【感想・ネタバレ】車椅子バスケのJリーガー 4度目のパラリンピック日本代表選手を目指してのレビュー

あらすじ

車椅子バスケットのプレイヤーとしてシドニー、アテネ、北京のパラリンピック3大会連続日本代表選手となり、北京では日本選手主将も務めた京谷和幸さん。人気漫画家・井上雄彦氏が描く車椅子バスケ漫画「リアル」のモデルでもある。また、昨年公開の映画「パラレル」では、妻:・陽子さんとともに夫婦で主人公モデルとなった。この本は、Jリーガーだった彼の交通事故による挫折をともに乗り越えた妻・陽子さんとの感動ラブストーリー。

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Posted by ブクログ

みなさん、「車いすバスケットボール」という種目をご存知ですか?日本は車いすラグビーが有名ですが、実は車いすバスケットボールも有名なんです。

車いすバスケットボールはコートもリングも健常者のものとまったく同じで行うものと、ミニバスケと呼ばれる特別なリングを使ったものがあります。障害の重度によってポイント(思いほど低い点数になる)というのがあり、各チームがそのポイント内で選手を選別して試合に臨むシステムとなっています。
ここで大事なのが、2点の選手です。重度の中でも車いすの座高がグンと下がり、機動力が試されるので、この辺りの選手がどれだけ動けるかで、チームの勝敗を大きく分けます(ポイントが1〜2の条件は下半身付随であることなので、低いバスケ車でないと操作が難しい)。

京谷和幸選手は、ある日、突然下半身付随になりました。生き地獄のような毎日の中で、生涯の生き甲斐を見つけました。
サッカーで鍛えた持ち前の体幹は、下半身付随になった時点で死にましたが、彼はそれを凌駕するバスケ車の感覚を手に入れました。類い稀なる努力のお陰で。車いすバスケットボールでは、車輪を早くこぐための腕力と、車体を擦られてもボールを落とさない重心感覚がとても大切です。毎日毎日、たくさん怪我を繰り返して、彼はこの感覚を身に付けたのです。

「足が車椅子に変わっただけ。」

彼はそう言って笑い飛ばしますが、当事者でないと絶対に理解できない僥倖なんだと思います。

15年前の本ですから、今どうしていて、この頃と気持ちが変わっているかも知れないけれど、私自身が車いすバスケットボールに携わった経験があり、今でもその頃の人たちと連絡を取ったり、練習に参加している身としては、とても愛おしく感じました。

余談ですが、みなさんは、車いすバスケットボールの選手が、床に転がったボール(バウンドしていないボール)を拾う方法を知っていますか?
ボールを手と車輪で挟み、車輪の回転でクルッと持ち上げるんです。初めてこの動きを見た時、私は心の底から「かっけぇっ」って思いました。選手たちはみんな肩も腕も胸もパンパンのゴリラみたいな人たちです。その人たちがふと見せる繊細なテクニックが、『んだよテクニックもあんのかよ』って男心をくすぐります。ぜひ、YouTubeなどで試合をご覧下さい。なお、かなり転倒シーンやハラハラする場面もあるので、心してください。

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2025年08月19日

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