ読み進められたのは、そこにリアリティーを感じ、感情移入してしまったからだろう。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月27日

5年前に交通事故で母を亡くし、1人暮らしだった父が脳卒中で倒れ左足に軽い麻痺が残った
雪かき要員として札幌の実家で暮らし始める

私も長女なので琴美の気持ちが痛い程良くわかる
出来が良く、要領も良い妹が早々にTDLに遊びに行ってしまい、信じられずとても腹が立った笑
それを庇う父も、そのまま片付けもし...続きを読むない妹も許せない
父親の平均寿命まで計算してしまう気持ちも凄くわかる
やりきれない毎日に、推し「ゆな」の存在があって本当に良かった

面白く一気読み!!
ちょっと最後都合良すぎる感はあったが、
報われたり、希望が持てる終わり方で良かった
☆4.5かな〜5と迷った
この著者初読みだったので、他作品も読んでみよう

0

Posted by ブクログ 2024年03月07日

塾経営者の親からDランクとつけられた主人公。仕事を辞めて親の介護と犬の介護を担う。推しのライブにも行けない。

0

Posted by ブクログ 2023年09月25日

最近、歴史モノにはまっていて、700ページ超えの長編の合間に詠んだ一冊。
タイトルから何となく手に取ったが、読み終わりは、主人公の新しい目標設定に、嬉しくなった。
親の介護、姉妹の小さな確執、推し活、コロナどれも身近なテーマで入り込めた。

0

Posted by ブクログ 2023年06月24日

「推し」の話も「介護」の話も身近な話。
東京で暮らしていた琴美は父からの雪かき要員要請のために帰省するが、そのまま、足が不自由になった父の介護をするために札幌で暮らすことになる。
塾の講師だった父は自分の状況を理解してはいても納得していない。何かと手が掛かる。
そんな中で琴美の息抜きは東京に居たとき...続きを読むからのアイドルの女の子の「推し活」。
しかしこの「推し活」もコロナ禍と札幌での生活でままならない。
たったひとりのアメリカに住む妹は自分勝手。偶然あった中学時代の同級生ともちぐはぐ。
こんな琴美は何時も眉間にシワを寄せているのではないだろうか、と思ってしまう。自分から大変な方、大変な方ヘ進んでいないかと。
私は介護には無縁だった、ペットの介護も含めて。
両親は、少しの手助けは要ったとしてもまだ介護が必要ではなかったときにあっけなく逝った。
愛犬は大変な長寿だったがこちらも手が掛かる様になる前に穏やかに逝った。
きっとこんなに介護、介護と叫ばれている時代にラッキー以外の何物でもない。
しかし琴美が父を施設に入れたあと、前向きに生きようとする姿から私は自分の人生が空虚なものに思えて戸惑ってしまった。
身内を、またペットを介護することもないなんて、誰かに何かをしてあげることさえないんだ、これって実は誰とも関わることのない老後なんだ、と思ってしまった。
贅沢だ、と言われるだろう。馬鹿なことを言うな、と介護に振り回されている人は激怒するだろう。
だけど孤独を感じてしまったのだ、一つの山を越えて自分の人生をしっかり見つめ直した琴美の姿に。
私に待っているのは介護されることかもしれない。
せめて子ども達に介護されなくてもよいように、元気に生きることで空虚感、孤独感を払拭しなくては。
せめて私も「推し活」に精を出して若々しくいなくては。
琴美を羨ましがってないで。

0

Posted by ブクログ 2023年04月24日

話では琴美をDランクなどと言ってるけどこんな親孝行な娘は今どき少ないんじゃないかなぁ。
間違いなくAランクだと思う。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年02月21日

ここまで思い入れできる「推し」のある人生ならば、もうそれだけである意味十分に幸せと言えるんじゃないかと思いました。もう会えなくても、この先の人生で自分と交錯することがなくても、その幸せを長く深く心から願える他人なんてそうそう見つかるものではないでしょう。
家族はままならない、人生もままならない、真摯...続きを読むに生きようとしてもそうできない状況に望んでないのになってしまうなどということは琴美じゃなくても、私じゃなくても人の数ほどあるのが当たり前の現実なんでしょう。
指導を受ける生徒として、介護者として、自分の人生の判定が現在D評価であっても目の前のことを乗り切って日々何とか生きていけたらそれでいいだろう、と今しんどいので深く思います。
最後、ちょっと救いのある終わり方で読後感も良く、読んでる方も救われました。

