【感想・ネタバレ】ループ・オブ・ザ・コードのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

20年前あらゆる歴史が抹消された、かつての独裁国家「イグノラビムス」にて、児童が原因不明の奇病を発症し、また別の事件も発生しつつ、そこに世界生存機関〈WEO〉職員が派遣される、というお話(?)。
大変読み応えのある作品でしたな。

歴史と新たに生み出された国家、またそこに生きる者たち、そしてそこで産まれた子どもたち、様々な家庭環境があり、それぞれの事情がある。
それらがひとつのコード(線)で繋がれたループ(輪)である?。
とても厚みのある(実際本厚い・本文二段組400ページ)重めのお話でしたな。

同性愛だったり、あやとりだったり、家族のつながりだったり、ラジバンダリ。
なかなかに深かったのよぅ。うまくまとめられないのが悔しい。

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4.5くらい。
自分がもっと純粋で無邪気で世間知らずでスレていなかったら、それこそ純粋に無邪気にわーすごいと楽しく読んでたと思うが、今の自分は伊藤計劃もこの作品に出てくる例えや物事を知っているので、そこまでじゃなかった。
逆にその知識の羅列が鼻についてしまった。なんでだろう。
でもやっぱりその羅列の量も話の質の詰め込み方もすごすぎて、これからこの才能はどう伸びていくのか気になる。もっと面白いのが読みたい。

“愛を形にする権利は誰にでもある。”から始まり、“後悔したいと思ったのは生まれて初めてだった。”で終わるのが、ものすごく計算されていて良かった。

全体的なテーマとして、こんな地獄に子供を産んでも良いのか?自分で責任がとれないものに対して積極的に関わって、他人(産まれてきた子供)にその代償を払わせても良いのか?というもので良かった。

反出生という話はたぶん、進撃の巨人で触れた人が多いと思うし、それ以外にも少子化問題で触れた人もいるだろうが、自分にとってはかつてのSF小説で出てきた要素だなという感じ。
そこでは、人が減れば世界は平和になるのでは?だったが。このまま人口が増加すると地球環境がヤバイという世相のせいもあったと思う。

現代においてこのテーマについて考える話は面白かった。そして結局、主人公はたとえ地獄でも産もうと決める。子供を持つことに反対しながらも、いずれ後悔するとわかっていても。ここらはへんは映画「メッセージ」を思い出して良かった。

わからない未来とわかる(逃れられない)未来どっちが良いか。普通は、未来がわからないほうが良く、そこから自分に出来るだけ都合の良い未来に寄せようとする。完璧に管理されるような社会ではなく、たとえ間違いがあっても不完全な人間が決める社会を選ぶ。これが賛歌される。

作中のCIAの彼によって、管理されたほうが良い人間もいると指摘されるのが面白かった。主人公はヒロイックだなと言うだけで共感は示してないけど、子供を持ちたくないので、部分的には同調していたと思う。

しかしながら、ヨハンとの結び目が欲しくて、子供を持つことを決める。単純にヨハンを愛してるからを、さらに想像力をもって、どんな代償を払うか計算したうえでの答え。
子供を利用していることさえも理解したうえでの答え。

その回答を導くまでの話。


ジェイムズに対して、なんか主人公の父親みたいだなと思ったタイミングで、主人公もその告白してて笑った。支配と報酬がきっちりしているところが父親っぽい。

終盤の家族セラピーの場面は本当に舞台立てとして良い場面すぎるんだけど、泣いてしまった。理想がある。この期に及んでも協力しない場合も十分されるので、協力しあった家族という奇跡に泣いてしまった。

章タイトルつなげてknot(結び目)にしてるの良いね。

子供達の奇病についてはエウレカセブンの絶望病を思い出した。
現実でも、難民の子供達にあきらめ症候群という昏睡状態に陥る病気がある(詐病だったらしいが)
作中だとリトアニアの子供達やダイアナ妃の話がされていた。
奇病の原因についてはもう最初から、子供達のゆっくりとした自殺だろうなと感じていたが、カウンセリングのところはミステリーのようで面白かった。虐待あるよなあ。

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2023年11月27日

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