【感想・ネタバレ】プリズン・サークルのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マイノリティ同士が出会い心を開かせ合う経験がそこでは積み重ねられている。

このような積み重ねが、刑務所のようなところではなかなか行われないだろうがもっとも大切に行われるべきだと思う。刑務所じゃないところでも、心が通う取り組みの場がもっと必要だと思う。

島根あさひの中のごく一部の人たちが経験し、参加した一人一人の、人生が言葉、出会い、助け合いにより立ち上がってくる。これまで助けを求めることが選択肢になかった人たちが少しずつ、手を伸ばし口を開き、、

著者が交流していた、東京拘置所の死刑囚の話。
ハワイ大学のジョンソン教授は、日本の死刑制度が過剰に社会との交流を阻んでいる、日本では死刑囚が、社会的死と、死刑執行により二度殺されるという批判が記されている。
日本でも力があるものはなんぼでもやり直しがきいたり罪にさえ問われないことが多いが、この死刑囚にかんする言説以外にもそもそも社会的弱者として生まれたり、一度なった者は何度も何度も陰湿な社会的死、無関心、そうなって当たり前という関心のみに晒され続ける。

映画でも、この本に載っている写真でも、あさひの受刑者の後ろ姿、皆同じ髪型、、子どもの頃から髪型や髪の色、着るものに細かい規則を作ってそれを守らせる、昔の軍隊みたいなことをみんなおかしいと思わないで今も変わらずやってる社会おかしくないか。受刑者だろうが学生だろうが、なんで髪型まで他人に決められてて当たり前と感じてしまうのか。

自分のものがたり。
学び落とし。
エモーショナルリテラシーの獲得。
感盲。
いろいろな言葉が全く想定すら想像すらできないレベルのもので、あまりに無知であったし、このサークルの中で語りだまり笑いうつむきTCに取り組む方たちにとっても未知の塊だったと思うのだがこれだけの果実がひとりひとりの言葉となり行為となり生まれることに恐れ入る。

それにしても日本のシステムのひとでなしっぷりがすごい。腹が立つ。
映画でも忘れられないシーン、映画の取材の最後に監督と面談した受刑者が、規則外の発言(発言のたびに手をあげ許可を求めるとルール自体意味がわからない!)監督という著者である坂上さんにはにかみながらも笑顔で、握手してもいいですかと聞いたシーン。握手もハグもできない、そのことがとても理不尽であり、痛く、辛い。誰とも触れ合うことができない規則これで更生とか社会に戻るため、なんてなんなんだろうか。
映画でも本書でも泣いてしまうところ。
さらに最後エピローグで坂上さんの家族が同じ時期に別の刑務所に入られていたことが記されていて驚いた。坂上さんの共感力、感度の高さ。人それぞれの人生の蓄積、積み重ねだものの重みによるところもあるのかなと思う。
普通の刑務所より、明るい建物、壁、パステルイエローとグレーの作業制服、それでも私には無機的で冷たい空間に感じられたが本書の表紙の装丁、装画は黄色い椅子が光り輝く金色に見えて、読み終えたあと表紙を見て、ハッとした。繋がり、関わり、愛情、希望を感じる金色の光。

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2024年01月22日

Posted by ブクログ

色々あり、この本や映画や刑務所の存在を知り読む。
書き方も入ってきやすく一日で読破。
映画は今後みる予定があり楽しみ。

ドキュメンタリー、受刑者たちの生々しい過去や凄絶な体験が綴られる。

誤った学習により自己防衛の知識技術を身に付けてきた受刑者たち
自分を守るのは自分しかいない、自分を守らなければいけない状況が常にある。
そして他者攻撃につながる。
人が自分や他者を傷つけなくていいように、人には人が必要 良い方法で支えてくれる誰かが必要


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2023年08月21日

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映画を観てから読んだが、映画にはなかった性加害の話もあり、難しい問題だと改めて思った。

