【感想・ネタバレ】極北に駆けるのレビュー

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Posted by ブクログ

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本を読み始めるまで上村直己という方の存在を知りませんでした。この小説はグリーンランド、イヌイットで過ごした日々を日記を基に物語として記述されています。当時の北極圏での生活は食文化、俗文化ともに日本とはかなり違う文化で新鮮感の塊です。またそこに住む犬も日本の飼い犬とは違い、犬橇用の動物として想像以上にキツく調教されていることも知りカルチャーショックを受けましたが生きる為には仕方がない事だと思います。素敵な本でした。

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ノンフィクションの極地での冒険譚に興味を惹かれないわけはなく、ドキドキハラハラしながらページをめくった。

最初、雪が積もっているところはどこへでも犬橇で行けるものだと思っていた。だが読みすすめて分かったことには当地では冬に海が凍結してからしか橇に乗らないこと。陸上でなく凍った海上を橇で進むらしいのだ。
一時的に凍っているだけの極寒の海の上を橇で進むなんて正気の沙汰じゃない。
想像以上の危険と恐怖にヒエーと怯えながら読んだ。
特に3,000キロの犬橇の旅はヒヤヒヤしながら読み進めた。極寒の地でテント泊をしながら、白熊に怯え、食料危機や悪天候に悩まされながら、読んでいるだけとはいえスリル満点である。

この本の別の魅力としては、イヌイットの文化・生活の描写、またその生活にどのように適応していったのかの描写が挙げられる。
これまでイヌイットの文化・生活を全く知らなかったのもあり、生肉文化や排泄について、また開放的なSEX観、アルコールの制限や犬ぞりや犬との付き合い方、狩猟の方法など色々と衝撃的であり刺激的だった。
著者のこれまでの挑戦、不屈の精神、そして実行力にはただただすごいの一言なのだけど、それにも劣らぬこの異文化への適応力とリスペクトもすごいと感心した。
氷点下を上回ることのない気温、生肉を食する文化、洗濯やお風呂にも不自由する生活。。。何から何まで自分には1ミリたりとも無理だと感じることばかり。

またこの本のもう一つの魅力は、著者植村直己自身の人柄の魅力だろうなぁ〜と思う。
彼の不屈の精神やチャレンジ精神はもちろん、現地の人や文化への敬意と自ら適応し歩み寄る姿勢、熱い情熱と併せ持つ冷静で適正な判断力、そして何より人懐っこい性格や笑顔。イヌイットの人々が暖かくフレンドリーというのもあるだろうけど、この人の人柄や人間力のおかげで関係性を築けたんだろうと思う。

そして「冒険とは生きて帰ること」というフレーズがとても印象的だった。この言葉に彼の決意や哲学をみたような気がした。

カテゴライズとしては冒険の本なんだろうけど、個人的な読後感としては「愛」だと感じた。人々に対する、文化に対する、自然に対する、まだ見ぬ冒険に対する愛がこの本のどこを切り取っても感じられる。

現代でも北部グリーンランドまで行くというのはハードルの高いことだと思うけれど、これを四半世紀以上前に発想できる、そして実行してしまえる著者はすごいなと思った。ボキャがなくすごいしか出てこないけど。。。

その後ネットで犬橇での南極単独横断は叶わぬまま帰らぬ人となったことを知った。とても残念に思うけれど、その壮大な挑戦に挑み、諦めず、一歩一歩努力し、高みを目指したこと自体に意義があると思う。

できれば植村直己著の他の書籍も読んでみたいなと思った。

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2021年05月07日

Posted by ブクログ

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いやー、やはり植村さんの文章力はすごい。読み手はどんどん引き込まれる。
本書は、植村さんが南極大陸横断にあたっての試験的な、訓練的なグリーンランド物語りであり、その際に関わったエスキモーとの文化の違いなどを、大変な文章力で綴る。しかしながら、冒険書は冒険書であり、内容も非常に興味深い。エスキモーは、犬橇を引く犬を、用に足さなくなると、皮を剥いで食べてしまうが、植村さんは、どうしてもそれができなかった。エスキモー部落から単独3000キロの特訓旅行に出て、危うく遭難しかけて、飢えかけても食べることはできなかったという。こんなとこにも植村さんの人柄がよく現れているといえよう。

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2019年07月30日

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