あらすじ
2016年から東京大学で開講されている人気講義「ボーカロイド音楽論」。
毎年初回の授業は数百人が受講、オンラインでは千人を超える視聴者が聴講することも。
初音ミクでスタートした講義はフロイトやラカン、ソシュール、いったいどこまで広がっていくのか……。
2020年代の「教養」のすべてがこの一冊にある。
プロローグ
第1部 アンチ・セクシュアルの時代
1章 ハチ=米津玄師論
2章 近代的主体と「裏表ラバーズ」 ~wowaka論~
3章 厨二病はなぜ中2で発症するのか? ~初音ミク小論~
4章 人のセックスを笑うな ~DECO*27小論~
5章 成熟と喪失 ~みきとP小論~
6章 融ける世界とフロイト ~kemu小論& はるまきごはん小論~
第2部 2020年代のジェンダー/セクシュアリティ論
7章 2020年代のジェンダー/セクシュアリティ論入門 ~flower小論~
8章 (言語という)かなしみのなみにおぼれる~あるいは「Neruによるラカン」~
9章 「東京テディベア」論 ~あなたの身体は誰のものか~
10章 サブカルチャーと書いてフェミニズムと読む
第3部 あらかじめ思い出だったすべての声のために
11章 身体のディスコミュニケーション ~表象文化論入門~
12章 声の肌理という神話(を引き剥がす) ~現代押韻論~
13章 残響論 ~Orangestar小論~
14章 音楽と涙の区別がつかない ~録音音楽と時間~
15章 ポケットが虹でいっぱい ~ぽわぽわP論・前編~
最終章 Human ~ぽわぽわP論・後編&ボーカロイド音楽論~
エピローグ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
カラオケや2次系で受動喫煙してたボカロをちゃんと知りたくて、ニコ動を再生しながら。
カルチュラル・スタディーズな感じだったので分かりやすくて面白かった。ボカロのPVに注目したことがなかったので、ちゃんと見なきゃな。
紹介されてる中で全く知らないPさんはいなかったし、知ってる曲も結構多かった。流石に世代ど真ん中だけある。でも、ボカロ曲を噛み締めたことがなかったのでとても新鮮。人生で1番ボカロを聴いた3日間になりました。マイリス作ったのでこれかもちょくちょく聴く。
Posted by ブクログ
ジェンダー学に関連した話が多くて面白かった。ソシュールの理論だったり、Miles DavisのSo whatが例としてあげられたりしてるのが、自分の興味分野に被っていて楽しかったです。
Posted by ブクログ
●2025年5月8日、吉祥寺・外口書店にあった。
1,400円。
●2025年5月9日、息抜きにグラビティの読書の星みてたら、トピック「何度も読み返す本ありますか」という質問にこの本をあげてる人がいた。5/4の投稿。
「君は月夜に光り輝く
東京大学「ボーカロイド音楽論」講義
さみしい夜にはペンを持て
好きな本達です(傘)」
→ まさかの昨日の今日で書いてる人を見つけるとは。
●2025年5月26日、東京大学・書籍部にあった。セッションで寄った日。平積み(1冊のみ)。
【「学問の入口」フェア2025
現在(いま)を考えるための教養書16選:企画 東京大学出版会】に選ばれて置かれていた。
Posted by ブクログ
鮎川ぱて『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』を読み終えた。
本書は、その名前のとおり、東大教養学部で開講されている、ぱてゼミこと「ボーカロイド音楽論」講義を書籍化したものである。
初音ミクなどで有名なボーカロイドによって歌唱される曲、ボカロ曲について、ジェンダー論や記号論などを交えながら、作品と作者個人を切り離して批評していく。
特に印象に残ったのは、ジェンダー論についてで、あくまで本書(本講義)のジェンダー論は入門であるとされていたが、
セクシャリティに「他称」はないと述べられているところなど、その人の性はあくまでその人自身のものなのだが、「男の子/女の子だから……」「男/女なのに……」など、普段から無意識に「他称」していないかと反省させられ、
きちんと理解していなかった内容も多く、自分のジェンダーに対してのリテラシーの無さを反省させられた。きちんと勉強しないといけない。
その他、様々な論点についてボカロ曲批評を通して述べられており、読みごたえのある本だった。
本書は「外野」に理解してもらうことを目的としていないとはあったが、米津玄師が「ハチ」という名義で、ボーカロイド曲を多く作ってきた人だと知らなかった人は、是非読んでみてほしい。