【感想・ネタバレ】フォンタマーラのレビュー

あらすじ

舞台はイタリア中部の寒村フォンタマーラ。村民たちが代々管理、利用していた水が、ある日を境に政府と結託した有力実業家によって奪われてしまう。ファシスト集団による横暴に抵抗をつづける村民たち。彼らが最後にとった手段は……。刊行直後から各国語に翻訳され、反ファシズムのベストセラーとなったイタリアの作家シローネの代表作。70年ぶりの新訳

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ファシズム体制下のイタリアでは、貧しい農民たちは少しずつ、生きていくための手段を奪われていた。法律や制度といった正当そうに見える仕組みで、水を使う権利、小麦を売る自由、働く条件、抗議する権利までが次々と制限され、農民たちは飢えに追い込まれていく。この物語を書いたシローネ自身も、ファシズムによる弾圧と農民の苦しみを実際に経験した人物であり、現実に起きていた出来事をもとにしている。ファシスト側にとって農民は、守るべき市民ではなく管理される存在だった。生き延びられるかどうかは重要ではなく、従うか消えていくかが問題にされていたのである。農民が飢え、生活が成り立たなくなっても、それは統治の失敗ではなく、想定内の結果だった。世界人権宣言第一条は、「すべての人間は、生まれながらに自由であり、尊厳と権利について平等である」と述べている。しかしフォンタマーラのファシズムの行為は、これと正面から対立している。農民は自由や尊厳を持つ人間として扱われず、飢餓に追い込まれても問題視されなかった。ファシズムが人を人として扱わず、法律を暴力の代わりに用いて静かに排除していく様子は、人権を失った社会、つまり人が人として扱われない社会では価値のないとみなされた人間を容易に切り捨てられる可能性があることを示している。

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2026年01月31日

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