あらすじ
世に不倫は数多い。2020年のある調査によれば、恋人や結婚相手以外の人とセックスをしている性交経験者の割合は男性が4割強、女性が3割強。とりわけ「働く既婚女性」の不倫が増加中だ。ではなぜ有名人の不倫ばかりがバッシングされるのか。「愛のある」不倫も許されないのか。そもそも結婚制度とは、人間の本能とは――。脳科学者と国際政治学者、異分野の知性が語り尽くす男と女、メディア、国家、結婚の真実。
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Posted by ブクログ
超高学歴の二人の女性が不倫について語り合っているが、流石に引用している資料というか、話の糸口にしている本が素晴らしく感心した.結婚制度自体の欠陥を隅に置きながら、不倫の妥当性を論じている感じがした.このような女性だからか、伴侶に対する言動がある意味で温厚で、皮肉ぽい所もありながら正当に評価している点は素晴らしいと感じた.不倫を糾弾する空気に関して、宗教的な背景も含めて的確な議論をしていたと思う.キリスト教と儒教の違いも考慮に入れた議論は、納得できるものがあった.「結婚生活においては利他的であることが秘訣だ」との文言は、数多くの機知に富んだ語句のなかで最も良かった.
Posted by ブクログ
P75
愛が終わらないという保証はないわけです。それなのに、私たちがなぜ、率先して結婚という束縛される枠組みを選択しようとするのかということについては、よく考えなければならないですよね。生活安全保障や子育て、同志的関係を維持することが目的なんだとしたら、性愛は別の自由意思として切り離せばいいのに、なかなかそうはならない。
P183
今まで生きてきた家の呪縛から逃れるために、新しい人生を始めるという意味が結婚にはすごいある。
P243
自分が見込んで信じた男は「真実の愛」なんか持ち合わせてなくて、単なる性愛どろどろの男に過ぎなかった、みたいなことは。
P253
愛は、心を傾けるという行為のみで価値があるのだと私は思う。人間の歴史は愛の不可能性を指し示しているが、それを知りつつも愛するという行為は無意味ではないのである。
以前読んだ中野信子さんの『不倫』がよかったので
こちらも読みました。
モヤモヤすることを賢い女性2人が言語化してくれます。三浦瑠麗さんのあとがきが良かったです。
Posted by ブクログ
途中まで読んで放置していたが、太陽光の一件でこの本を思い出し手に取ってみた。
両者とも頭の良い人で独特の感性を持っているので知的な格闘技を見ているよう。
脳や遺伝子の見地から語る中野氏、社会的に結婚とは何か、という見地で語る三浦氏。
面白く読んだ。
Posted by ブクログ
脳科学者・中野信子さんと国際政治学者・三浦瑠麗さんの不倫に関する対談。
三浦瑠麗さんは、松原千明さんの訃報に際し、「テレビが不倫しても成立していた家族を壊した」とし、「聞いていれば松原さんの気持ちも分かるのに。(松原さんは)『家族としては大丈夫なんです』と仰ってるのに(リポーターは)『信じてるんですか?』とかバカな質問をしておろかだなと。それに比して、彼女の素晴らしさが際立った」と語っていた。
僕は常日頃、芸能人だろうと政治家だろうと、他人の不倫なんてどうでもいい、と思っているので、その記事読んでとても痛快だった。
そしたら中野さんとこんな本を出しているじゃないですか。
なんで、不倫はメディアやネットであんなに激しく叩かれるのか?
愛と倫について、大人の女性が、かなり小気味よく奔放に、そして大真面目に議論しています。
Posted by ブクログ
中野信子さんと三浦瑠麗さんの対談形式の本。あまりテレビを見ないので、ブラウン管の中のお2人を存じ上げない私。結婚制度のことや脳科学的な観点でのお話を興味深く読みました。オキシトシン受容は自分はどうなんだろうとか考えました。恋愛と性愛の微妙さとか。過去のロマンスの再確認…ふーんみたいな。
読んでみたい本もいくつかありました。
「愛は心を傾けるという行為のみで価値がある」
Posted by ブクログ
頭のいい女性2人の対談だから、
凡人には読み解けない部分もあった。
「おわりに」だけ読んでも醍醐味が味わえると思う。
不倫だけじゃなくて
多くは家族とか結婚のシステムに関する
見解だった。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもしろかった
“不倫と正義”ていうタイトルやけど、そもそもなぜ結婚するのかっていう話に興味が湧いた。
結婚することによる個人の利益で考えると不動産譲渡なんかの例があげられるけど、数値化すると結婚の価値なんてそんな高くない。
でもそれを超える、この人と一緒にいたいとかっていう気持ちが生まれて、結婚という制度があるから使おうっていう考えとか、興味深かったなあ。全然不倫と関係ないけど笑
Posted by ブクログ