映画にも出てくる主人公らは、加害の前に多くの被害を受けていて、加害者になってしまったのは社会の責任も大きいと感じた。更生施設が、更生のための機能を果たしてくれないと…と改めて感じた。

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2023年03月30日

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衝撃的だ。犯罪者といえば忌むべき恐ろしい存在で厳しい懲罰と管理が必要だ、というのが固定観念だったことに驚かされる。本書を読むと、刑務所に収容されている受刑者こそ、世代間連鎖の被害者であり、社会的弱者であり、刑務官、弁護士、社会常識のほうが冷酷で無慈悲な悪だと感じ、映画の主人公たちに感情移入し、エールを送りたくなる。成熟した社会は、加害者をうみださないのだろうか。映画を見てみたい。

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2023年03月30日

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語ることで自分の感情を認識することを感識。それを理解出来ないことを感盲。自分の子供の頃から今までTCの様に他人と語り合って自分の感情を知るということをどれだけしただろうか?
親からの虐待、友人からのいじめ等が被害者の感情を押し潰し、あろうことかその辛い経験を自己防衛から自分の経験から抹消するも、その負の経験が連鎖し、被害者が加害者になり、また、今の刑罰制度が懲罰の下にある意味、加害者への加害行為をしてしまう実態があること。
被害者の立場から加害者に懲罰を求める感情は、自然な感情であろうと思うが、加害者が加害行為をした背景に踏み込み、思いを至らすと別の処罰の文化があり得るべきとの本書の主張も理解出来る面がある。
戦争での加害、被害も同じ面があるのではないだろうか。色々新たな気づきがありました。


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2022年08月21日

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7/22
今日読み始めたばかり。プロローグ終わって一章駆け出しのところ。まずはじめの問い「傍観者とは?」
私は「この人に対しては私は傍観者」「でもこの人はnot傍観者」のように人によって使い分けていると思った。例えば電車の中で見るマナーの悪い人、傘の持ち方が悪い人、そんな人にいちいち立ち止まって声かけて注意して……なんてやってられない。別に一瞬すれ違った人が自分に危害を加えなければどんな行動をしても関係ない、そう思う。これは完全に傍観者
次に私の家族が、友達が同じことをやっていたら私は絶対に注意すると思う。
こうやって自分の身の回りにいない人に対して傍観者が増えた結果が「沈黙」なのだとも思う。
でも私はこうも思う。いままでどのように生きてきたかもわからない、数秒前に会った人に急に注意をされたら果たしてアッサリそうなのですね。と引き下がる人は何人いるのだろうか。電車内で喫煙をしている人に対して注意をした男子高校生が重傷を負った事件もある。
自分の身は自分で守る。そのために当たり障りのいいことしか言わない「沈黙の人」が多いのではないだろうかしら。 

現代の人はインプットに忙しく物事をよく考えることをしなくなったと思う。

7/26
怒りで解決しようとすること。怒りで空気を変えて相手の出方を変えようとすること。
犯罪を犯した人だけではなく周りに結構いると思う
そう考えると犯罪を犯した人も私たちとはよほど変わらないのかしら

7/29
周りに頼れる人がいないこと、自分を受け止めてくれる人がいないこと。それが犯罪に後々繋がっていくんだな。
実際に毎日逮捕が続いてて虐待や殺人、詐欺など今まではたまたま被害者になってなかっただけで次は自分かも。
加害者を減らしたいけどどうしたらいいか分からない

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2022年07月29日

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表題作の映画が公開されたらしいことは何となく知っていた。今年になって本書が刊行されて、ああ『ライファーズ』の坂上さんか、と気づき読んでみることに。(『ライファーズ』を読んだのは4、5年前かなあ、と思いながら本棚を検索したら…もう10年近くも前だった!びっくり。最近、時間の感覚が実際より短いことが多くて…分母となる時間が伸びたせいかなとやや自虐的に思い返しつつ。汗)