0

Posted by ブクログ 2023年02月18日

介護する側とされる側の本音が詰まっていた。

主人公は東京で契約社員として働く猿渡琴美。
脳卒中の後遺症で要介護度一になった父親から雪かき要因を名目に札幌の実家に呼び戻される。

「本当にいやだな。俺は、爺さんになりたくない」
本文中の父親の言葉が切なくも重い。

当たり前に出来ていた事が出来なくな...続きを読むり娘に甘えたい、けれど頼りたくはない、二つの感情のせめぎ合い。

父親の為に奮闘する琴美は、自身の未来に想いを馳せては不安になる。

辛辣な場面もあるが、琴美の心の拠り所、推しの存在に救われた。
頑張る全ての人達にランクなんて必要ない。

0

Posted by ブクログ 2023年01月03日

介護してもらう父とする娘。心削られながらも、父親だけでなく、痴呆ワンコの世話まで。「善意ばかりが集まっても物事良い方向に進むとは限らない」現実…。どうしようもないボケ権威親父。最後に人が変わるのは、都合良すぎ。ト書きのホンネが面白いけど、それでは会話成立しないか…。「推し」のような支え必要だね、荒波...続きを読む乗り越えるには、が結論⁈

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月01日

 12月の最初に読んだ本は、大好きな河﨑秋子さんの新作「介護者D](2022.9)です。東京で勤務している琴美30歳が、札幌の父、左足が不自由な猿渡義純66歳から「雪かきを頼む」と言われ、実家に帰って父と犬の介護をしてゆく物語。琴美の支えは東京で出会ったアイドルグループの斎藤ゆな13歳を推すこと。河...続きを読む﨑秋子さんにしては少し物足りない気もしましたが・・・。テーマを広く、作風を変えてらっしゃるのかなと思いました。父親の二人の娘に対する依怙贔屓にはうんざりでした。この物語のテーマは「介護」と「推し」でしょうか?!

0

Posted by ブクログ 2022年11月04日

もし自分が琴美のような境遇だったら。
読んでいる間ずっと考えていた。
親のみではなく,親のペットまで介護することになるとは。自分の先行きも分からないのに。
今は目をそらしているけれど,いつかは直面することになるかもしれない介護問題は,私の解決できないテーマの一つでもある。

琴美には妹がいるが,海外...続きを読む在住で口出ししてくるだけ。
琴美自身は契約社員だったが,コロナウィルスの影響もあり,仕事を辞めている。
この不安定な状況の中で,唯一琴美の心を癒してくれるアイドルの存在が,この物語に光を与えている。
人は辛い状況でも心に支えがあれば,何とかやっていけるのだろうか。
琴美が言いたいことを言えずにストレスをため込んでおり,いつ爆発するのか不安だったものの,ついに彼女が家族にキレることはなかった。
凄いと思う。
私なら嫌味の一つでも言ってしまいそうだ。

ただ,一つだけ琴美にも譲れないことがあって,友人の何気ない一言に我慢ならなくなったときがあり,なぜかそこで「琴美もっと怒れ!」と後押しする気持ちになった。

思うように行かなくても,人間が相手なんだから当たり前。しかも親という存在は,他人より扱いが難しいときがある。
介護者Dなんていない。皆介護者Aだと思う。

0

Posted by ブクログ 2022年11月04日

30代にして親の介護を引き受けることになった琴美。頑固な父、遠くから口だけ出す妹、認知症になった飼い犬の世話、推しについて理解しあえない友だち。言いたいことも言えず、我慢を重ねるその姿はまさに閉塞感に押し込められているよう。その中でアイドル『ゆな』はどれだけ琴美を癒しただろう。推しがあるって幸せなこ...続きを読むとなんだなー。重たくて、でもこれがなかなかリアルで目が離せない一冊でした。