中野信子さんと三浦瑠麗さんの対談形式で不倫について語られた一冊。両者引き出しが多いのでとても面白い、中野さんは「不倫」に関して書かれた本を出しているだけあって、脳科学視点で不倫のメカニズムが語られていて勉強になった。昨今の芸能人が不倫したら、社会的に抹殺するまで叩かれる現象も冷静に語られていて、いろいろ容赦なくてよかった。「不倫なんて叩かれて当然」と思っている人にこそ読んでもらいたい作品。
Posted by ブクログ
不倫はあって仕方ないものだとは理解した。でも、された側の感情は?「人間だからあることだよね」「それぐらいって水に流しなさいよ」って言われているようだった。
じゃあ、これからの子育ては?された側の気持ちは?と突きつけたくなるような内容だった。
作者の方が不倫をされた側になったらどのような反応をされるのか、是非見てみたい。
Posted by ブクログ
対話形式なのでさらさらと読みやすく、同じ女性として非常に興味深い話もあったが、私が知りたかったことはあまり知ることができなかった。少し難しかった。最後の「おわりに」が1番読み応えがあったように感じる。
Posted by ブクログ
極私的な出来事にしかすぎない不倫を社会的な正義でもって裁こうとする昨今の愚かしい風潮をワイドショーのお馴染みの論客が対談する企画ものだが、あえて大真面目に論考してくれたことであれこれと啓発される話題が幾つかあった。
Posted by ブクログ
世間が不倫を叩く理由は、逸脱した個体へのサンクション、その炎上行為に薪を焚べる事での快楽程度のもの。中野信子と三浦瑠璃が言うように、誰かの不倫は、世間には関係ない。ただのエンタメコンテンツだろう。構図としては、視聴率や販売冊数を稼ぎたいメディアが声高に問題視する事がスタート。次に、少数のポリコレ警察的な書き込み屋が、一生懸命ネットで叩く。ここではシャーデンフロイデ、あるいは、パートナーに不倫をされると困る人達が予防保全的にとりわけ騒ぎ立てる。卑しさと不安さがタッグを組んで、偽善を叫ぶ。二人が言うように、一夫一妻制は、醜悪な遺伝子に対する救済的な制度であり、劣化した個体は、ポリコレにすがる。徐々に民度が上がり数の重要性が増すごとに、中間層がポリコレやコンプラや多様性を求め、自己救済を確保しようとし始める。不倫炎上は、過渡期におけるこの象徴的なシーンだという気がする。
他にも、人間の欲望は神にも作り変えられない、セックスの本質には権力関係がある、世間こそが日本の唯一神、恐怖を経験値とする事で自らをコントロール性を完璧にしたい本能とか、二人の話は気軽な雑談のようで、ヒヤッとするような本質をついてきて飽きない。しかし、日本において世間神が強制する正義は、これに左右されるのも馬鹿らしい程、メディアとノイジーマイノリティが作り上げたフィクションに過ぎない。本著でもう一つ流石と思ったのは、マナー講師に対して。あれこそが、世間神の宣教師であり、洗脳、扇動役、メディアとノイジーマイノリティの構図と共に存在する中間層劣化のシンボルである。
Posted by ブクログ
不倫バッシング、他人がとやかくいう事ちゃうやろ、以上!って感じ。二人共経済的に自立した女性なので、考え方が偏っているように感じるところが少なからずあったけど、「一度の結婚で人生足りるのか」…結婚という制度は平均寿命が40年とかの時代の制度。子育てを円滑に進めていくためのプロジェクトとみたいなもので、プロジェクトが終わってもまだチーム解体しないのかという考えは面白い。確かに子供が自立し、それまで仲良く見えてた友達が、これから夫婦二人の生活を考えると・・・という声を少なからず聞くようになってきたからなぁ。
Posted by ブクログ
本書は現代日本の女性オピニオンリーダーとも言える二人が不倫や家族観についてカジュアルに語り合う対談集ってとこですね。
中野信子さんは新進気鋭の脳科学者で、著作も多数ありテレビでもよく見かけますよね。中野さんの著作は何冊か興味深く読ませてもらい脳科学的なものの味方や考え方を知り、新しいことを知る喜びを得ました。
お相手の三浦瑠麗さんもここ最近メディアをにぎわしている博学多才な国際政治学者ですね。キレキレで説得力ハンパない弁舌には、あ~僕もこんなに理路整然とロジカルに話せたらな〜と、時に羨ましくさえあります。
まさに才色兼備のお二人!(表現がジェンダー的に問題だと言われかもしれませんが個人の内心の感想なのでご容赦を。最近は発言一つ表現一つ気をつけねばならなくなりました。)
不倫とバッシング、男女の性差と権力、結婚の功罪について、時に脱線しながら自由に語られています。
芸能人不倫バッシングに関するお二人の見解には僕も全面的に賛同。その見解はネタバレになるんで書きませんが(笑
あと特に印象に残ったのは三浦さんの言う結婚観についての4段階構造ですね。
1階:経済と生活の安全保障
2階:親としての責任
3階:夫婦間の信頼関係・夫婦の愛情
4階:恋愛感情・性的関係
4階はあったらいいがなくても構わないだそうです。現実主義で堅実な考えですね~、サバサバ感が…(笑。うーんなるほど。これは批判を呼びそうですが考え方としてはわかります。
お二人それぞれの著作は、これからも興味をもったものは読んでみようかなっと