昨日、刑法が115年前に制定されて以来、初めての改正案が成立したらしい(正確には、成立の見通し、だったか)。懲罰ではなく更生を軸にするという。私個人としては、ようやく、という思い。SNSなどでは、何かと自己責任、犯罪には厳罰化の声が多いように思うが、はっきり言ってそれでは効果がないことは、様々な検証からほぼ間違いないといわれている。再犯してしまう人の多くが、出所後の支援がほとんどないために社会から排除されてしまい、社会での受け皿がないことが再犯に走る大きな原因である。そのことが社会に浸透していない。犯罪を防ぎたければ、社会で彼らを受け入れる土壌、意識、包摂の文化が不可欠なのだ。加害者に税金を使う前に被害者救済だろ、という向きもあるが、もちろん加害者の更生に向けた施策と同時に、あまりに希薄な被害者救済の手立ても進めていく必要もあるだろう。加害者がいれば被害者もいるのだから、どちらにも手を差し伸べなければ、本当の意味での問題解決には至らない。
そのためのひとつの方法として、修復的司法の取り組みがあると思うが、思いがけず、そこに話が広がっていた。以前から興味を持ち書籍などをあたっていたが、海外では1970年代から取り入れられている手法という記述が本作中にあった。30年くらいの歴史があるものと思っていたが、そんなに以前からある考え方だったとは。死刑制度の存続を支持する人が多かったり、自己責任論、厳罰化の流れが強い日本がいかに遅れているかを改めて痛感する。
今は包摂の時代。共生、多様性を実現したいなら、過度の自己責任論、個人への責任の押し付けは排除を生むだけだと、皆が理解しなければならない。

本書に登場する「犯罪者」たちが、犯した罪と向き合い、自分自身と向き合って、彼らが経験できてこなかった「人とのつながりの中で、自分も相手も尊重しあう」体験は、彼らを生き直させる。更生し人として成長し「被害者」や「被害者家族」からも応援され、社会で役割をもって暮らしている姿に涙がとまらなかった。

すべての人が同じように変われないかもしれないが、変われる人もいるのなら、それは取り組む価値がある。結局は、彼らの更生は、私たち社会に返ってくる。
みんながそう思えるように、社会が包摂の概念を受け入れられるように、地道に進んでいくしかないのかもしれない。

筆者によると、施設での職員の入れ替わりに伴って、島根あさひでの取り組みは本作が書かれたころに比べて、活動の様相が変化して弱くなっているらしい。なんとも残念なことだ。ぜひとも続いていってほしいし、ほかの更生施設でも取り入れてほしいと切に願う。

そして本作を通して強く思ったのは「話す」ことと「話を聞いてもらう」こと、対話の持つ力だ。修復的司法や精神療法としてのオープンダイアローグ、メンタライゼーションや依存症の自助グループの活動、そしてこの島根あさひでの取り組みなど、やり方の多少の違いこそあれ、対話が人を癒し対話が人を変化させている。ベースとなるところはどれも同じで、そのどれもが、人の中でその人がそのまま受け止められることで、人を癒しているということ。
つまるところ、実はその人自身にはちゃんと回復する力があって、その力を引き出すのは、その人を丸ごと受け止めてくれる誰か、なんだよなあ。
犯罪や精神疾患に限らず、虐待だったりDVだったり生活困窮だったり、社会の中にある解決すべき課題は、どこかの時点で、その中の誰かが、人とのつながりの中に入ることができたら、きっと何かが変わるはずなのに。
社会的な孤立や排除は、社会の問題を弱者に押しつけているにすぎない。人は人の中でしか癒されない。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