0

Posted by ブクログ 2022年10月26日

介護と推し活
意外な組み合わせがうまく最後にまとまっていた。
はじめて読む作家さんだったけれど、心理描写がうまくてするする読めた。

0

Posted by ブクログ 2022年10月20日

「介護」と「推し」。大事件は起こらないのですが、主人公の心の動きや鬱屈に共感しました。最後は清々しい気持ちになり、良かったです。

0

Posted by ブクログ 2022年10月04日

30歳で未婚、東京の派遣社員を辞めて父の介護のため札幌の実家に戻った琴美。

雪かき要員として戻ったが、愛犬の散歩や病院の送り迎えに毎日の家事で日々は過ぎていく。
唯一の救いは、アイドル「ゆな」だったが、ライブへ行くことも叶わず閉鎖的な環境に埋もれて過ごすことに膿んでいた。

元塾経営者だった父の真...続きを読む面目さや頑ななところや世間体を気にするところ。
なによりも出来の良い妹との差別を感じていた。
アメリカ留学後に結婚、出産、離婚をして今も息子を育てながら仕事をして海外で暮らしている妹。

帰省した折の父や妹の行動や態度にもやもやとした感情が膨らむが、結局大きな反撃に出ることもなくまた日常がくる。

愛犬の誤飲から認知症がわかり、その世話に明け暮れる中、父も何かしら感じるものがあったようで。
静かに緩やかにだが、今のは違う未来が見えたようだ。

けっしてキツい介護をしているというわけではなく、まだ自分のことはしっかりできる父との生活。
好き勝手はできないし、家事全般に愛犬の世話や病院の送り迎えはある。
だが、先は見えなく楽しめる空間じゃないのはよくわかる。これがいつまで続くのか…とか唯一の楽しみである推し活ができないというジレンマ。
その普通にできないことのたくさんを書いているのだが、多分こういう介護生活は多いと思った。


0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月25日

2021/09/28予約 7

初読み作家さん。★4.5。
アルティメットパレットのアイドル・ゆなの推し活が生きがいになっている、琴美。
母亡き後も札幌で一人暮らしを続けてきた父親から「雪かきに来てくれないか」とのメールがくる。
雪かきにかこつけて、帰ってきてほしいと素直に口に出せない父親。
学校の...続きを読む教師をやめ、塾を経営していた父親。
生真面目で几帳面で融通が利かない、ええかっこしい。
脳血栓で倒れ介護の必要な状態になりつつある…
さらに飼い犬のトトが認知症を発祥してしまう。

昔からAランクである妹の美紅は、サンフランシスコでシングルマザーで仕事も生活もうまく行っている。それに比べ琴美は、昔から親にDランクだと言われてきた…

親から子どもの、ランク付けされることほど辛いことはない。ランクが下だった子どものことを考えたことがあるのか…自分は今も乗り越えられない。いつも自分を卑下してしまう考え方の癖がついてしまっている。何年も心療内科でカウンセリングを受けたが、しつこく根を張る、卑下する癖は抜けなかった。

介護をしなければいけない、と派遣でコールセンター勤務する。理不尽なことばかり言われるコールセンターの様子までよくわかる。

いくつかのエピソードが自分とリンクするため、一気に読んだ。
最後はうまくいくところに、なんとか収まる。
ちょっとありえないけど、まあいいかというサプライズ付き。


介護ショップで、
店員の言葉は穏やかだ。介護を担当する人間に寄り添い、気を遣い、言葉を選んで接してくれている。
寄り添いすぎた人なのだ。
当事者を多く知っているからこそ、対応の仕方にそつがない。
ただその分、話していると否応なしに自分が直面しているのは数多ある『よくある』現場のひとつだと突き付けられた気がしてくるのだ。……嫌だ。ひねくれている。琴美は努めて頬の筋肉を動かし、笑顔を作った。この店員さんには何の落ち度もないのに、自分は勝手に卑屈になっている

ものすごく共感する。


先の介護ショップでの在宅介護する人達が集う場に初参加して、
ふっと、気が楽になった。そうか、いい意味で、これは他人同士の集まりなのだ。
苦労の度合いや不幸せを比較できるほど親身な集まりではない、と琴美は思い、たどたどしく自身の状況を言葉にすると、控えめで温かな拍手が自然と起こった。
琴美はがちがちに力を入れていた肩をすとんと落とす。
別に愚痴を吐き出せた訳ではない。
問題を軽くするような情報を得られた訳でもない。
それでも、琴美は自分の気道が広がって少し息がしやすくなった気がした。

