あらすじ
人生を変える哲学が、ここにある――。
現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。
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デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー……
複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ
□物事を二項対立で捉えない
□人生のリアリティはグレーゾーンに宿る
□秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく
□権力は「下」からやってくる
□搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える
□自分の成り立ちを偶然性に開き、状況を必然的なものと捉えない
□人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている
□無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む
□大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる
「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より
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[本書の内容]
はじめに 今なぜ現代思想か
第一章 デリダーー概念の脱構築
第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築
第三章 フーコーーー社会の脱構築
ここまでのまとめ
第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス
第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル
第六章 現代思想のつくり方
第七章 ポスト・ポスト構造主義
付録 現代思想の読み方
おわりに 秩序と逸脱
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Posted by ブクログ
実生活で支えになるような学びが多く、文章も読みやすかった。
人間は過剰な動物であること。そして、ただそこに存在するだけ。何か意味があるわけではない。無限な謎に向かうのではなく、有限な行為をひとつひとつこなしていく。という点がいつも小難しく考えてしまう自分にとってハッとさせられる内容で非常に良かった。
Posted by ブクログ
第4章あたりまでは、めちゃくちゃおもしろい!分かりやすく噛み砕いて説明してくれているんだろうなと感じたし、共感できる思想にも出会えた。ただ、5章以降は、正直難しくてついていけなかった。なぜ難しいと思うのだろう。なぜピンとこないのだろう。抽象的過ぎるから?概念の話で、自身の想像力が及ばないからなのか…。
個人的には、フロイトの汎性欲論や、デリダの二項対立の脱構築が特に好きだし、共感出来たし、自身の人生に取り入れたい思考だと感じた。
ドゥルーズの章で述べられていた、自己啓発的なアドバイスには、人間にある種の決めつけを提供する情報ことで安心させるものが多いのではないでしょうか。という、自己啓発の捉え方も好きだ。
実際、自身が社会に対してどこか正常を強いられている中で、非理性的なものを取り扱ったり、悪とされていることを排除するのでは無く、脱構築することで宙ぶらりんの状態に持っていく。という思考法も重要だと思う。生きにくい世の中ですが、哲学に浸りたいと思うきっかけをくれた本だ。
Posted by ブクログ
今年は読書と決めていて本を読んでいる。最近だと新書にも挑戦。哲学系の本も読んだりしてる。
時々もう一人の自分が「なぜ本を読むの?哲学なんて学んで何のためになるの?」と聞いてくる。
今のところの答えが2つ見つかった。
1つ目。俺は自分探しというか自問自答というかよく何かを考えている。何かを考えている自分に酔っているところもある。たまに「考えて、考えて、もうわけわかんなくなってんじゃないの?」という俺の中のGENが出てくることもある。でも俺は考えることが好き。
考えに答えを出すことはそう簡単ではないけど、本や哲学を学んでその悩みのヒントになることがある。だから俺は本を読んだり哲学を学びたいと思うのだろう。
すると「そんなことを認識して何が変わるんだ?」ともう一人の自分がまた聞いてくる。
考えて、考えて、本とかたくさんの引き出しからヒントを引っ張り出して答えを出そうとするうちに自分自身がいい方に変わっていくのだろう。
2つ目。俺はエンタメが好き。最近はいいなと思ったエンタメに対して自分の感想を残そうと決めている。でもその時にうまく自分の気持ちを言語化できないことがある。そんな時本や新書を読むと引き出しが増え、自分の気持ちを言語化しやすくなる。それが楽しくて気持ちいい。時間が経って作品と作品が繋がる時も気持ちいい。