「サンクチュアリ」
「自己開示」
「対話」
「自己責任」
「厳罰化」
「加害者と被害者」
「理念と現実」

自己開示なんて、僕にはとても難しい話。だけど、どこかでそれを求めている自分もいる。ネットの世界では、自分の考えていることを「本音のように」話すことはそれほど難しくなくできるのだろうけど、現実には「本音のように」話すこともままならない。
自分を受け入れてくれる場所、仲間、環境。サンクチュアリをつくっていくのは誰なのだろうか。
話の舞台は「塀の中」だが、世の中の至る所で、サンクチュアリを求める人はたくさんいるんだろうな。

涙が溢れそうになっては、乾き。
感情が高ぶっては、低まる。

自分の思いがぐちゃぐちゃになっては、整頓されていく。
本では掴み取れなかった主人公たちの想いに、もっともっと触れたい。
映画が観たい。

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2022年06月11日

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怒涛の5冊買いの3冊目は、プリズン・サークルです。
私たちもまた、泣いているあの子を見捨てた加害者のひとりではなかったか?人はひとりでは罪に向き合えないのです。
埋もれていた自身の傷に言葉を与えようとする瞬間、償いとは何かを突きつける仲間の一言。圧巻のノンフィクションです。

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2022年06月09日

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2008年に「新しい刑務所」として開所された「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われているTC(回復共同体)という更生プログラム。それは、受刑者同士が互いの話に耳を傾け本音で話し合いながら罪と向き合う。
日本で初めて刑務所内での長期撮影を行った模様が映画化された『プリズン・サークル』(坂上香監督)の書籍版。映画で登場した彼らの「その後」を知れ、罪とは、罰とは、更生とは何か?ということを問いかけてくる。昨年、映画を見ましたがその衝撃が大きく、このように書籍化され冷静に自分自身に向き合えました。

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2022年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

“反省させると犯罪者になります (新潮新書)”をすぐに思い浮かべた。受刑者の多くは反省する以前の状態なのだ。他者との対話を通して自分自身と向き合い、自分自身の傷に気付いて初めて被害者の痛みを知る。その行程までに結構な時間を費やす。
厳罰化だけでは犯罪は減らないし、真の意味での更生を望むならTCのような取り組みと出所後の支援も必要なのだと思った。

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2023年11月14日

Posted by ブクログ

とても面白い。

もちろん全員ではないが、自分の犯した罪に対して罪悪感がない受刑者って一定数いるんだろうなと思った。
本書でも「なんで悪いのかわからない」とか「なんで自分ばっかりこんな目に遭わないといけないの」とか言ってる人何人もいて驚いた。

だって彼らは公判でも反省していますと言ったり反省文書いたりする。
でも、やっぱほんとはそうでもないんだと驚いたし、
そのリアルな内心を拾えたことが本書のまず大きな成果だと思う。

受刑者たちは幼少期に虐待やいじめなどの経験がある子も多く、生きづらさを抱えている人が大概であるから、被害者意識の方が強いというのも興味深い。
そして自分と向き合って自己憐憫を認めてその原因を考えてそれを取り除いた上で初めて、罪悪感をもち反省する気持ちが芽生える、ということもよくわかった。
私たちは反射的に「悪いことしたら反省しろよ」と思ってしまうが、それは実は途方もなく長いプロセスが必要なんだな。
罰としての刑務作業ではなく、罪悪感を持ち反省に至るような思考のプロセスを形成できるトレーニングを提供しないと、絶対にまた再犯するだろうしこの世から犯罪はなくならないと強く思う。
来年の拘禁刑導入を機に、刑罰の形が良い方向に変わるといいな。

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2023年10月07日

Posted by ブクログ

 刑務所での刑罰というイメージが、根底から覆されるノンフィクションです!

