あらすじ
『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。洪水・津波・疫病など過去の災害についての伝承を調べ将来の教訓とする「災害伝承」を研究し、マスコミ露出も多い新進気鋭の民俗学者・桜咲竜司准教授。神や妖怪の名を借りた災害伝承について研究する「妖怪防災学」を確立した彼いわく、「妖怪退治とは、人為を超えた不可解な出来事を克服してきた歴史、すなわち防災の伝承でもある」。「新地名に隠された危険な旧地名」や「伝承や神話に登場する怪物の正体」などの講義や書籍が人気で、災害に関するコメンテーターも務める異色の民俗学者である。が、彼には論文盗用の疑いもあった。よく知られた「桃太郎と鬼退治」「河童と人柱」「両面宿儺(りょうめんすくな=頭部の前後両面に顔があり、手足が合わせて八本もある鬼神)の正体」の謎を解く彼の研究は、やがて、思いもよらぬ結論を導き出すこととなり……。そして論文盗用疑惑に隠された悲しい真実とは。知的興奮に満ちた歴史民俗学ミステリー。由来を解き明かされる実在の地名も多数登場します。
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不動産鑑定士を初めて知った。
梅沢さんが最初の講義の後すぐに桜咲准教授を問い詰めなくて良かった。
椎名さんが居たのはたまたまだけど、そのおかげで関わる時間や学ぶ時間が増えて何故って考える事が出来たから桜咲准教授の話をすんなり聞く事が出来たんだろうな。
三つの風はいいですね。
大切な事を覚えやすく分かりやすい。
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面白かった。
民俗学、妖怪、災害、土地の伝承、その全てに興味があったので、これはぴったりの作品。
桜咲の解釈を聞いていると、なんだか、本当に民俗学を勉強しているような感覚になる。
鬼怒川のくだりもすごく面白かった。
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謎のインパクトは少ないけれど、作中でいろいろと蘊蓄を話してくれるところや、キャラは立ってて面白かったです。そして、読みやすい。仮説については私の意見と違うところもあれど、そんな考え方もあるんだなと思えるものでした。
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伝承文学、妖怪などは私の好物です。
元々文学部、日本文学専攻で特に古事記、説話辺りを学んでいたのと関連して歴史や妖怪なども触っていた。
そのためこういった内容の本はかなり好き。妖怪といてば水木しげる、小説でいえば京極夏彦があがる。
京極夏彦は重厚な内容に深い専門的知識と広がっていく世界観が非常に良い。鈍器として使えると言われている京極夏彦の作品だが飽きないのはその没入感と圧倒的な知識量に飽きがこないためであろう。
閑話休題
この作品は一方読みやすく、そんなに妖怪、伝承文学などに興味がなくとも読みやすく、面白い作品なのではないかと思う。
分かりやすい所を分かりやすく説明していてストーリも分かりやすくシンプルに進むのでこれはこの作品なりの良さが非常にあると思う。
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過去の災害伝承を研究し妖怪防災学を広げる助教授と新入生萌花の話。面白かった!妖怪防災学っていうのが初耳でどんどん興味が湧く。他にも不動産鑑定士や初耳のこともあって勉強になる。そういえば怪しい地名あったよな、どういう意味やったんやろ、と興味が広がっていく
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「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
ここでは、妖怪かな?
古文書なりに、書かれているもの、その正体というか真相。
それと災害との結び付き。
昔からの言い伝えなり、伝承と呼ばれるもんには、それなりの理由がある。
両面宿儺、土蜘蛛とほんとのとこは知らんけど、上手くまとめられてるな。
でも、辛いもんがある。高度な文明が滅びる的な…それの復讐も…
地名なりから、ある程度の災害などが分かるってのも目から鱗。(本そのまま信じてええの?)
人柱の話もそうやけど、呪いというのではなく、あくまでも論理的に?解説で納得!(本そのまま信じてええの?)
こういう感じの好き!
何か、古代の想いを感じながらってヤツ!
一気読み!(^_^)v
Posted by ブクログ
3つの風の意識、大事です。風化させない、風説の流布をしない、風評被害を出さない。災害伝承に関わらず、発信時も大事です。災害伝承をテーマとして明るく軽いタッチのなかに知識欲を満たす内容があり、興味深かったです。最後の推察は、ロマンです。諸説あるでしょう(笑)。
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様々な過去の災害の伝承から読み解く真実は?
