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Posted by ブクログ
えっこれ普通に天才登場じゃない?それが言い過ぎなら最大限譲歩したとしても若手の超新星。なんでもっと話題になってないんだろ?
空間的なスケールも小さな島にとどまるかと思いきやはるか海を越えるし、時間的なスケールも戦後から70年代に飛んで現代。壮大すぎるでしょ。
鍵になる沖縄史の生き字引的な存在を都合よく出しているので普通ならわざとらしくなると思うんだけど、生き字引が最も個性的なので全然気にならない。沖縄の人ってみんなこんな感じなの?まさかね?
小さな個人の短い歴史の物語が大きな物語に対置されていて、立派に対峙している。包含されたりせずに独立しているので、個人の歴史は土地の歴史に引けをとるようなものではないなーと思った。
Posted by ブクログ
日本復帰前、ベトナム戦争の時期の沖縄の歴史をテーマに据えた作と聞いて、さっそく読んでみた。第8回アガサ・クリスティー賞受賞作、第5回沖縄書店大賞準大賞受賞作。著者にとっては本格的なデビュー作とのことで、語りや展開には粗さも目についたが、ガープ川の暗渠をめぐって次々と起こった変死事件の謎が、闇の中に押し込められていたベトナム戦争時代の負の記憶と結びつけられていく展開は力強く、読みごたえもあった。
米軍占領下の人々の複雑な生の軌跡と、ベトナム戦争時の沖縄の複雑な立ち位置とが、一方ではカネのためには何でもしてしまう男を育て、他方では後ろめたい記憶を抱え込んだまま他者とのコミュニケーションを拒む男を作り出してしまった。沖縄がたどった歴史には無知だけれど、彼自身も家族との関わりで鬱屈を抱え込んだ駿と、元行政官僚で沖縄の歴史には詳しいくせに、自分の思いばかりを優先し他者を省みない健との息の合わないバディ関係も、韓国映画のようで楽しめた。