 プリズン・サークル‥塀の中の円座。受刑者同士が語り、問い、己の罪と向き合うだけでなく、過去の記憶と喜怒哀楽の感情を呼び起こします。そしてそれらを表現する言葉を獲得し、新たな、いや、ひょっとしたら人生初の価値観や生き方を身に付けていく姿が克明に描かれています。
 読み手はそれらを目の当たりにし、人間的成長や相互影響の大きさを実感し、心を揺さぶられます。

 受刑者の語りからの共通点として、「加害者はかつてもれなく何らかの被害者だった」という事実が浮かび上がります。つまりは「負の連鎖」なのですね。だからこそ、本作で描かれるTCユニット(後述)が、塀の中ではなく、塀の外にこそシステム構築される必要があると痛感しました。
 もうこれは学校教育の中で行われる「対話的で深い学び」に他ならない気がします。ICT(情報通信技術)教育も大切ですが、学校は何か大事なことを疎かにしている気がしてなりません。痛切に考えさせられる秀作でした。

(以下は、本書刑務所の特徴と著者の紹介です)
 島根にある官民協働の新しい刑務所 : 社会復帰促進センター。初犯、刑期8年以下、男性のみ対象とし、これまでの刑務所の顕著な特徴である〝懲罰対象で半強制の「沈黙」〟の逆のアプローチを推進する刑務所です。特に、受刑者(訓練生)同士の対話により更生を促す「TC(セラピューティック・コミュニティ=回復共同体)」プログラムを、日本で唯一導入しているのが大きな特徴です。

 著者は、米国の受刑者を取材し続けてきた、ドキュメンタリー映画監督の坂上香さん。2022年3月初版発行です。坂上監督による同名ドキュメンタリー映画が2020年1月に公開され、文化庁映画賞・文化記録映画大賞を受賞されているようです。取材許可まで6年、プログラムの密着撮影2年、完成まで計10年を要したとのこと‥。(私はまだ拝見しておりません。動画配信サービス・販売DVDも見つけられず‥、残念です)

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2023年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を見てないのでそれが残念です。
受刑者の更生プログラムとして、とてもユニークだが効果があると思いました。人間はいつでも変われるのだということが示されていました。また受刑者の体験から子ども時代の虐待問題も見過ごせないし、続く負の連鎖を断ち切るプログラムでもあると思いました。

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2023年07月20日

Posted by ブクログ

日本が隠しているものの一つ、収監施設。
そこにいる人、そこでどんなプログラムがなされているのか。
暴露ではなく、「伝える」ために辛抱強く丁寧に取材してくださった内容がまとめられている。

著者が女性だったら受けなかったであろう対応に悔しさを覚える。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

そもそも刑務所の仕組みについて、ほとんど知らない、というか気にかけたことがなかったことに気が付く。そのため、このような更生プログラムが行われていることにいい意味で衝撃を受けた。しかも、本書に出てくる受刑者たちの生い立ちや家庭環境も壮絶だ。そんな受刑者たちが、徐々に心開いていく様はとてつもなく読み応えがあり、固唾を飲んで読み進めた場面も多かった。

もちろん前進する受刑者もいれば、後退するもの、変わらないものもいる。本書には、更生プログラムを軸に、刑務所の在り方、厳罰化の流れ、地域や社会とのかかわり方、様々な問いを発している。どれも自分たちのことでもあるのに、あまりにもこうしたことに無知だったことに気が付かされた。自分の知らない未知の世界について、考えるきっかけをくれるノンフィクションならではの読書体験だった。

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2023年02月05日

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暴力が連鎖してしまう社会について、考えさせられた。
絶望と希望。心を委ねられるサンクチュアリがあることが、いかに大切さかについて涙しながら読んだ。

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2022年10月25日

Posted by ブクログ

アミティ(Amity 友愛)
TC(Thrapeutic Community 回復共同体)
サンクチャリ
「島根あさひ社会復帰促進センター」の概略は何年か前にテレビて放映されたものを見た、画面上はぼやかしていた、先進的な刑務所施設という内容だった様に記憶している。
TCユニットと言う閉ざされた世界での取組み、訓練を受けた人は幸運だったと思う。