両面宿儺とはどんな存在だったのか?
最初違う感じの話かと思いましたが読み進めるとちゃんと民俗学の話で
思いがけない話が出て来てすごく興味をそそられて一気読みでした
一方の問題があっさりと片付いてちょっと拍子抜けしましたが(⌒-⌒; )
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民俗学的観点から防災学を伝えていくという、また新しい感じでした。確かに妖怪そのものではなく、そこに隠された事柄を伝承させていくことは本来先人たちの考えていたことなのかと、納得してしまいました。
論文の盗作疑惑を探るため、桜咲准教授に近づきながらも大好きな民俗学の授業で新たな知見を得て生き生きしていく姿がとても素直で良かったです。盗作疑惑を含め事象から踏み込んだ考察にて理解を自身に落とし込んでいくのは、民俗学的なことだけでなくどの分野でも言えることですね。
桜咲准教授が何度も唱える3つの『風』はとてもわかりやすいです。
新たな民俗学シリーズが楽しみです。
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民俗学の観点から地名を紐解き、洪水や疫病などの災害を検証するという民俗学ミステリ。
妖怪等の民俗学好きにとってはたまらない内容だった。
このミス大賞シリーズということで、事件的なこともないわけではないが、正直、本格ミステリとしては全然物足りない感じ。ただ、知的好奇心はバシバシ刺激される。
民俗学を取り扱っているとはいえ、内容に難しいものは全然ないので、民俗学に興味が人への入門書としては、かなりおすすめできる気がする。
個人的に、こういった内容は大好物。
サラッと読めるけど、印象に残りやすい小説だった。
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准教授の優しい性格、毎回の講義の内容が、うまく伏線となって、最後の謎解きに説得力を持たせていた。妖怪や伝承をそのままに受け取るのではなく、解釈していく姿勢が面白かった。
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これはまたジャンル分けが難しいな(^ ^; 普通のミステリ要素もあるし、歴史ミステリ的でもあり、お仕事小説でもある(^ ^ 二冊前に読んだ「鬼」の本からの流れで、鬼の勉強にもなるし...
また、私の父方の祖父が民俗学者だったということもあり、個人的にものすごく興味のあるテーマと内容で、小説なんだけど「教養書」として読んだような(^ ^;
実際、一冊通して「小説成分」は薄めな印象。昔から残る地名について、伝えたいことがあるんだが、ただ教養本として書いてもなかなか読んでもらえそうにないので、小説の体を取った...というような印象を受けた(^ ^;
イケメン若手准教授と、色っぽくもバリキャリの姉と、けなげな女子大生...という、ラブコメの王道のような布陣(^ ^; ストーリー的には「どーせこーなるんだろーな」と思ってる通りになるし(^ ^; 謎解き成分もあっさり終わっちゃうし(^ ^;
でも、地名にまつわる考察や知識は、とても興味深いし納得できる。本書に出て来る「考察」は、みな本当のことなのだろうか(^ ^; もっともっと深掘りしてあれこれ知りたくなる。知的好奇心をくすぐる一冊(^ ^
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地名や伝承に潜む災害についての言い伝えにまつわる民俗学ミステリー。両面宿儺とは何者なのか、という謎を中心に、いろいろな考察をしています。民俗学は面白いですね。
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面白かった。地名にまつわる話から日本史までいろんな知識がぎっしりと詰め込まれていて読んでいて飽きが来ない。
ただ、エンターテイメント小説であるからしょうがないのだけれど、予定調和すぎるというか、ストーリーラインにほとんど驚きがないというか。真面目に伏線も張っているので、「ああここであの話が活きてくるのね」としか思わなかった。シンプルすぎる。
でも、刑法概論のくだりっている?
