あらすじ
国会議員への不信が高まっている。1990年代以降の一連の政治改革を経ても、議員の活動・役割は見えにくい。本書は、人材、選挙、政策形成、価値観、資金、国際比較など、あらゆる観点から国会議員の実態をデータに基づき描く。世襲や秘書出身者の増加、少数の女性議員、なお不透明な政治資金、憲法・安全保障と異なる社会経済政策を巡る対立軸の不在など、多くの問題と原因を指摘。日本政治に何が必要か改革の方向性を示す。
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Posted by ブクログ
■議員立法の副産物
野党提出の議員立法は殆ど審議されず、成立する可能性もほぼないが、提出することには様々な副産物がある。
第一に法案の形成自体が議員の教育機会となること。議員立法を国会に提出するには労力を必要とするが、政党では議員立法を議員の能力形成の機会として重視してきた。
第二に議員立法が政党のアピール、公約の充実、政権担当能力の評価につながること。
第三に議員立法は官僚制への問題提起になること。法案の問題意識や内容が官僚に検討を促し、閣法として部分的に盛り込まれ、後の国会で成立していく場合もある。
第四に議員立方は議員の等へのアピールになる。
議員に立法には政党、選挙、官僚、議員個人にとって様々なメリットがある。
Posted by ブクログ
現在の政治資金に関する問題に興味を持ち読んだ。
政治家の仕事について知ることができ、お金がかかることは理解できた。
また立法制度や現在の議会の制度について専門家である筆者からの意見もあり新たな視点から見ることができた。
Posted by ブクログ
読書の動機
本書は某情報番組において「国会議員の活動を理解するうえで基本となる書籍の一つ」として紹介されていた。そのため、国会議員の役割や実態を体系的に理解できると考え、読書に至った。
内容の概要
本書は、人材・選挙・政策形成・価値観・資金・国際比較といった多角的な観点から国会議員の実態を調査データに基づいて分析している。さらに、現在の国会議員が直面する問題点の原因を明らかにし、日本の政治において今後必要とされる方向性を示している。単なる制度解説にとどまらず、議員の行動パターンや資金調達の現状などを数値的に示している点が特徴である。
読後の評価
一方で、以下の点において理解が難しい部分があった。
1.専門用語の説明不足
•「委員会」と「国会対策委員会」など、名称が似ている用語が解説なしで混在して登場する。
•「国対」「国対委員」などの略称についても十分な説明がなく、初学者には理解が難しい。
2.プロセス解説の不均衡
•法案提出前のプロセスについてはフローチャートが掲載されている点は評価できる。
•しかし、その中で与党内で行われる「事前審査」については図表上で十分に説明されておらず、読者がどの時点でこの手続きが行われるのか把握しにくい。
•他のプロセスは可視化されているだけに、事前審査の扱いが不十分である点は惜しまれる。
3.知識前提の高さ
•本書は国会制度や議会運営に関する基礎知識がある読者を前提に書かれている印象を受けた。
•このため、基本書として紹介されていたことにはやや疑問を感じた。
総合的所見
本書は、国会議員の職務とその背景をデータに基づいて立体的に理解できる優れた研究成果である。内容の密度が高いため、一度読んだだけでは消化しきれない部分も多く、疑問が生じた際に再読することで、理解がより深まると考えられる。特に専門用語や制度の位置づけを補うために、ChatGPTなどの外部サポートツールを活用することで、読者の理解を助け、学びを一層確実にできるだろう。