【感想・ネタバレ】すごい神話―現代人のための神話学53講―(新潮選書)のレビュー

あらすじ

人間はなぜ死ぬのか――インドネシアのバナナ型神話と『鬼滅の刃』の物語から考える。女神たちは何を担わされているのか――インドの乳海攪拌神話とゲーム『FGO』の世界観から解き明かす。世界に伝わる多様な神話から、現代の映画や漫画、ゲームにまで息づく「神話のエッセンス」を明らかにする、魅惑の神話学講義!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

『謎とき 世界の宗教・神話』という本を読んで興味を持った本。世界の神話には、共通するプロットがある。それは、人が移り住んで広まったり、物語自体が伝わったりするだけではなく、人間心理の奥に潜む人類共通の無意識なのではないか。そういう考え方をヒーローズ・ジャーニーといったり、モノミス理論といったりするが、先ず、そういう考え方に対し、自分達の出自を探るようでワクワクする。

石とバナナの話がある。死にゆくものは、バナナ。しかし、世代交代して続いていく。一方、石は死なない。しかし一世一代である。この構造は魂を受け渡した鬼や悪魔との対比にも共通する。そう考えるとモノミス理論というのは、構造主義的アンチノミーを価値観の形成に用いたもの、言い換えると、我々をプログラミングしているものの本質だという気がする。

そうした規律となるプログラミングが神話化し、寓話化したものが世界中に散らばる。焼き直され、現代の絵本やアニメ、映画にも取り入れられている。本書では、そうした対比や神話の紹介が面白い。

ー 神は「言葉」を発して世界を創造したとされているのである。この「言葉」の絶対的な価値は、「新約聖書』によりはっきりと書かれている。「ヨハネによる福音書」の次の部分である。初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。言によらずに成ったものは何一つなかった。「聖書」における言葉は、世界の源となる原初の存在で、世界を創り出す力であったのだ。

0
2025年02月13日

Posted by ブクログ

神話はすごい。いやすごいから神話になったのか。とにかく神話には物語や歴史や音楽や映画や詩や宗教や科学など、いろんなものの母型が含まれていると感じた。神話の世界までさかのぼれば洋の東西などないのだ。

0
2023年08月10日

Posted by ブクログ

なかなか面白かった。
神話と現代の漫画やゲームを読み解く本。鬼滅の刃やマトリックスなど。
日本の神話とインドの神話、ギリシャの神話、その他の国々の関連性もわかって面白い。

0
2022年10月08日

Posted by ブクログ

神話というとギリシャ神話や、古事記・日本書紀、はたまたラブクラフトなどを思い浮かべられる。
しかし神話はそれだけではない。
奥深く、そして離れた場所の神話であっても、共通点を見出すことができる。

第一章では「神話で世界を旅する」と言う副題の通り、さまざまな国や地域の神話が紹介される。
バナナ型神話、とは面白い名前だが、これは人は必ず死ぬ、その理由を説明したものとなる。
ここで、鬼滅の刃が登場してくるのはファンとしてはたまらない。
『百万回生きたねこ』の物語も登場する。
エロスとタナトスは表裏一体、この言葉が数多の物語が私たちを感動させ、心振るわせる理由のように感じた。

第三章の「女神と女性の物語」は興味深い。
イヴやマグダラのマリア、アルテミス。
どれもお馴染みの人物だ。
女性が神話に出てくる場合、境界を示していたり、呑み込むことを示唆していたり、直接的に処女性や少女性を示していたりする。
著者はあえて詳しくは踏み込んでいないが、なんとも納得し難い物語も多くある。

本書はさまざまな神話を通して、神話やその意味に興味を抱かせる。
あまりメジャーではない地域の物語にも面白そうなものがたくさんある。
著者の作品についても随時読み込んでいきたい。

0
2022年09月25日

Posted by ブクログ

神話類型を身近なところから学ぶにはいい一冊。インド系の話が特に充実しているし、巻末の参考文献も便利。次は何を読もう。

0
2022年09月24日

Posted by ブクログ

過去、世界各地の文明は、それぞれに神話を有していました。そしてそれは現代にも受け継がれ、また現代は現代なりの神話が語られてもいます。それぞれはお互いに離れ離れに独立しているはずなのに、何か似たような話、影響を与え合っているような繋がりがあります。本書では世界の古今東西の神話の類型について、テーマ別に53の講義として紹介されています。言葉と音、女神と女性、インド神話。各地の物語を知ることで、世界の広さと深さ、その魅力を知ることができます。「神話学」という学問への興味の入口として、楽しんで読ませていただきました。

0
2022年05月28日

「ノンフィクション」ランキング