この場所が必要とされているのだろう。介護も看病も、病気なら当事者の会も。私も、誰にも否定されない場所で伝えたい。

おすすめの本。

0

Posted by ブクログ 2023年07月27日

思ったことを口に出せない主人公に
少しもどかしさを感じたが、それは
ある意味彼女の優しさと受け止め、
ストーリーを追っていくことができた。

ペットの世話や家族のケアは経験がない
だけに大変さは分からないが、この
物語を通じて当事者の立場が多少なり
とも理解できた。

0

Posted by ブクログ 2023年06月09日

家族の介護に少しでも携わった人なら、ここに描かれる主人公の揺れる心や絶望に琴線を振るわせられるはず。日常の些細な出来事は読み手には面白くもあり、ちょっとつらくもある。最後にささやかなカタルシスがあって、良かった。

0

Posted by ブクログ 2023年02月15日

本の雑誌・年間ランキングから。でも個人的には、”締め殺し”の方が好きかな。推しと介護、それぞれのリアルが上手いこと融合的に語られていて、どっち方面の満足度も得られる感じ。

0

Posted by ブクログ 2023年01月25日

『颶風の王』は読んだことあるのだけど、それ以来の河崎秋子。
決して甘くならないところは変わらないけど、意外に爽やかで後味も良い作品だった。
父が68歳、介護する娘が30歳とまだ若いから、そんなに悲惨ではない。これが78と40なら、88と50なら、もっと悲惨だ。悲惨と言っては老親を介護している人に申し...続きを読む訳ないけど、しっかりしていた親が認知症で排泄もままならず、自分の体力も衰えてきていたら、他人に助けを求めなければ、どうしたって悲惨になると思う。
父は衰えたとはいえ、まだまだしっかりしている(ネットだって使える)し、自分の身の回りのこともどうにかできる。娘は非正規を辞めたとはいえ、次のステップに踏み出せる年齢だ。おまけに、お金に不自由していない。
娘がマイナーな女子アイドルを推しているのも、良いと思う。そう思わない人もいるのかな?登場人物栄子のように。大人の女性が若い女性アイドルを推すのは、レズビアンでないなら、変だと。そう思っている人が多いだろうという感じで書いてるようにも思える。
リアルだけど、悲惨ではない、幸せな家族の物語だと思う。父も娘も息抜きできてるし。会話も成り立ってるし。
それが出来ない家族もたくさんあるから。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月25日

主人公の琴美をはじめこの家族、なんだか自分勝手で好きにはなれなかったのに、読後はまぁどこにでもいる普通のいい人、いい家族だったのだ。

しかし、介護するには設定が少し若すぎる気もするし、金銭的にも余裕があり悲壮感はなく・・・タイトルだけでは推し量れない、これからの時代の家族の物語なのかもしれない。

0

Posted by ブクログ 2022年08月12日

私は介護者「D」ランクなのだろうか──東京で派遣社員として働く30歳の琴美。父親の体調のため札幌へ戻ることを決意したが、慣れない父子生活、同級生との差異に戸惑う。現代的な問題を軸に描く著者の新境地。

親の介護、自分にはまだまだ先のことだと思っているけれど、いつ琴美と同じ状況になるか分からない。
...続きを読む々の介護にうんざりする気持ちも、介護施設に任せる罪悪感も、分かる気がする。そんな中でも、アイドルの推し活という気晴らしがあることで、琴美は毎日を乗り切っている。周りからどう思われようが自分の大事なものをしっかり持っていられる強さが、琴美にはある。
いずれ迎えるであろう未来を、少し早く予習しているような、そんな気分で読み終えた。綺麗事だけではなく、シビアな現実が描かれているけれど、希望の見えるラストで良かった。

0

私小説の流れ

2022年11月19日

宇野浩二・川崎長太郎などの私小説と同様の読後感がわずかにあった。著者の他の作品にも触れてみたいと思った。

0

「小説」ランキング