【感想・ネタバレ】タラントのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

祖父が手紙の返事を書かなかったのは、あるいは出さなかった理由は何なのだろうな。。


『文学キョーダイ!』でおすすめされていた一冊。
面白かった!
映画化だと削られてしまうし、朝ドラで実在する人物以外を題材にしたものもあるので本作映像化しないだろうか。。
パラリンピックの歴史も知らなかったので巻末の参考文献が有難い。かつての戦争や、現代の戦争についても。

『日本のパラリンピックを創った男 中村裕』
『アナザー1964 パラリンピック序章』
これは今年中に読みたい。

核となるのは大学進学で状況した女性とその祖父。
女性はこれから踏み出すだろうが、祖父の人生は分岐点が悲しい。。40歳で動いていたらどんな人生だっただろうか。けれどそうすると女の子と会わないわけで。。
最後の独白が嬉しくもあり切なくもあり。


2020年7月18日から2021年7月23日まで、読売新聞でリアルタイムで読んでいた読者はどんな気持ちだったのだろう。
これから2020東京オリンピックの物語を読むときのコロナ禍での切なさを後世の人はどう感じるのだろう。
2021年出場選手の再予選あった種目もあるし。

かつてやる気と行動に満ち溢れていた女性が現代のように生きるようになった理由を「これか?このことが原因か?」と読み進めていく。
現代と過去と祖父の独白と、本当に引き込まれる。
分厚いのに、残りぺージが少なくなるのが惜しくなる。

3.11もあり、テロもあり、データが揃っているのもあるけれど、現代は事件が多いように感じる。
本作がもし映像化したとしたら(ボリューム的に難しいかな。。)見終わった後、暫く引きずられそう。
三部作も良いけれど、映画を一本見終わった後のあの感覚はインプットとしてとても好きな時間。

『でも、それまでは見えなかったものを見て、それまでは知らなかったことを知って、それまでは考えなかったことを考えて、それまではやろうとしなかったことをやっている、という実感が…世界が開いていく感覚があった。その実感が錯覚かもしれないなどとは、そのときは疑わなかった。…自分にもできることがある、と信じることができた。』
『何になりたいと言えるのは学校に通っている間だけで、あとはもう、何にならなくても自分に出来ることをするしかない。…そんなのことを十四歳…に言うつもりはない。』
『人は、善意にはぜったいに善意を返すものだと、意識する事もないくらい強く信じていたのだ。それが世界共通のルールだと信じていた。…寄付や支援物資を沢山持って…いけば、とうぜん、笑顔とお礼が返ってくるはずであり…ツアーでまわる場所にお金を要求する人がいてはいけないのだった。笑顔と感謝があふれていなければならないのだった。…そう信じていたから…あんなにも動揺したのだと…気づく。恥ずかしかったのは、お金を要求されたことではなくて、のんきに勝手なルールを信じていたことだ。』

『ものすごいパワーであたらしい境地を切り開いていく人って、どうやってそうなるのかなって、…もともと自部にそういう力があってそれを二百パーセント発揮させたのか、それとも、何かから選ばれて、…意思をはべつに特殊な使命を帯びてるんじゃないかって…
本当は静かに平凡に生きたいのに、何かこう、やらないきゃなんないみたいなことになって…』
『(選ばれし何者かと、そうでない大勢ともちろん後者がいい)子どもの時は違ったけど。じつはとてつもない才能があって …空想したりしてたけど。』
『でも本当の意味で世界を変えていくのは、選ばれし人じゃなく、その他大勢だよな。ひとりが使命をまっとうしても、大勢が何も変わらなかったら変わらないままだから。』

『心配よりも恐怖が勝り、今まで感じたことのないその恐怖は、いつのまにか…の内で怒りと区別がつかなくなっていた。』
『やりたいことがたくさんあって、そのたくさんをこの先やれたはずの人間が、なぜいなくならねばならないのか…神様はなぜわざわざそんな有望な人間を選ぶのか』
『私達とは違う世界の、弱ってる人は、弱々しくいてほしいって…違う遠い世界の人のはずだって思い込み』
『この子たちは困難な立場にいるというだけで、私と隔たった異世界にいるのではない。
かっこもつけたいし、写真にはきれいに映りたい。学校に行きたいのは勉強したいからではなくてサッカーがしたいからだし、…起きるのもいやんなるよ、という男の子の言葉に「わかるよ」と応えそうになった』
『そうやってつらさ比べをしていたら、この子たちの困難は他人事になり、この子の暮らす世界は異世界になる。…朝起きるのがいやになる、という小さな絶望が、わかるか、わからないか、だいじなのはそこだ。あるいは想像できるか、できないか。比べたらだめだ…大小を比べた途端に、わたしたちは想像を放棄する、そして断絶してしまう。…彼ら彼女たちのつらさは特殊ではない、』

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界で起きている紛争、学校に行けない子供達、祖父の経験した戦争、東日本大震災、新型コロナの流行…日常が突然非日常になってしまうこと。祖父の清美の回想シーンとても胸が痛かった。

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2024年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく大作で完読するのに時間がかかってしまったけど、途中からやめられなくなった。

世界で起きてる紛争、難民についてや、日本でかつて起きた戦争、戦争で傷を負った人たちから続く現在のパラリンピック、東日本大震災、コロナ禍、などなど、本当に多岐に渡る題材が詰まった作品だった。
世界で起きてることに対して、そこで生活している人に対して、私は本当に無知だと実感したし、その人たちが私たちと何も変わらない地続きなのだということに何か衝撃を覚えたが確かにそうなのかもしれないと納得できるものも感じた。

そのように重い題材でも、主人公みのりの人物像がとても等身大で、みのりが感じる知りたいと思う気持ち、後悔、怖さ、それでも何か前に進みたいと思う気持ちなどに共感でき、読みやすい作品だったと思う。
タラント 才能、運命
一人一人はちっぽけで大きな力はなくても、その人なりの方向で歩幅で進めたらいいのかもしれない。

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2023年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秀作。
反戦争が根本なんだろうけど、理不尽な境遇、戦争で、病気で、脚を失った人が生きていく設定。
おじいさんの、飛んでいくようだといったシーンが好き。雲一つない青空の様に感じた。全体的にどんより曇り空のようなストーリーなんで。
時間軸、孫とおじいさんが交互に語る設定が良い。

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2023年08月17日

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