あらすじ
夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介など日本文学史に名を残す10人の文豪が書いた「妙な話」を集めたアンソロジー。犯罪心理など「人間の心の不思議」にフォーカスした異色のミステリー10篇。
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Posted by ブクログ
10名の文豪の作品の中から、不思議な出来事や犯罪に関する話を集めた本。当然10編が収録されているんですが、本文約380ページのうち半分の約190ページは正宗白鳥の「人を殺したが…」が占めるというなかなか尖った構成だった。
ミステリーとは言うもののファンタジーっぽい話もあるので、まさに「妙な話」(これは芥川龍之介の作品のタイトルでもある)といった感じ。
どの話も書き手の個性が出ているなあ、と思った。個人的な推し作家は横光利一だが、今回楽しく読めたのは佐藤春夫の「時計のいたずら」。唸ったのは谷崎潤一郎の「私」。
「人を殺したが…」はドストエフスキーの「罪と罰」を意識しつつも、もや〜っと気味の悪い雰囲気の結末にたどり着くのが面白かった。
この本は好きなゲームと書店のコラボイベントの際に陳列されていたものなのだけれど、10名の文豪はちゃんと全員ゲームに名前が登場する。ゲームを意識して作られた本なのかは分からないが、出会えてとても嬉しい本だった。