【感想・ネタバレ】限りある時間の使い方のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『限りある時間の使い方』

【概要】
➤ 時間は有限/死は刻一刻と近づいている
➤ 人は時間そのもの/時間を己と切り離すことは不可能
➤ 昨今のタイムマネジメント術が、時間の余裕/心の余裕を与えてくれることはない
➤ 「忙しい」とは永遠に付き合う








 『限られた時の流れの中で生きていく』
「自分は限られた時間である」といハイデガーの言葉。
時間の有限性こそが人間を成立させる絶対的条件。時間をどう使おうかと考える前に、私達は時間という大河の流れに放り込まれている。そして、その大河の行き着く先は「死」という一人の人間の終わりである。
「decide」の語源とdeなったラテン語「decire」は「何かを切り離す」という意味で、限りある人生の中で選択をし続けるということは、「絶え間なく可能性に分かれを告げる過程」であるということを意味する。
つまり私達は、限られた時間のなかで、常に何かに別れを告げながら生きている。


 『生産性とは罠なのだ』
生産性を上げて、必要なだけお金が手に入っても、望むライフスタイルや「欲しいもの」は増えていくだけ。ひとはどんなに仕事で成功をしても「やるべきことをやっていない」という感覚に陥る。
そして、毎日はどうでもいいタスクをこなすだけ。ただ毎日を努力していたら「いつか」自分のやりたいことができる日が訪れると信じている。
「周囲の期待に応えて、完璧に効率化された自分になったとき、初めてやりたいことに専念できる日がくる」と信じているが、そんな日は一生やってこない。


 『底なしのバケットリスト』
自分の持つ時間という容器に、TODOリストにあるタスクを入れ込み、毎日その容器を片付けることに専念し、無事に空になったら満足する。しかし、そもそも論、ひとの容器に入り切らないほどの「やること」がこの世に溢れかえっているから、どれだけ容器空にしても遣る瀬無さを実感するのだ。
地球は「やりたいこと」を底なしに提供してくれる。ひとは世界中のありったけの体験をして、「生ききった」という感覚を手にしたいと考える。しかし、世の中には無限の体験が存在するので、いつまでたっても自分の一生に満足できる日はやってこない。もっと良い体験があるはずだと、無力感に苛まれる。


 『生の実感を持つためには』
必要なのは、前提を変えること。
 ①自分の有限性を直視すること。
私達はいつも、人生の冷酷な現実に向き合うのを避けて、気晴らしを探し、忙しさに没頭し、後戻りができないのが怖くて、世間に自分の一生を決めてもらおうとする。
何かを捨てて、何かを選ぶということが怖くて、選択肢が無いふりをしているだけだ。しかし、一人の人間の一生は確実に終わりに近づいている。自分で自分の生き方を決める(選択)するためには、まずは自身の有限性を直視することである。
(「時間は無限にある」「そもそも終わりを見据えていない」状態だと、選択をすることに消極的になるため)
私達は有限だ。限りある人生を生きることを真摯に受け止めることから。「生の実感」を持つことができる。

 ②何かを捨てること
すべてをこなさないといけないという誘惑に打ち勝つこと。「やらないこと」を決めること。本当に重要なことに集中すること。
楽しいことを全て体験したいという誘惑に打ち勝ち、自分にできることはこの世の中のほんの一部だけしかないと知ること。
どんなに時間を節約しても、本当に意味のある生活を手にすることはできない。大切なことに時間をかけるには、何かを捨てるということが必要である。

⇒ やらないことを決めること。本当に意味があると思うことを決めること。それによって生の実感を持つことができる。


 『選ばなかった選択肢は奪われたのか?』
そもそも生まれてこなかったことに比べると、人生が4,000週間もあるということ自体が奇跡である。私達が、時間という流れの中で生きていられることが奇跡であり、その時間の中で、数あるものの中から「選択できる素敵なメニュー」が存在することも奇跡である。
つまり、私達が存在していることは「当たり前ではない」のである。『自分の人生は借り物の時間』であり、その借り物の時間の中で、素敵なメニューの中から好きなことを選べるチャンスを貰っている。
メニューの中から、なにか一つしか選べないということは、何かを捨てるという敗北ではなく、決められた時間の中で、「あれ」ではなく「これ」をするという前向きなコミットメントである。
「他にも価値のある選択肢を選べたかもしれない」という事実こそが、目の前の選択に意味を与えるのだ。例えば、結婚。結婚した相手以外の女性という価値を全て断念して、それら全ての価値よりも、目の前の女性に価値を見出しという、自分のコミッメントである。
自分の人生の全ての選択は、本当はなかったかもしれない貴重な時間の過ごし方を自分で選び取った結果なのだ。

 『より充実した時間を過ごすには』
①注意力を自分の手に戻すこと
人の人生は注意力によって形成されている。
自身の周囲にある無数の情報の中から、その瞬間に集中できる事象か限られている。
今生きている時間の中で、何に目を向けるかがその人の人生を形成する
(SNSはその人の注意力をそらすものだ)

②先延ばしにしないこと・期待しないこと・不快感を受容すること
人は本当にやりたいことを"今"やらない傾向がある。それは、一生の有限性に直面するのを避けるためである。
今それを完了してしまえば、自分の"明るい未来や希望"がなくなり、人生の楽しみを一つ失ってしまう感覚に陥る。また、その「お楽しみ」に取り組んだときに「こんなんじゃなかった感」を実感する。思い描いていたのはもっと〇〇だったと、、その現実に直面するのを避けるために、人は本当にやりたかったことを先延ばしにしようとする。
だから私達は都度感じる、不快感をそのまま受容するしか無いのだ。受容するからこそ、その「お楽しみ」に全集中することができるのだ。

③今この瞬間を生きること
「自分自身を将来のために使う」という自虐的な行動を僕たちはあえて選んでいる。そうすれば自分の人生をコントロールできているという全能感が得られるためだ。
人生のほんとうの意味はいつかの未来にあると信じ込んでいれば、いつの日にか努力が報われて何も思い悩むことがない人生が待っていると考える。
しかし、それは今からの逃げである。
その未来に近づくということは、有限の未来に近づいているということ、つまり士に近づいているということを意味する。
だから、私達は今を生きているという事実を受け入れるしかな。しかし、今を考えれば考えるほどに、今から離れる。
結論、私たちは「今この一瞬とこの場所にいること」から逃れられないという事実を静かに受け入れるしか術はないのだ。

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2024年03月24日

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