【感想・ネタバレ】サンマデモクラシー 復帰前の沖縄でオバーが起こしたビッグウェーブのレビュー

あらすじ

オキナワ爆笑珍騒動!ウソみたいなホントの話。
アメリカ占領下の沖縄で魚屋のオバーが起こした裁判は、復帰運動に火をつけた!

1963年沖縄。祖国復帰を願う沖縄の人々が、日本の味として食べていたサンマ。
サンマには輸入関税がかけられていたが、その根拠は統治者アメリカが制定した「布令」。
しかし、関税がかかると指定された魚の項目に、「サンマ」がなかったことが発覚。
「関税がかかっているのはおかしい!」と、とある魚屋のオバーが、徴収された税金の還付訴訟を起こす。
いつしかこの「サンマ裁判」は、アメリカを追い詰める民主主義を巡る闘いとなっていく。

1960年代をかけぬける、パワフルでチャーミングなウチナンチュの群像劇!
・最強の高等弁務官にケンカをうった魚屋・玉城ウシ
・破天荒なビッグマウス弁護士・下里恵良
・アメリカが最も恐れた政治家・瀬長亀次郎
・生中継で「ありえない」祈りを口にした宣教師・平良修
・自治のために決死の抗議文をたたきつけた裁判官たち……

【目次】
プロローグ
第1章 魚屋の女将・玉城ウシを探せ
第2章 サンマと布令
第3章 旋風と呼ばれたキャラウェイ高等弁務官
第4章 サンマ裁判の弁護士・下里ラッパ
第5章 サンマはどう裁かれたか
第6章 第二のサンマ裁判
第7章 サンマとカメ
第8章 伝説となった祈り
第9章 友利・サンマ裁判ついに決着
第10章 サンマに火をつけたのは誰か
第11章 民主主義とは?
エピローグ
主な参考文献

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

縁あって沖縄に滞在することが多くなり、彼の地のことをもっと知ろうと思うようになった。年1冊は沖縄関連の本を読むことにしている。

関東近郊生まれ育ち、沖縄には小学校に上がる前と高校の修学旅行で行ったことがあるが、特段興味を持っていたことはなかったためその歴史や文化、政治的な問題についても非常に浅い表面的な知識しか持っていない。本土復帰という出来事もいつのことなのか、東京オリンピックの時くらい?程度の認識だった。(東京オリンピックは1964年、沖縄の本土復帰は1972年)

この本で焦点を当てられているのは、戦後、アメリカ軍に占領され長らく本土とはほとんど別の国と言っていいような立場にあった沖縄における、自治の獲得と日本への復帰を求める運動の流れの中で起きたできごとである。そのできごととは大衆魚であるサンマへの課税に異議を唱える裁判であり、それをめぐる人々の闘いである。

サンマって沖縄で獲れるの?沖縄ではサンマなんて見たことないぞ?そもそもサンマに課税ってどういうこと?なんでサンマがデモクラシー(民主主義)と関係あるの??
この本のタイトルを目にしたとき、頭の中は疑問でいっぱいである。

そんな疑問にひとつずつ解説し、足を使った取材で当時の沖縄の状況を丁寧に描き、さらには実際にこの裁判に関わった当事者にもインタビューをもって私の疑問は綺麗に晴れ、解像度も高まった。
権力に立ち向かう市井の人々に勇気づけられる、そんな本である。

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ

沖縄でサンマを食べるというのはなかなか結び付かないんだけど、でも食べるんだね。テレビで放映されたものは見たのだけれど映画化までされていたとは知らなかった。しかも書籍化もされたとは。文章がとても軽やかで読みやすい。戦後に生きた人たちは逞しいんだけど、沖縄の人は(自分が見聞きした諸々から受ける印象では)輪をかけて逞しい気がする。この先沖縄はどうなるんだろう。

0
2024年10月26日

Posted by ブクログ

ドキュメンタリーの映像作品から書籍へという流れが定着しつつあるように見受けられるが、その中でも読み物としての配慮が行き渡っている作品。取材者が登場する人物一人一人への思い入れを深めていく過程が自然に描かれている。

0
2023年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 サブタイトルは「復帰前の沖縄でオバーが起こしたビックウェーブ」

 復帰前の沖縄で、庶民の味方サンマにかけられた20%もの物品税。これは不当な税だったと徴収された7000万円(現在価値)を取り戻すべく、魚屋のオバーが裁判を起こした「サンマ裁判」。
 この裁判を追う過程で、「ラッパ(下里恵良)」や「カメ(瀬長亀次郎)」や「トラ(友利隆彪)」など、沖縄戦後史の彩る強烈な政治家と繋がって行く。「サンマ裁判」は沖縄返還へと続く、ビッグウェープを作り出して行くのだった。

 沖縄現代史を知る良本。

0
2022年08月16日

Posted by ブクログ

サンマ と デモクラシー
その組み合わせの妙もさることながら
(取材の)足で その両者に結び付く
人たちを 丹念に取材していく
その熱意に圧倒される

「ラッパ」こと、下里恵良さん
「カメさん」こと、瀬長亀次郎さん
が 改めて かっこいい
そして このサンマ裁判に
つながるきっかけになった
玉城ウシさん も
また かっこいい

読み終わった時に
頭の中で
BIGINの「島人ぬ宝」が流れていました。

0
2022年07月12日

Posted by ブクログ

終戦後まだ日本復帰していない沖縄でサンマに不当な税金が課せられたと裁判を起こしたおばあとその周囲の人の物語。著者の語りたい沖縄の話や主張が多々あるようで話がやや散逸的だったが、現状を思うと仕方ない。おばあが亡くなる直前まで、5歳でなくした娘のことを思い続けていたのは辛かった。どんなに明るく強く生きているように見えても人は様々な業を背負っているんだなと思った。

0
2022年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白いし、話題もいいし。読みが合わないのか、どうも続けて読めない。なんだろう。1990年代にはサンマ、そんなにパワーあったかなあ。教公二法のあたりは何となく聞いたことがある。復帰のことはぼんやり覚えている。変わったんだか変わってないんだか。小笠原が東京なんだから沖縄が東京でもよかったか。いや、県にした方がまだよかったように私は思うけど。

0
2022年08月28日

「ノンフィクション」ランキング