あらすじ
大手IT企業の人事部に所属する梅原美織。彼氏はいないが、同僚にも恵まれ平和で充実した日々を過ごしていた。
ある日、親会社から社長の甥・海堂衛司が出向してきた。
仕事のできるイケメン御曹司・衛司に社内中の女性たちが色めき立つ。そんな高嶺の花の衛司が、美織の家を訪ねてきて驚くべき事実を告げる!!
帰国子女だったヒロインの忘れられない初恋が思わぬ展開を見せる、ドラマチックで激甘なラブストーリー。
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Posted by ブクログ
大手IT企業で働くヒロイン・美織の前に、突然現れたのは
かつてアメリカで恋をした初恋の人。
再会した彼・衛司は親会社の御曹司として出向してきたエリートで、社内の誰もが憧れる存在。
10年以上の時を経て再び出逢った二人は、途切れてしまった初恋の続きを静かに歩き出します。
事故で記憶を失い、ヒロインとの関係さえも思い出せなかったヒーロー。
それでも“目覚めの瞬間に思い出したのは彼女の名前”という展開に胸が熱くなりました。
記憶を取り戻した途端に彼女を求め、迷いなく守ろうとする姿が本当に男前で、
ヒロインを想うあまり「自分が彼女のストーカーなんだ」と堂々と宣言してしまうくらいの一途さも、
微笑ましくて愛おしい。
ヒロインは過去の傷を抱えながらも、穏やかで人を思いやれる大人の女性に成長していて、
ふたりの再会が“初恋の続き”ではなく、“新しい恋の始まり”として描かれているのも素敵でした。
会社内でのトラブルや嫉妬、陰謀などシリアスな要素もありながら、
最後にはヒーローが毅然とヒロインを守り抜く展開にスカッとしました。
そして、作中で繰り返し登場する薔薇の花。
会うたびに意味の異なる本数の薔薇を贈るヒーローの想いが、本当にロマンチック。
情熱、尊敬、感謝、そして永遠、言葉にしなくても伝わる愛の形が美しかったです。
エピローグでの「ヒロインの好きなところを10個言いなさい」という母の問いに、
ヒーローが“全部”と即答したうえで、A4数枚に及ぶ愛のリストを送るくだりは圧巻。
甘くて、ちょっと恥ずかしくて、でも心から「彼女を幸せにしたい」という想いが伝わる名シーンでした。
初恋から時を経て、再び惹かれ合い、信頼と情熱で結ばれる。
まさに“溺愛再会ロマンス”の王道でありながら、読後は薔薇の香りがふわっと残るような
優しくて幸福感に満ちた作品でした。