あらすじ
思いやりを大事にする「良識的」な人が、差別をなくすことに後ろ向きである理由とは――。
「ジェンダー平等」がSDGsの目標に掲げられる現在、大学では関連の授業に人気が集中し企業では研修が盛んに行われているテーマであるにもかかわらず、いまだ差別については「思いやりが大事」という心の問題として捉えられることが多い。なぜ差別は「思いやり」の問題に回収され、その先の議論に進めないのか?
女性差別と性的少数者差別をめぐる現状に目を向け、その構造を理解し、制度について考察。
「思いやり」から脱して社会を変えていくために、いま必要な一冊。
「あなたの人権意識、大丈夫?
“優しい”人こそ知っておきたい、差別に加担してしまわないために――。
価値観アップデートのための法制度入門!」――三浦まり氏(上智大学教授)、推薦!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
思いやり"だけ"では解決にならない
はたまた逆効果ということありうる
個人の問題として帰着せず社会の問題、構造の問題と認識して仕組み/制度を変えていく……
そういう流れを促していきたい、と強く思えた本でした
Posted by ブクログ
LGBTQだけに限らず、カミングアウトしないことによる大変さというのは、あらゆる類いのマイノリティの人が抱えている問題だと思う。
カミングアウトするのも相当な勇気が要るし、かといってカミングアウトしないのもかなりのストレスがかかり続ける。
すべての人が気軽に自分のことをもっとオープンにできる世の中になったらいいなと思う。
そのためには思いやりだけでは不十分で、様々な法律や制度が必要になるのだと思う。
Posted by ブクログ
ちょうど同時期に読んでいた『他者の靴を履く』と同じメッセージを読み取った。
感情や思いやりの課題ではなく、正しい知識と必要なスキルを持って理解し行動すること、1人の行動に頼らず仕組み化すること。
Posted by ブクログ
タイトルの通り、女性差別やLGPTQに対する差別問題への対処として、一人ひとりの「思いやり」だけでは、解決しない事例を挙げて、現状の法整備の到達点を示す本。個人的な読書傾向の話になってしまうが、これまで、差別問題については、差別の仕組みについて、哲学的な議論をしているものしか、読んでこなかったこともあり、かなり実効性のある職場での実践や、法の整備の話は、新鮮だった。理論上では、個人の「思いやり」では、差別問題が解決しないことは知っていたし、差別が発生する構造そのものにアプローチをしないとならないことも知っていたが、その理念について、具体的な方略を与えてもらえたような感じの読書だった。
一番、心に残ったというか、耳に痛かったというか、自分的に印象に残ったのは、「人権やジェンダーは、仕事に落とし込むことができない」という趣旨のコメントをする学生に対する批判だった。自分としても、この学生たちの認識は、ただの思考停止だと思うし、問題だと思うが、一方で、自分も自分が働いている職場の中で、ジェンダー的な問題が、どのように発生しているのかを真面目に考えたことがなかったことは確かだった。
自分の仕事は、中学校教員であるが、実際、教育現場でジェンダー的な問題が、どのようなレベルで、誰に対して起きているのか、まったく自分として把握できていない。例えば、生徒たちに指示を出したり名簿を管理したりするときに、男女で性別分けをすることは、一般的にされている。これは、LGBTQ(とくに、TやQだろうか?)の生徒の存在を考えれば問題だと思うが、一教員として、どのようにこの問題にアプローチをしていけばいいのだろうか。そもそも、有効な解決策は、どんな形なのだろうか。
こうしたことについては、どうするのが妥当なのかについて、色々と知りたいところではある。自分の頭で考えるだけでは、すでに限界に達している。
また、以前働いていた職場で問題になっていたことで、小学校高学年の担任に、一人も女性教員がいないことで困った、という話があった。これも、働いていた小学校に特有の問題があって、そもそも、全学年に配置するだけの女性教員がいなかったのである。(女性教員が五人しかいなかった)。
しかも、そうした女性教員は、低学年や中学年に回されることがしばしばで、高学年は、男性教員の領域、みたいな暗黙の了解があったのである。それによって、体の変化も始まる高学年の女子児童たちの指導に困るという、はたから見れば、非常に不可解な状況が生まれていた。
こうした女性教員と男性教員の配分の問題は、今働いている職場にもある。管理職は、二人とも男性だし、学年主任も、全員男性である。そのため、主任会議には、男性しかいないという状況は、かなり教育的にもいい方向性だとは思われない。
こうした問題を解決していくためには、どのような方策を立てていく必要性があるのだろうか。自分は直接的には人事に関わることができないため、なかなか難しいが、上述した高学年女子の指導への困り感など、実態として不都合があることを、きちんと訴えていくことは、必要な道だと思われる。
本気で差別をなくすためには、どのようなことが必要なのかを考えさせられる本。とりあえず、読むと分かるのは、本気で差別をなくすのは、けっこう大変なんだ、という事実である。その点を考えると、この本で紹介されているような法整備や制度設計に比べれば、すべて「思いやり」で解決できる考えることは、非常に楽な道である。「思いやり」を持つこと、その必要性を喧伝することは、本気で差別を解消することからすると、逃げの道なのかもしれないということに、気がつかされる。
差別に対して、構造的に問題の解決を図る必要があることを、何となくでも理解している人たちにとっても、具体的な方策を知るのに有益な本だと思う。日常的な差別に対して、どのような制度設計をしていく必要があるのかを考えるための入門書として、ぜひ読んでもらいたい。
Posted by ブクログ
LGBTQは思いやりでは解決せず、法的整備が必要なことはわかったが、おおまかな概要がわかっただけでトランスジェンダーの深い理解にはつながらなかった。
Posted by ブクログ
差別は思いやりでは解決しないということがよくわかる本だった、、
制度と実践
徐々にではあるが、良い方向に進んでいるとは思うけれど
私達より上の世代が引退し、下の世代に自分達の価値観を押し付けないことが大事だと思う
Posted by ブクログ
人権研修の感想などで、差別について「思いやりが大事」という心の問題として捉えられることが多いということについて問題だと提起し、女性差別に係るジェンダー課題と性的少数者差別に係るLGBTQ課題を取り上げ、差別の構造を解き明かすとともに必要な制度的対応について考察。
差別には構造的な課題があり、その解消に向けては制度的対応が必要という主張はそのとおりだとは思うし、ジェンダー課題やLGBTQ課題についての本書の整理は非常に参考になるものだった。
ただ、「思いやり」という言葉が適切かは別として、著者は差別の解消に当たっての「個々人の意識」の重要性を軽視しすぎているように感じた。
著者は制度を変えるために個人も動くべきという主張を持っているように思うが、一個人が動いて制度を変えるということには限界もあるし、そもそも制度を変えるために上司への提案などのアクションをするというのはかなりハードルが高いことで、それをできないからといって個人を責めるのは酷であると思う。
そもそも差別(特に、本書でも取り上げられていた意図せざる差別)を解消するためには、制度的対応も重要ではあるが、差別があるということを認識し、差別の対象となっている属性(LGBTQ)について理解を深め、日常生活の中でもそういう理解をベースに想像力をもって人と接するというような「個々人の意識」が果たす役割が最も重要だと考える。そういう点で、著者の議論には十分に納得できなかった。