あらすじ
雑草は、抜けば抜くほど増えていく恐怖の植物だった!? 本書は、地球上にはびこる恐るべき植物の生態を、「怖い」という視点から解説した1冊です。具体的には、●百獣の王を殺してしまう、ライオンゴロシ ●なぜ幽霊は柳の下に現れるのか? ●ゴジラに登場した植物怪獣 ●絞め殺し植物と呼ばれる、ガジュマル ●除草剤で枯れないスーパー雑草とは? などなど、読みだしたら止まらない「植物のこわ~い話」が満載です。恐るべき植物の生態が明かされる1冊! 「植物には、人間には計り知ることのできない何かがあります。どこか人智の届かないものがあるような気がします。そんな植物に、昔から人々は『畏怖』を感じていたのです。謎に満ちた植物の世界は『怖い』――そして、『面白い』のです。さあ、『怖くて眠れなくなる植物学』の物語が始まります」(本書「はじめに」より抜粋)
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Posted by ブクログ
植物学者の稲垣栄洋さんの著書で、本書は「怖い」をテーマにした短編集になっている。怖いとは掲げているものの危険な品種や事例の紹介は少なく、「仕組み的に怖いと言える」「よく考えると怖い」「ある意味怖い」といったニュアンスが多いので、特に怖がらず楽しく読めた。
著者のほかの本や動画ですでに知っている話が複数あり、私は少し退屈だったが、話のチョイスは私の好みのものだったのでらまだ読んでいない人にはダイジェスト版的な意味で強く勧めたい。
「植物と動物の違い」より
60ページ
「進化論を唱えたイギリスの博物学者チャールズ・ダーウィン(一八〇九-一八八二)は、この議論を「もともと分けられないものを分けようとするからダメなのだ」と評しています。」
↓
61ページ
「しかし、すべての情報を脳で処理する人間は、区別して整理することによって安心する生き物です。だから、さまざまなものに線を引いて、区別してわかった気になるのです。」
→課題の本質への指摘と、非合理とわかってもヒトの性には逆らえないというもどかしさがある。それと、分類するとヒトは安心するという点は仕事する際にも念頭に置きたい。まずは分類しようとする、そしてうまく分類できる力をつける。
「もし、あなたが虫だったら」より
83ページ
「ハエトリソウにとって葉を動かすというのは、かなりのエネルギーを必要とします。ですから、葉を動かしたからには、獲物を捕らえなければならないのです。」
「そのためハエトリソウは、短い時間にセンサーに二回刺激があったときに初めて葉を閉じるような仕組みになっています。」
→ITシステムの監視で異常が出たときの通知の設計でも同じようなことを考える。一時的に閾値を超えたとしてもすぐに戻ってそのまま安定するなら、重い通知はしなくて良いだろう(ただし軽い通知や記録はしましょう)。すぐに戻ってこない場合や一度戻っても再発を繰り返す場合でも、たとえば再起動をかけて解決するなら重い通知はしなくて良いだろう。異常を何でも逐一に大声で通知するのではなく、特に対応が必要なものに絞り込んでから通知するべきである。そうしないと運用メンバーが必要以上に疲弊してしまう。
Posted by ブクログ
ダーウィンの進化論の言葉。種は確定したものではなく、進化の途中でいかようにも変化するもの。
小さな草の一年草の方が進化の過程では新しく出現したもの。植物は寿命を短くして世代交代をする方法を選んだ。トウモロコシの原種や起源が未だに謎だということ。怖くて眠れなくなることはないが、知らないことも多く軽く読めておもしろかった。
植物の見方が変わる
植物ばどこまでも合理的。その生存戦略の強かさが分かりやすく記述されていてとても読みやすかった。
そこに静かに佇んでいるだけなのに、人類の歴史や地球の環境に大きな影響を与えてきた植物に、畏怖の念を覚えます。
Posted by ブクログ
自ら怖い怖いと言ってる本が怖かった試しはないんだけど(そんなことはないか)、この本は本当に怖かった。
毒や寄生、異形も怖いけど、人間の関与によって本来の姿とはかけ離れた姿に変化している(特にキャベツの仲間)、なんていう話も背筋がうすら寒くなる心地がする。
あと、動物と植物の境目はどこにあるか?という議論の中で、両親(1世代)・祖父母(2世代)・・・と数億代か遡って行くと、両者の「大元」に行き当たる、なんていう話は、本当に命綱なしで深淵を覗き込むような遙かなる心許なさ、怖さを感じるのであった。