あらすじ
娘を連れ戻してほしいのです――山間の過疎地で孤立する芸術家のコミュニティ、木更村に入ったまま戻らないマリアを案じる有馬氏。要請に応えて英都大学推理小説研究会の面々は四国へ渡る。かたくなに干渉を拒む木更村住民の態度に業を煮やし、大雨を衝いて潜入を決行。接触に成功して目的を半ば達成したかに思えた矢先、架橋が落ちて木更村は陸の孤島と化す。芸術家たちと共に進退きわまった江神・マリア、夏森村に足止めされたアリスたち――双方が殺人事件に巻き込まれ、川の両側で真相究明が始まる。読者への挑戦が三度添えられた、犯人当て(フーダニット)の限界に挑む大作。妙なる本格ミステリの香気、有栖川有栖の真髄ここにあり。
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Posted by ブクログ
再読。何回読んでも最高に面白い。傑作!
ただ以下疑問(ネタバレあり!!!)
室木による相原殺人ですが、江神推理によると
「室木が相原に「千原の写真を買いたい」と呼びかけ(殺害するタイミングを作るため)、相原が室木を呼び出し、その商談中に室木が相原を殺した」てな感じでしたが、取引になった写真は千原ではなく鍾乳洞ですかね。
相原はそもそも撮れてない千原の写真を渡せないし、撮れてたとしても売らなそう。
室木は相原を呼び出すためにはなんの写真でもよかったし、千原より鍾乳洞の方が怪しまれない。
Posted by ブクログ
学生アリスシリーズ第3弾。
音信不通の麻里亜を追って芸術家が集まる木更村へ向かった江神一行。そこで災害に巻き込まれ木更村と隣の夏森村にメンバーが別れてしまう。復旧を待っているとそこで奇妙な殺人事件が双方で発生し...という物語。
非常に濃厚で面白かったです!!絶妙に怪しい登場人物達、隔絶されている木更村、現場に巻かれた香水 etc...。ミステリー好きには堪らない内容でとても満足です。今回は超長編と言うことも有り、『読者への挑戦状』が3回も登場し、その後の解決編もキチンと伏線を回収していくところがとても清々しかったです。そして2つの挑戦状の答えが出ても、それを凌駕する真相にはとても驚かされました。
○○殺人はなんとなくピンときていたものの、真相である○○殺人のプロデューサーXの正体にはミスリードもあり分からなかったです。江神と対峙しているときは話し方が、冴子っぽいなと思っていたらまさかの人物で引っかかってしまいました。最後のシーンの苦さもこのシリーズ特有でとても良かったです。次回は江神二郎が居なくなるようで...。どうなるのかとても楽しみです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
江神二郎:宮野真守
有栖川有栖:岡本信彦
望月周平:八代拓
織田光二郞:古川慎
有馬麻里亜:釘宮理恵
木更菊乃:小山茉美
小野博樹:子安武人
鈴木冴子:小清水亜美
八木沢満:松岡禎丞
小菱静也:小山力也
志度晶:内山昂輝
香西琴絵:斉藤貴美子
千原由衣:東山奈央
前田哲夫:関智一
前田哲子:井上麻里奈
相原直樹:小野大輔
保坂明美:高橋李依
西井悟:梶裕貴
羽島公彦:森久保祥太郎
中尾君平:三木眞一郎
室木典生:細谷佳正
沼井:三宅健太
藤城:飛田展男
Posted by ブクログ
第一の挑戦
犯人当て→二択まで
トリック→正解
第二の挑戦
犯人当て→正解
トリック→半分正解半分不正解
第三の挑戦
犯人当て→全くわからず
トリック→全くわからず
いやぁ、面白かった。この鈍器のような文庫を食い入るように読み入った。交換殺人だと気付いたのは種明かしの直前だった。全然早くに気付けたはずだったのに、悔しい。ただし動機は全部わかった。動機について悩んだのは、もしかしたら室木も由衣の熱狂的なファンで八木沢と結託した可能性があったから。ただ、理想宮の話が盛り上がってきてからはまぁ遺産だろうという感はあった。
前二作を読んでいないので江神さんがどんな人なのかわからなかったが、最後に犯人を死なせてしまったのはコナン君に言わせれば探偵失格だが、金田一耕助の孫では割とよくあることなので賛否が分かれるのではないだろうか。個人的には自殺はしないでもらいたかった。
Posted by ブクログ
一番きついやつだった…
犯人指定は正直アンフェアだろうな…
だけれどもこれは場所が場所なので
不可抗力といえば不可抗力よね…
まあ1ケースは完璧に巻き添えやね。
そりゃあそうなっても文句は言えませんわ。
で、その事件を乗り越えて出てきたのは…
本当に悪魔だろうね。
名探偵の推理すらも嘲る
まさに悪魔に相応しい人間。
負の叡智の塊だろうね。
だけれどもそんな悪魔も
結局はミスにより
命もろとも散らしてしまいますが…
背景情報があるので
なお一層つらい…
Posted by ブクログ
700ページくらいあるので、こりゃ大変だな…と思ってたけど、おもしろくて最後までスルスルと読み進められた!