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2022年08月07日

Posted by ブクログ

受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語り合う、そんな更生プログラムを持つ男子刑務所がある。そこで2014年夏から2年間、出所後の取材を含めると5年余り監督としてカメラをまわし、2020年に映画として公開した著者の渾身のノンフィクション。
舞台は島根あさひ社会復帰促進センター。日本で4つしかないPFI刑務所のひとつで、ドアの施錠と食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視するなど、従来の刑務所にないシステムが取り入れられている。
著者が取材したのは、ここで実施されているTC(セラピューティック・コミュニティ)と呼ばれる更生プログラム。受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促すことを目的としている。受刑者は犯した罪だけでなく、幼い頃の貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶をたどり自らの感情に向き合い、それらを表現する言葉を獲得していく。これはエモーショナル・リテラシーと呼ばれ、感情の読み書き能力を鍛えること。そして、隠してきた辛さや隠されてきた恥をグループの中で明かし、サンクチュアリ(安心できる場所)としてグループ全体がそれを包摂するというもの。「暴力を学び落とす」ことにもつながる。日本の刑務所を特徴づける沈黙とは真逆の「対話」をキーワードに受刑者の人間的な成長を目指し、ひいては再犯防止に繋げようという取組だ。受刑者の再犯率が高いということは、これまで頭にインプットされていたが、今後、再犯防止へのTCの効果が広く認められ、定着していくことを願いたい。また、子どもの頃に受けたいじめ、虐待、暴力で無力感が身に付き、それが自分より無力な相手に対する暴力を振るうようになるという連鎖についても強く胸の中に残った。 

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2022年07月03日

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出版のタイミングで期間限定の配信があり、同名の映画と監督のトークイベントを先に見たのが大正解。このふたつはそれぞれ完成された作品なのだけど、併せて鑑賞することで見えてくるものが立体的になってくる。個人的な傾聴経験からも、社会には「安全に語り合える場」が必要だと常々感じるところでもあり、「今ここ」で、自分にできる事を続けたい。

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2022年05月16日

Posted by ブクログ

『スモールワールズ』で作者が参考にしたという書籍

作者はドキュメンタリー映画監督

本作はTCという新しいプログラムが行われている刑務所「島根あさひ」でそのTCへの参加者数人を取り上げ、TCのプログラムや受刑者の変化などをインタビューを通してまとめたもの

犯罪者となった彼らのバックグラウンドを知ると、そこに至るまでの家庭環境、教育の影響が大きいのを感じる
そして、その彼らを本当に更生、矯正させるにはどういう術が必要なのか

もう少し、関連作を読んでみたい

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2024年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出てくる人たちの来歴のすごさに言葉がなくなる。だから許されるという訳ではないのだけれど,そういうところに光が当てられないとダメなんじゃないかと思う。

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2023年07月31日

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映画「プリズン・サークル」撮影の過程、あるいは後日談。

 舞台の島根あさひ社会復帰促進センターはれっきとした刑務所である。PFI刑務所と呼ばれる官民混合運営型で取り組まれる「TCユニット」と呼ばれる更生に特化したプログラムに参加する受刑者と支援員の物語。

 このTCサークル、素晴らしい取り組みである。TCサークルがどなんものかということは本書を読んでいただくとして、しかしながらこの取り組みがこの国の「犯罪者を懲らしめる」ことを唯一の目的とした刑務所のあり方を変える蟻の一穴にはなりそうもない、ということも著者は感じている。それほどまでに、この国の刑務所行政は堅牢であり、LBGTQや入管問題や夫婦別姓問題と同様、世界の常識からずれまくっている。つまり、人権や個人が全く尊重されていないのである。

 僕らはすでにノルウェーのリゾートみたいな刑務所(ルトガー・プレイグマン「希望の歴史(下)」)、ハルデン刑務所の取り組みなどを知っている。

希望の書・・・・というより、絶望の書かもしれない。

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2023年06月10日

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