例えば、2日前に映画「国宝」を見た。その感想として、歌舞伎界の異様な血筋文化、妻や娘など周りの人間よりも歌舞伎にすべてを捧げた喜久雄。一見異常に見え、気持ちが理解できないと感じるがそんな人やその世界にいる人たちだからこそできる表現があり、見るものを魅了させる。ということを感じた。
そして、さっき「現代思想入門」という本を読んでいた。そこに、ニーチェの話が出てきた。ニーチェは秩序的・合理的なのもの(アポロン的)よりも混沌的・非合理的なもの(ディオニュソス的)に注目した。簡単にいうと「ヤバいものこそクリエイティブ」という考え。でも、ディオニュソス的なものばかりではダメでアポロン的なものも必要。この2つの拮抗の中において何かが成立するとした。
そんな時さっき読んでいた「現代思想入門」がヒントを与えてくれる。フロイトの精神分析について、「精神分析の本当のところは、記憶の繋がりを何かの枠組みに当てはめることではなく、ありとあらゆることを芋づる式に引きずり出して、時間をかけて喋っていく過程を経て、徐々に、自分が総体として変わっていくことです。」と書いてあった。
そこで、「国宝」を振り返る。歌舞伎には理性や美、いわゆるアポロン的がある。そこに、血筋文化や喜久雄の狂気、いわゆるディオニュソス的なものが拮抗することで見るものを感動させた。
あとニーチェは「狂気なくして偉大な芸術は生まれない」とも言ってるんだって。
今の世の中、コンプラコンプラとクリーンなもの効率的なものへという流れがあるけどそういったアポロン的なものだけでは誰もが感動するものは生まれない。ディオニュソス的なものがなければ壮大なものは生まれない。「国宝」はそれを体現していた。自分も今後何かに打ち込む時このディオニュソス的を忘れないようにしたい。
Posted by ブクログ
勉強になった。
特に、脱構築、相対主義、仮固定、近代的有限性、メイヤスーによる世界の偶然性などは、日頃の考え方にまで影響を与え、僕が(稚拙ながらも)書いているエッセイにも影響を与えたと思う。
また千葉雅也の本を読もうと思う。
しかし、難しかったのは事実であり、哲学を専攻することは難しそうだと感じた。
Posted by ブクログ
「現代思想」とは、1960年代〜90年代を中心に主にフランスで展開された「ポスト構造主義」哲学の別名である。本書は、主にジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーという3人の哲学者が打ち出した概念を振り返ることを通して、現代思想の潮流をざっくりと掴むことに主眼を置いている。全体的に読みやすい構成で、著者自身が本書を「入門のための入門」と位置付けている通り、この本を出発点として現代思想に関する様々な書籍に接続できる、そんな良書である。本文中におすすめの入門書を記載してくれている点も親切だ。
さて、少しだけ内容に触れておく。本書によると、現代思想を捉えるうえで最も重要なキーワードは「差異(difference)」である。これに対立する言葉は「同一性(identity)」だが、現代思想では、"差異を強調し、一つの定まった状態ではなく、ズレや変化が大事だと考える"。ここで押さえておくべき点は、現代思想は決して同一性を否定しているわけではないということだ。我々はつい物事を二項対立的に捉え、どちらか一方が"正しい"と結論付けがちだが、現代思想は差異と同一性という対立概念を"脱構築"することによって、我々の思考を次のステージへ連れて行ってくれる。私は本書を初めて読んだとき、現代思想は東洋的な思考の仕方に近いという印象を持った。東洋には古来より、二項対立に還元されない思考法がずっと根付いている。それを編集工学者の松岡正剛は、「別用の可能性(contingency)」や「デュアル・スタンダード」という概念で表現した。あるいは、西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」も近いニュアンスを持っているだろう。
このように、本書は我々自身について考えるうえでも重要な示唆をもたらしてくれる。今世界には、解決すべき重要な問題が山積しているが、現代思想的な思考法は、有効な解決策を見出す鍵になるのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
難しかった〜。もう少し分かりやすいかと思いきや、なかなか手強くてあまりよく分からなかった。
とりあえず
デリダは概念の脱構築化、二項対立だけでなく、グレーゾーン、第三の視点がある。二項対立は常に他者を排除する。それを意識して、未練込みで倫理を諦めない判断をする。
ドゥルーズは存在の脱構築
固定された本当の私、というものはなく、関係性のなかで常にかわりゆくもの。気にせず色々やればいい。
フーコーは社会の脱構築
権力は下からくる。弱いものがむしろ支配されることを無意識に望んでしまうメカニズム(パノプティコン)を分析、権力の開始点は明確どなく、多方向の関係性から権力が展開している可能性。
だそう。