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鬼怒川の名前の由来から入る導入が上手い。馴染みのある川だから気になってしまう。もともと民俗学には興味があったので、一気に読めました。
桃太郎、河童、両面宿儺の民俗学的な考察。どれも面白い。堤防の話も興味深かった。堤防の上で慰霊祭をすることによって、大勢の人が集まるから踏み固められてより強固な堤防になる。信玄賢い。感心しました。
生まれ故郷が所沢なので、ダイオキシンの事はよく覚えています。でもその時はもう住んでなかったので、風評被害があった事は知らなかったな。まだ幼かったし。でもこの事によって全く違う人生になってしまった人達は確実にいるんだよな。風化しないよう忘れずに居続けるのって難しい。
主に民俗学的なミステリーを考察していく話なので、民俗学に興味がないと厳しいかも。自分は楽しめました。続編を期待。
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過去の災害についての伝承を調べ将来の教訓とする「災害伝承」について研究する「妖怪防災学」を確立した准教授とその講義を受講する女子大生の話。新地名に隠された危険な旧地名や伝承や神話に登場する怪物の正体等ミステリ感はないけれど民俗学が好きな人は楽しめる。不動産鑑定士の関わり方も初めて知り興味深かった。
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土地の古名に込められた洪水・津波・疫病などの災害伝承「災害伝承」を学問する教授と、不動産鑑定士の姉が実利的に協力する需要が有るか無いのか微妙なwinwinな二人に感化されるのが主人公の萌花
実は従兄の研究を桜咲教授に盗用された疑惑で大学を選び准教授に接近して糾弾しようともくろんでいたのだが・・・
神や妖怪の名を借りた災害伝承なので「妖怪防災学」を称する「妖怪退治とは、人為を超えた不可解な出来事を克服してきた歴史、すなわち防災の伝承でもある」「新地名に隠された危険な旧地名」「伝承や神話に登場する怪物の正体」などをキーワードに今は亡き親友の想いを背負い書籍やコメンテーターとして活躍する民俗学者
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テーマがドンピシャで好きだった!主人公の解きたかった謎は思ったよりあっさり解決しちゃうんだけど、読みやすいしこまめに民俗学謎解きが発生するし、一気読みできた。
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伝承がモチーフになっているミステリーはいくつもあるからそこはいいのですが、古代に日本に来たのはインド人ではなくてそこは渡来人でしょうと思う。
酒呑童子や桃太郎伝説と同じですね。
Posted by ブクログ
周りの方と話したりして、両面宿儺を某漫画で知ったって方が多いことに少しびっくり。
大好きな歴史民俗学のミステリです。個人的にはミステリだと思ったら、全然そんなことなくてかなーり薄いミステリな印象。
でも民俗学についてかなり詳しく説明がされていたり、諸説があったりとても楽しめました!( 言い方が思い浮かばず、言葉が悪いですが )フィクションだからどこまでが本当の諸説なのか、それとも全部研究されている諸説なのか…見分けがつかなくてソワソワ。
民俗学の中でも妖怪や危険地名( 災害 )についてよく分かる内容で、とてもタメになると言うか…自分でも調べたくなるほどでした。
私が生まれ育った場所は海沿いで大きい川近くにあったのですが、直接それ由来だとわかる地名はないので調べたい欲が( ˙֊˙ )笑
民俗学の知識がなくてもしっかり説明があり、分かりやすかったので読みやすかったです。
ただ、主人公は少し苦手かな。従兄の論文盗用されたかについて調べると意気込んでいるのに、軸がブレブレで言うほど調べてないというか…。の割には割と簡単に真相を閃いてあっさり種明かし。
もう少し調べたりするシーンとかを見たかったです。
Posted by ブクログ
桜咲先生の講義が興味深くて、講義のシーンを読むのが楽しい楽しい。
ゆえに、彼を盗作した奴だと初手から疑ってかかる萌花の視点で読むのは正直慣れるまでしんどかった。
それでいて、民俗学の話になると食い気味で先生の話に乗っちゃう萌花。
そちらの方が活き活きしていて、読んでいるこちらも安心できるのだが。
「災害伝承」という視野で民俗学的ミステリを解いていくお話。
桜咲先生のお姉さんの職業柄、その土地に関わる歴史的謎やトラブルのお話が中心。
と言いつつも、河童に人柱、桃太郎、そして表題にもある両面宿儺にまで話は及ぶ。
特に両面宿儺と桃太郎に関わる話は壮大で、歴史的常識がひっくり返りそうな説で驚いた。
まさかあの歴史的有名人にまで話が及ぶとは思わなかったし、昔のお話で現代でも話題になった公害が絡んでくるとは本当にびっくり。
大変興味深い説でした。
お姉さんの職業も興味深かったし。
欲を言えば、部屋の中だけで謎解きが完結してしまうので、フィールドワークのシーンも見たかったなと思う。