あらすじ
二宮和也主演映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年12月9日公開)、究極の愛を描く感動巨編映画、その見どころを余すところなく伝えるノベライズ版。
原作は講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)。
第二次世界大戦で劣悪な環境のシベリア強制収容所に、捕虜として抑留された山本幡男一等兵。
妻やまだ幼い4人の子供とは離れ離れになったまま、消息もつかめない。
栄養失調や過酷な労働作業で命を落とす者、自ら命を断つ者が出るなか、
常に帰国する日を待ち、人間としての尊厳、生きる希望を持ち続けた山本。
絶望の状況において、収容所のひとすじの希望の光でありつづけた山本幡男を二宮和也が、
夫の帰国を心から信じ11年間待ちつづけた妻モジミを北川景子が演じる。
メガホンをとるのは『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『64―ロクヨン― 前編/後編』の
瀬々敬久監督、脚本は『永遠の0』『糸』の林民夫。
涙なくしては読み進めることができない、驚きと感動で心が震わされる、究極の愛の実話。
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Posted by ブクログ
実話をもとにしたシベリア抑留のお話。
いつ日本に帰れるかわからない。
雀の涙しか与えられない食事。
過酷な労働環境。
逃げ出そうものなら即射殺。
先の見えない壮絶な環境で、それでも希望を手放さず周りを鼓舞し続ける主人公の山本。
心が荒んだ兵士たちが山本の言葉や行動に突き動かされ、強くたくましくなっていくのが印象的。
日本で4人の幼い子供とともに山本の帰りを待ち続ける妻モジミも、希望を捨てず強かに生活している姿に胸打たれた。
最後、このたくましい夫婦に待ち受けるのは切ない別れ。
あまりに残酷だと涙せずにはいられなかったが、同時に戦争の恐ろしさをひしひしと感じた。
Posted by ブクログ
ソ連という国やソ連兵、自分を裏切った者を憎むでもなく、ひたすら家族と再会できることを信じて、人間らしく生きた山本幡夫さんに頭が下がる思いでした。
今の日本は、戦時中に命を落とした人達が願っていたような国になっているのか?自分は今の平和な生活を享受しているにもかかわらず、真っ当な人間として生きているのか?と色々なことが頭をよぎり、その度に考えさせられました。
残念ながら国家というものが存在する限り、国同士の戦争はなくならないと思う。
だけれども、人が人として在り続ける限り、他者への敬いを忘れず、また他者の生や自由を冒涜してはいけないと改めて思いました。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中、主人公の山本幡男は妻と4人の子供と別れる。その時、「日本で落ち合おう」と約束した。戦争後は戦犯犯罪人としてシベリア強制収容所(ラーゲリ)で10年以上強制労働させられる。共に強制労働させられていた人たちは帰国できずに極寒のシベリアで死ぬと諦めていた。山本は必ず帰国できると信じて、周りの人に希望を与え続けた。山本の周りには原、新谷、松田、相沢という強制労働させられていた人達がでてくる。山本を中心に帰国を信じ、ささやかな楽しみである句会を楽しむ腹や新谷。厳しい環境でも諦めない山本に嫌悪を示す松田や相沢。帰国を信じていた山本だったが喉の癌になってしまう。衰弱していく山本に原たちは遺書を書かせ、山本の意志を日本に持って帰った。収容されてから約12年後日本に帰国した原、新谷、松田、相沢は遺書を家族に渡すことができ、山本の魂は日本に戻ってくることができた。
山本を1番嫌っていた相沢が妻モジミに、モジミ宛ての遺書を届け、モジミが「お帰りなさい、あなた」と言ったところからモジミは辛い思いを子供たちには見せずに耐えてきたのだと思った。
どんな状況でもポジティブに考えることで、それが原動力として働くこと、それが周りを巻き込んで良い方向に進むことをこの本を通して感じた。
Posted by ブクログ
映画の余韻から冷めやらず、この本を購入しました。山本幡男さんの強くてピュアな生き方が素敵でした。暗記した遺書を仲間が遺族に伝えに行くシーンでは、仲間自身の家族への思いも伝わってきて涙が止まりませんでした。
Posted by ブクログ
映画の予告を見て気になっていたのだが、結局映画よりこちらを先に読むことになった。
こんな悲惨な出来事はフィクションであって欲しかったけど、主人公の山本幡男は実在する人物で、第二次世界大戦後にシベリアに抑留されていた60万人のうちの1人だ。
強制収容所(ラーゲリ)で約11年間過ごした。過酷な条件下の中、11年も強制労働させられるなんて想像もつかない。本では「それから2年半が過ぎ」と簡単に書けるけど、彼らにとっては絶望の中生きるか死ぬかの2年半で、とても長く感じただろうと思う。
故郷に帰れず、強制労働を強いられ皆が絶望に打ちひしがれている中、どんな理不尽な状況であっても喜びや楽しみを見出してくれる山本幡男がいたことで、どれだけの人の心が救われたか…。
結局日本に帰ることは叶わなく、家族にも会えなかったけど彼の存在は、多くの抑留されていた日本人に勇気を与え、救ったのだと思う。
彼だけじゃなく一人一人に人生の物語があり、戦争に囚われた中無念にも死にゆく人がたくさんいたことを再認識できた。
こういう歴史を知ることはきついけど、今生きている私たちは知らなければいけないと思う。読んでよかった。