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この作品のカラーはブルーグレー
相変わらずこの作家さんは情景描写が細やかで、上海租界の華やかな世界と裏の社会の対比が目に浮かぶようです。
はっきり言うと、この作品は甘い恋物語とは遠いです。辛口です。甘さを期待して読むと、がっかりするかな。
主人公の秀英と笙鈴は過酷な運命に翻弄されながらも、自分の頭で考え、失敗しながらも、しっかり自分の足で立とうとするのは印象深く、惚れ惚れします。だけど、お互い依存するような甘えた考えがないから、辛いわけです。例えば、笙鈴が秀英を姓の『胡』と呼び捨てにするような。
どこかで読んだことある登場人物だなと思ったら、この作家さんの『淡雪のごとく恋は降る』に繋がる作品でした。パズルが合ってスッキリ。だけど、読み返すには重い。