【感想・ネタバレ】黒き荒野の果てのレビュー

あらすじ

2021年アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、3冠!
「クライム文学の新星」デニス・ルヘイン
裏社会の元凄腕ドライバーが
家族のために引き受けた最後の仕事――

米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。
裏社会で語り継がれる伝説のドライバーだった彼は、足を洗い家族とまっとうに暮らしていた。
だが工場の経営が傾きだしたことで運命の歯車は再び狂い始める。
金策に奔走するボーレガードに昔の仲間が持ちかけてきたのは宝石店強盗の運転役。
それは家族を守るための最後の仕事になるはずだった。
ギャングの抗争に巻き込まれるまでは――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

初のSAコスビー。
二月に2作目が発売されるため、まずは去年出た今作を。

ヤバい仕事から手を洗った男が、止むに止まれず再び手を染める。そこから転がり落ちていき、大切な家族にまで危機が。

アメリカンノワールのお手本のような作品。シンプルなストーリーだけどここまで読ませるのは、主人公のバグや敵のキャラがものすごく立っているからだと思う。かっこいい台詞回しも多い。
カーチェイスのシーンが本当に良くて、映像が目に浮かぶ。正直昔のアメ車は全部同じに見えるけど、ダスターのかっこよさはわかった笑

2作目も楽しみ。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏家業の運び屋から足を洗って、真面目に自動車整備工場を営んでいる主人公ボーレカード(バグ)。しかし、同じ町に大きな同業者の工場ができ、経営難に陥り、裏家業にもう一度足を突っ込まざるを得なくなる。

貧困と犯罪、家族のしがらみ。抜け出せない過去、黒人と白人それぞれの格差社会と交錯する差別…。前世紀から続くアメリカのやるせない社会問題を背景に、ぶっとびカーチェイスシーンを織り交ぜて描くアクションノアール小説。

スピード感といぶし銀的渋さの両立。古い器に新しい酒を入れる手法の模範例ともいえる傑作。

日本もここまで貧困化し、都市圏と圏外の生活や文化がかけなはれている現状、よそ事と笑えない小説だと思う。貧しさは心の余裕をなくし、犯罪や差別や社会不安を育み、結果的に社会だけでなく個人をむしばむんだと思う。

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2022年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ボーレガードは車の修理工場の経営者であり、凄腕の運転技術を持つドライバーでもある。
生活は厳しい。
同業者に客は奪われ、子どもたちはお金がかかる年頃だ。
このままでは取引先への支払いもできず、破産に追い込まれそうな状況で、一攫千金の仕事が舞い込む。
ストーリーはシンプル。
だが、読ませる。理由は登場人物たちが、欲望に満ちた、正直な人間の姿として描かれているからだろう。
ボーレガードは父親の残像に縛られ、社会的にも真っ当な能力があるにも関わらず、犯罪に手を染める。
なぜなら「金」が必要だからだ。
このままでは修理工場は倒産し、子どもたちに良い教育を受けさせてやれない。
では、どうして犯罪なのか?
これがボーレガードの性(さが)として描かれる。
ボーレガードだけでなく、ロニーや他の登場人物たちも「金」に人生を狂わされていく。

本当は貧乏から脱したかっただけなのに。
幸せを誰よりも欲するが、その手の入れ方を誤った男たちの寂しい物語でもある。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏社会から足を洗って2年、自動車整備工場を経営するボーレガード。
近所に出来た別の店との価格競争に勝てず、仕事が急激に減り、資金は底を付く間近。
右に出る者のいない走り屋としての己の腕を頼りに、なけなしの財産をはたいて賭けレースに出向くも、警察の取り締まりに合い財産没収。
ペテンであることを見抜くが、時すでに遅し。
全額を取り戻すことはできず、取り戻せたのは誇りばかり。

整備工場の家賃ばかりか子ども達の生活に関わる出費、さらには保険の手違いにより母親を預ける施設の代金が大きく請求されることに。
こののっぴきらない状況の中で取りうる策は、そう、裏社会への復帰。
そこにタイムリーに舞い込む、宝石店からのダイヤモンド強奪計画の誘い。

話を持ち込んできた因縁の相手ロニーの無計画性や胡散臭さ、ロニーの仕事仲間クアンのはりぼての威勢の良さに辟易としながらも背に腹は変えられないと、ボーレガードは計画に手を染めていく。
が、そこで狙った金品のせいで思いもよらぬギャングの抗争に巻き込まれていく。

デイヴィット・ゴードンの『用心棒』とかジョーダン・ハーパー『拳銃使いの娘』を彷彿とさせる、怒らせちゃいけない人を怒らせちゃった系の物語。
思っていたよりアクション寄り。
ボーレガードの抜け目なさや、走り屋としての腕の良さ、車を愛する気持ちがとても魅力的ではあるけれど、やっぱりこういうのは映像向きかなぁと。
それと、ボーレガード自身も「呪い」とまで評するように、無情なまでに暴力で解決していく展開がちょっと辛いところあり。
そんな綺麗ごと言ってられないのはわかるし、そういう展開が逆に感情の昂りを与えてくれる面もあるのだけれど。

邦訳2作目の『頬に哀しみを刻め』は本作とは全く関係ないらしいけど、本作シリーズ化する気はないのかな。
失踪した父との清算やら、運命的な巡り合わせとなってしまった母子との関係やら、なんか宙ぶらりんな点も数々。
いろんな起点から続編書けそうなんだよな。
未訳の次作「All the Sinners Bleed」もなんか違う話っぽいし、謎。

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2023年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
アメリカのサウスカロライナ州、レッドヒル群が舞台。
ボーレガードは、裏社会で伝説的な走り屋だった。
家族ができた事をきっかけに裏社会からは足を洗い自動車修理工場を経営していたが、資金難によりその工場の経営が傾き出していた。
家族のため、従業員のため、生活のためにボーレカードは昔の仲間から持ちかけられた宝石店への強盗計画に乗ることにした。
そしてそこからボーレガードはギャングの抗争に巻き込まれてしまう。

・感想
コスビー作品の暴力描写が相変わらずすごい!すごく痛そう!!
私がとても思い付かない事やってのける。
カーチェイスとかカーアクションの描写の臨場感も良かった。
今回もめちゃくちゃクレバーな主人公。
足を洗って真面目に暮らしたいのに色々な問題、環境のせいでうまくいかない。
そして本人もスリルと分泌されるアドレナリンの魅力に抗えない……。
ラストに妻のキアから「あなたは変われない」と言われ、本人もこれだけ家族を危険に晒したあとですら「変われるかわからない」という返答。
このラストが良かった。
親友が殺され、息子が危険な目にあったあとですら人間は簡単に変われない。
スリルジャンキーになってるボーレガードが可哀想ではあった。

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2024年12月20日

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