あらすじ
エラリイに匿名の手紙が届く。そこには最近ライツヴィルで起きた事件を記した新聞記事ーー“町の隠者″の病死、富豪の自殺、“町の物乞い″の失踪ーーの切り抜きが。そして、父親の失踪の真相を探ってほしいという妖精のように魅力的な娘・リーマに導かれ、エラリイは四度ライツヴィルを訪れる。そこで待ち受けていたのは、さらなる不審死の連続だった……本格ミステリの巨匠、円熟期の傑作が新訳で登場。解説/飯城勇三
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Posted by ブクログ
エラリー・クイーンの越前先生による新訳。
ライツヴィルでの事件にまた引き込まれてゆくエラリー。迎えに来たのはなんと!穢れを知らぬ世間に染っていない女性、リーマ。
この本の印象を一言で後々語るとしたら、
連続殺人事件でもなく、童謡による見立て殺人事件でもなく、え?と思わせたおとり捜査でもなく、一言!リーマという女性の登場!でしょう。
魅力的で理知的で妖精のよう。
これまで読んできたクイーンの本に中にこれほどの女性、でてこなかったですよね。
さて、事件はのことは、と言えばまた最後に切なさの残る…とだけ記しておきます。
Posted by ブクログ
リーマという女性をこのお話の中でどういう風に動かすんだろう。それが、私の一番の興味でしたね。最後まで読んでみてどうだったか。始めから終わりまで出続け、途中で呆れながらも(君がエラリイに餌を与えたんだろう?と)、そううまくはいかないんだなあと思ってみたり。
エラリイはほろ苦さと喜びをぐちゃぐちゃにしながら、半ば周囲を敵に回すように事件に取り組んだわけですが、なりふりかまわず真実を求めようとする姿は、痛々しさもあり、気がちがったように尋問する姿にはスポーツに取り組む汗臭さすら感じました。見立て引き摺り込まれたのか、それとも見立ての職業の連続性(風が吹いたら桶屋的な)が絶妙なのか!
国名シリーズも何作か読んでるんですが、このお話を経て、はじめてエラリイが好きになったかもしれない。クイーン警視から離れたエラリイのほうが自由なのかもなあとか、思ったりも。ライツヴィルシリーズ、他にも読んでみたいです。
Posted by ブクログ
ライツヴィルで二人の男が死に、一人が失踪した。エラリーは失踪した男の娘リーマに請われ、捜査のためにライツヴィルに赴く。三人に関係する人々を当たったエラリーは、一連の事件は童謡になぞらえた見立て殺人であると睨む。最初の三人は「金持ち」「貧乏人」「物乞い」、新たな犠牲者は「泥棒」「医者」「弁護士」「商人」、そして最後の一人が「チーフ」だった。
仲人役がすっかり板についたエラリー。警視や部下たちは登場せず、エラリーがデイキンやリーマとともに関係先を訪れる中で次々と殺人が起こる。「チーフ」の言葉が出た段階で結末は予測できたものの、それでも捻りが効いている。ライツヴィルには苦い思い出ばかりが溢れているのに、なぜこれほどまでにエラリーを惹きつけるのだろう。
作中でエラリーが口にする「これが人を人でなくチェスの駒として考えた結果か」というセリフ。初期の国名シリーズでの人物の描き方への自己批判にも見えて興味深かった。もはやエラリー・クイーンは、登場人物を一人の人間としてしっかりと描いている。
Posted by ブクログ
ほかの方の感想にもありますがストーリーはラノベ感がすごい。あとがきには「ミステリ界屈指の萌えキャラ」とあってなるほど。越前さんの訳なので手に取ったのですが、他の作品もこんな感じなのかな…