【感想・ネタバレ】迷子の魂のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大人向けの絵本。
はじめはなんとなくページをめくっていたのだが、男(ヤン)の魂が現れたあと見返すと、もしかしてこれも魂では、というものがたくさん描かれていた。

ヤンは「おなじ形のちいさな格子に端から端まで区切られた、数学のノートのなめらかなページの上を、あっちこっちに移動している」ような気がしている。
自分の身体のなかに誰もいないことを感じる。
そこで彼は賢い老医師のところへ行く。
老医師は教えてくれる。

魂が動くスピードは、身体よりずっと遅い。
だから、せかせか暮らしている現代人の魂はついていけずに迷子になっている。
迷子の魂を取り戻すには、落ち着ける場所でただ待つしか方法はない。
(これを教えてくれる賢い老医師は女性ってところが、いいではないか!)

しかし、魂がいなくなってしまったことに気づいていない人はたくさんいる。ヤンは気づいただけましなのだ。
ヤンはただひたすら待つが、魂を取り戻すことができるのは、この孤独な時間に耐えられる人だけなのだろう。
魂と再会するとそれまでずっとあった(数学のノートの)格子が消える。

絵の力がとても強く、単に短編小説に絵をつけたものではない。絵が言葉以上にたくさんのことを語っている。

魂を失くしたのにそれに気がつかないまま一生を終える人も多いのだろう。
私もそうかもしれない。

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2022年12月06日

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