【感想・ネタバレ】韓非子 悪とは何かのレビュー

あらすじ

日本人が知らない
性悪説の教科書

秦の始皇帝が、著者に会えたら「死んでもいい」と感動して天下統一に用いた思想「韓非子」。
中国哲学史研究の泰斗による読みやすい訳文と豊富な解説、名著復刊。


『韓非子』は悪に対して面と向かう。悪を事実として認め、その悪を逆手(さかて)にとって法で組み伏せようとする。戦闘的である。さらには悪の上手(うわて)を行き、こちらも権謀術数(術策)を弄(ろう)せよという。権謀術数――これ自身、悪ではないか。つまり、『韓非子』は悪に対して悪をもって立ち向かおうとするのである。悪には法を、あるいは悪(術)を――それは、悪の論理とでも言うべきであろう。
——加地伸行〈『韓非子』とは何か〉より抜粋


乱世に読んでおきたい
悪の論理 90編
悪には法を、あるいは悪(術)を

◉しらみの悟り◉伯楽(はくらく)の教え◉あらぬ疑い◉君主のありかた◉扁鵲(へんじゃく)のみたて◉大器晩成◉刑罰の用い方◉外面に騙されるな◉儒家(じゅか)・墨家(ぼくか)の偽り◉待ちぼうけ―守株(しゅしゅ)◉統御術の重要性◉国を食う五匹の蠹(むし)◉矛楯(むじゅん)◉利で人を動かす◉罪は重く◉亡国の兆(きざ)し◉沈黙する者にも責任を◉改革の必要性◉悪評の臣こそ君主の利益となる◉使いこなせない者とは◉職務怠慢と越権行為と◉亡国の君とは◉人を信ずれば、人に制せられる◉君主への意見の出しかた◉間男された上、犬の糞(くそ)を浴びせかけられた男◉狡兎(こうと)尽くれば良犬烹(に)らる◉犯罪防止法

矛盾、守株、余桃罪などの出所になった逸話が満載

【主な目次】

韓非子
『韓非子』とは何か 加地伸行

他、韓非伝、中国における『韓非子』、日本における『韓非子』など豊富な解説

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!
韓非子は学生の頃、教科書で読んだ時以来だった。しかも、記憶に残っているのは肝心要の内容ではなく、挿絵がイケメンだったこと、そして「法家」ってなんか格好良い響きだな、と思ったことだけである。いやはや、残念なほどにミーハーだ。

本書は「韓非子」の現代語訳、「韓非子とは何か」、韓非伝、中国における韓非子、日本における韓非子、の4本から成る。
賛否は分かれるだろうが、個人的にはこの竹を割ったような韓非子の論説は好ましく思うーー実際にこのような上司がいた時に嬉しいかどうかはおいといて。自分が優秀だったら嬉しいけど、そうでなければキツいなぁ、と。

人は利己的な存在である、というのは、最近どっかで読んだな、進化論的な話だったけな。

理を以って人を使う、君主は率先するな、倹約の裏側、王のお気に入りを見抜く、あたりは今でも使えそうだ。いずれにせよ、自分を出す前に人をよく見抜き、姦計に陥らないようにせよ、って話なのだろうと思う。
まぁ時代もあるので全てが現代に合致するとは言い切れないが、参考になる部分も多々あった。一読の価値はあるだろう。

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2025年07月02日

Posted by ブクログ

本書では法家を代表する中国の思想家韓非の思想を学ぶことができます。

加地伸行氏は上で紹介した『孔子』や『儒教とは何か』の著者で、その面白さ、わかりやすさは折り紙付きです。今作でもその加地節は冴えわたっています。

私個人の感想ですが、以前読んだ『論語』より圧倒的に読みやすいです。そして少し皮肉が効いているというかいいますか、ブラックユーモアのような内容が語られるのも面白いです。まるでチェーホフの短編小説を読んでいるような気分になったのが印象に残っています。特に以前紹介した『仮装した人びと』は特にそれが当てはまるのではないかと思います。この一致は二人の冷静で徹底的な人間洞察のなせる業でありましょう。非常に興味深かったです。

ものすごく刺激的で面白い読書となりました。古典=堅苦しいというイメージを覆す書物です。

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2024年12月19日

Posted by ブクログ

気持ちよいくらい決めつけて掛かる。性悪説を唱える人は、人間不信というだけだろうか。そもそも人間は利他的だと信じる理由は何もないし、利己的だと決めつける理由は色々ありそうな気もする。そう白黒はっきりはしないだろうに、法に効率を求めると偏ってしまうのかな。

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2023年01月16日

Posted by ブクログ

『韓非子』の現代語訳と解説、主観強め?

悪い奴の類型がいろいろ

●四四 君主は臣下の名と実とを把握せよ

姦臣が君主を欺こうとするときには、多くの人の力を借り、ことば巧みに信用を得、類例をあげて自分の意見を正当化する。このような場合、君主が怒りをこらえてその結果の有効さを照合するという方法をとらなければ、姦臣に欺かれ、君主の権勢は臣下に移ってしまうであろう。(八経編)

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2022年10月30日

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