所々で出てくる過去の事件については後半で明かされるのかなと思ってたら、これはまた別のお話なのね。前作も気になってしまった。
読み終えるまでが長いけど、舞台が交互に入れ替わるので意外と飽きないのがよかった。
元々1999年刊行らしく、スマホはもちろんガラケーも個々で持っていない設定なんだけど、有栖たちのやり取りとかを見ているとそこまで古めかしさを感じさせないから、抵抗感なく読めたのもよかった。
推理研究会のメンバーも良かったなぁ〜と思いつつ、読み終えた今も織田と望月の区別は全くついていない。彼らのビジュアルとか人物的背景に関する説明があまりなく、深掘りもされなかったので、最後までどっちがどっちか分からず「相棒の二人のどちらかが話してる」認識のまま終わってしまったんだよなぁ〜。
この辺は前シリーズ読んでいる人はもっとよくわかるのかな?
今思うと、夏みかんとむき卵?だっけ?のほうがしっかり紹介されてた気すらする。
でも江神さんカッコ良すぎるし、夏森村三人衆も等身大の大学生らしくてよかったし、マリアもよくがんばってた。
ちなみに冒頭のマリアは普通にイライラする。過去シリーズで何があったか知らないから、序盤はなんやこいついい加減にせーよって思いながら読んでた。
あとは有栖が魅力的な主人公と感じる要素がちょっと少なかったんだよな〜もちろん嫌なやつでも無いんだけど、可もなく不可もなくというか、害もないけど魅力も薄いというか…!この辺も前シリーズ読んでたら大きく印象が変わるのかも…!
でも彼らの絆は見ていてホッコリするしみんないい子たちだから、
たぶんみんなの魅力をもっと知るには過去作読んだ方がよいのかも。
トリックとかは、どれもなるほどー!ってなるし、伏線も含めて読み応えあるものだった。
夏森村三人衆がいろいろ推理していく過程は、江神さんみたいに瞬間的で鮮やかでお見事!みたいな神技ではないんだけど、逆にそれがすごくよかった。読んでいる自分も一緒になって捜査・推理しているような体験ができるので、有栖たちと一緒にハラハラドキドキしながら一つずつ考え、推理できるのが楽しい。
反対に江神さんパートはもう神の所業と言わんばかりの観察力・洞察力・推理力で、こっちはこっちでおもしろい!マリアが視聴者視点になってくれていて、マリアと同じ気持ちで江神さんに付いて行く気分を擬似体験できてよかった。
全ての謎が解けた時、江神さんの「悪魔」という言葉は最もやな…と鮮やかな推理に感動しながらも、
犯人、この村が解散するかもってだけでそこまでする…?!という衝撃と若干の違和感があったんだけど、自分の安住の地を奪われるかもという恐怖はやっぱり計り知れないんだろうし、経緯がどうであれ「理不尽」と感じてしまうものなのかなぁ?
生活もかかっているのであれば尚更、文字通り生死に、もしくは快適な生活からの転落に関わってくる?と考えると、何をしてでも阻止せねば、となる気持ちも分かるけど、普通人殺そうとは中々ならんし、ましてやあれだけの事を一気にやり切る行動力と執念が恐ろしい…。
にしても舵の切る方向間違えすぎよな…追い詰められると冷静な判断できないとはいえ、とんでもない方に思い切ったな…という恐怖。
長くなったので結論。生涯ここで暮らせますとか契約書交わしてたわけでもなさそうだし、衣食住養ってもらっていながら、目立った結果や功績が出せずにいる中で、菊乃の結婚により環境が変わりそう!イヤ!という至極身勝手な理由で人を殺すのはさすがに擁護できません…!
でもな〜急に世に放り出させるのかもという不安は計り知れないだろうからなぁ〜。まぁでもみんな何かしらイヤなことにも耐えながらなんとか働いたりしてるんだと思うよ〜!!!!!!!!
Posted by ブクログ
木更村と夏森村。
二つの別々の村で起きた別々の事件。
唯一繋がる橋を落として無関係かに見せた事件に繋がりを見せた有栖川先生の技術にただただ感服。
月光ゲーム以来のEMCフルメンバーにテンションがあがる。今回はマリアもいるしね。
ただやはりというか、メンバーを分断することは忘れない。全員揃う日は来るのか。
マリアの語り部はいいなあ。まだまだ女性というよりは少女といった心の揺れ方にいちいち共感してしまう。そういえば始まりは父親の捜索願からのスタートだったけれど、最後はそんなことは忘れていたな。次作で拾われるのだろうか。
犯人について月光、孤島では潔く犯行を認めた犯人たちとは違い、最後までシラを切り続ける犯人に少し嫌気がさした。それまではとても好印象だっただけに尚更。悪魔。
Posted by ブクログ
ちょっと長かったけど、おもしろかった!!
前作から読んだので、江神先輩含むメンバーたちにまた会えたのが嬉しかった。
交換殺人だけじゃなく合間に1人はいっていたとは、、そして郵便局員さん。夢が本当に夢だったんだね。
トリックをまた忘れたころに読み返したいなあ。