あらすじ
【内容】
禅の入門書「十牛図」は、禅の修行者ばかりでなく、本来の自己を知り、喜びとともに生きることを目指す人に深い示唆を与えてくれます。
本書では、この「十牛図」をアップデートして、自分を見失っている人、モヤモヤしている人に向け、その迷いや悩みから解放される道筋を示します。
特に新型コロナウイルス感染症によって、社会は大きく変わりました。
多くの人はいらだち、社会的、政治的、経済的な不安と恐怖に陥り、それが至るところで噴出しています。そんな混沌とした時代だからこそ、この「禅的マネジメント」の考え方が必要とされるのです。
推薦者・曹洞宗僧侶の藤田一照さんとの特別対談も読みごたえ十分です。
【目次】
第1章 なぜ今、禅なのか
第2章 悟りの指南書「十牛図」のあらまし
第3章 これからの生き方を導く「禅的マネジメント」いのちの喜びに向けて
第4章 旅のはじまり「発見」research
第5章 自分を抱きしめる「共生」respect
第6章 今までの枠を手放す「忘却」reframe
第7章 いのちの喜びのままに生きる「開花」resonance「再生」reborn
【著者】
小森谷 浩志(こもりや ひろし)
経営思想家、博士(経営学)、いのちの喜びをひらくひと。
株式会社ENSOU代表取締役社長、株式会社ジェイフィール コンサルタント、神奈川大学経営学部国際経営学科講師、一般社団法人インターナショナルZENカルチュラルセンター理事。
約30年前に曹洞宗開祖道元の弟子懐奘が綴った『正法眼蔵随聞記』に邂逅。それ以来、瞑想とともに、日常の生活において禅の智慧を活用、研究を続けている。
現在「いのちが喜ぶ経営」をテーマに活動。
自覚の方法論として東洋の智慧、特に禅の基本テキスト「十牛図」に着目。内省と対話を鍵にマネジメント・コミュニティを中核とした組織開発、個の本来性の開花にアプローチするワークショップを、キヤノン、DeNA、富士通、富士フイルムなどの企業、NPO、教育機関、社会起業家に提供している。ここまで約50社のコンサルティング、3000回のワークショップで、延べ約50000人の方々と関わってきた。
2010年から始めたファシリテーター養成講座は修了生が400名を越え、学習するコミュニティを継続中。カナダのモントリオールで行われたグローバルカンファレンスREFLECTIONS 2017では、世界20数カ国の参加者に「禅とマネジメント」を発信、話題を呼んだ。
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Posted by ブクログ
経営学博士・経営コンサルタントの専門家である著者が、曹洞宗の禅と出会い、日常生活に禅の智慧を活用しながら研究を続ける中で、特に禅の基本テキスト『十牛図』に着目し、内省と対話を鍵とするマネジメントのワークショップやコンサルティングを多くの企業・組織に提供してきた実践と研究を踏まえ、人の本質的な変容の科学としての「成人発達理論」の学術研究から分かったことにも照らしながら、禅的マネジメントを勧める一冊。
仏教の基本的な事項から、仏教における禅の位置付け、「十牛図」についての平易な解説、成人発達理論についての平易な解説、内省の具体的な進めかた、自分の無意識に内在する「影」との向き合いかた(シャドーワークと感謝のワーク)等、
わかりやすい説明と、すぐに実践できるワークがひと通り網羅的に収められています。
そのため、何の事前知識がない人でも読める一方で、重要なポイントを繰り返し述べてくれていて親切ではあるのですが、多少なりとも禅の世界観に親しんでいる人でないと展開が早すぎて途中で付いていけなく人も居そうな気がしました。
とはいえ、わからなければ何度も読み返せばわかるように具体例を挙げながら書かれていますので、戻りながらでも構わないので、まずは最後まで読んでみることを個人的にお勧めします。
主に、いわゆる“会社”で働くサラリーマンを対象として想定して書かれた本ですので、
企業に雇用されて働いている一般庶民向けの内容になっています。
語り口調は平易ながら、本質に斬り込む言葉は鋭く、
耳の痛い箇所もいくつか出てきました。
ギクっとさせられますが、
著者は、そのようなあなたを否定するつもりは少しも無く、むしろ生身の人なら誰でも大なり小なりそういうこともありますよね、と伴走してくれていますので、
ここは覚悟して、目を逸らさずに自分自身を深く内省する機会だと思って読み進めることができると思います。
自分の負の部分、著者の表現を借りれば「影」は、決して悪者でも敵でもなく、むしろ自分の個性や強みを後押ししてくれる強力な味方であることを本書は丁寧に教えてくれます。
また、強力な味方にするための実践ワークも載っていますので、自分で取り組んでいくことができます。
ただし、精神疾患のあるかたは、主治医やカウンセラーなど専門家に相談しながら行うように呼びかけています。
・曹洞宗の禅
・「十牛図」の全貌と、その意味
・成人発達理論
について学びたいかたや、
これらを日々の生活や仕事の中で実践的に活用したいかたに
向いていると思います。
語り口調は平易ですが、人生の本質に触れる部分まで深掘りしていく内容で、
なかなか読み応えがありました。