【感想・ネタバレ】議論のレッスン 生活人新書セレクションのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

■大学一年次の「入門セミナー」の教材

【議論のルールとしての「トゥールミン・モデル」】p65
by イギリスの分析哲学者スティーブ・トゥールミン

「暗黙の仮定」(主張と根拠または事実を結合させる役目をする=「論拠」p75

【議論の3つの主役「主張」「根拠」「論拠」】p79

主張=「自分と異なる先行意見に対して発せられる反論」Cf. 香西秀信『反論の技術』p90

【飛躍をともなわない意見は主張ではない】p91
吟味するまでもなく意味内容が絶対に真理となるような表現内容を「トートロジー」とか「同語反復」と呼ぶ。
Ex. 「これは私のおふくろです。なぜなら、私の母だからです」
→野矢茂樹「前提から結論へのジャンプの幅があまりに小さいと、その論証は生産力を失う。他方、そのジャンプの幅があまりに大きいと、論証は説得力を失う。そのバランスをとりながら、小さなジャンプを積み重ねて距離をかせがなくてはならない。それが、論証である」(『論理トレーニング』)p92

主張の正当性:その主張がどの程度厳密な論証を積み重ねた末に導かれたか。p94
論証プロセスをつぶさに検討することで主張、結論の正否に関する判断が可能になる。
⇒主張の正当性は論証プロセスに依存している。

【「根拠」と「経験的事実(データ)」との使い分け】p99
根拠が効果をもつのは、それが主張よりも相手に受け入れられやすい内容であり、かつ主張と同レベルのものでないときです。

経験的事実(データ):ある程度裏づけのある根拠。誰にでも確認できる対象、または事実。より実証可能な根拠。(永遠に続く議論を避けるために。「なぜそう言えるの?」p105

【議論の3つの名脇役「裏づけ」「限定語」「反証」】p111
①議論をする際に、論拠についてはそれを支持する裏づけ(Backing)を明記すること。
②論拠の確かさの程度を示す限定語(Qualifier)をつけること。
③論拠の効力に関する保留条件としての反証(Rebuttal)を提示すること。by トゥールミン

【論拠がわかれば議論が分かる】
議論という思考プロセスにおいて「論拠はいつ登場するか」を問うことは、議論の核心にふれることにほかならない、と私は思っています。p129
私は「論拠とは仮定の集合である」と考えています。ですから、自分の持っている論拠に気づかないということは、自分が持っている仮定に気づかない、ということです。自分のとって「当然で、あたりまえのもの」に気づくとは、自分自身のもののとらえ方、自分のバイアスに気づくことに等しく、易しいはずはありません。論拠にはそんな性質があるのです。p130

【データの論拠依存性と論拠のデータ独立性】p133
Ex. 彼は有罪か無罪か
同じデータ:本人が自白した
論拠1: 自白は信憑性あり
論拠2: 自白は強制されたもの
⇒データに一義的な意味はなく、意味付けは論拠によって行われる。

【ロンドン市街地の爆弾とアドホックな論拠】p137
→認知心理学者トーマス・ギロビッチ「後づけならばどんな経験的事実(データ)でも最も特異な部分を見つけて、そこだけに都合のよい統計的検定を施し、自由に数値上の差を作り出せる。そして後づけで経験的事実(データ)を解釈すると偶然の要因を正しく評価できない。
⇒無意味な経験的事実(データ)から有意味性を読みとってしまう可能性があるということ。

経験的事実(データ)の意味は論拠依存的であり、論拠は経験的事実(データ)から独立である、ということ。

【論拠と「やはり」の潜在パワー】p142
やはり≒「恒常的原理的なもの」Cf. 板坂元『日本人の論理構造』

議論における「やはり」に使用は、私たちが事象をうまく説明できないときに「偶然」「無意識」「直感」といった便利な概念を持ちだし、それによって事象を説明した気になるのと似ています。
一見これ以上分析不可能にみえる論拠の内容も、さらなる分析は可能です。もちろん易しいことではありません。自分が夢にも思っていなかった仮定が論拠の中に潜んでいるかもしれません。これを探ることが"分かりやすい議論"のはじめの一歩なのです。p160

《実践編 議論のトレーニング》
【分析のための下準備―分析チェックリスト】p170
①議論における論証の構造をつかむ=主張(結論)、およびそれに関連する根拠を探す。
②根拠が経験的事実(データ)として提示されているか検討する。
③可能な範囲で明示されていない根拠(論拠)を推定する。
④書きかえ案を提示する場合にはパラグラフ構造を書き方の基準とする。
⑤根拠を経験的事実として提示するための工夫を提示する。
⑥主張はなんらかの反論の形式になっているかを検討する。

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2014年05月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

議論の流儀、構造について、解説した本。
・人はなぜ意見を述べたり、主張したりするのでしょうか。一つの答えは自分と異なる意見の人がいるから
全員が自分の意見に賛成であれば、わざわざそれを主張し、論証する必要もない。意見は先行する意見にたいする「異見」として生まれ、それが具体的な形でなくても、対立する意見に対する反論という性質をもつ。
・主張=自分と異なる先行意見に対して発せられる反論。
すなわち必ず反論される対象となっている。
・飛躍を伴わない論証は意味がない。飛躍の幅が大き過ぎると、説得力を失う。そのバランスをとりながら、小さなジャンプを積み重ねて距離をかせがなければならない。これが論証。

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2013年06月08日

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