【感想・ネタバレ】春のこわいもののレビュー

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Posted by ブクログ

世界的感染症が始まった気配を感じる時期のお話。何だか不安に満ちていたり、孤独さや、不穏さを感じるお話が多かった。個人的には『あなたの鼻がもう少し高ければ』が好き。

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2024年04月16日

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オーディオブックのために書き下ろされた短編集。
読書という枠でも、”時代が変わった”のだ。
そのターニングポイントに、川上未映子あり。
(今の時代を生きる同世代の私にとって最高のアイコン)
コロナ当初、緊急事態宣言前のマスクが売ってない「あの春」が背景になった6編。

冴えない人間の、パッとしない人生の、ありふれた日常。
決してドラマティックではなく、静かな毎日の中で、くすぶる、なんとも言えない感情の起伏のようなもの。

小さな高揚だったり、湧き上がる苛立ちだったり、得体の知れない不安だったり、解決しようのない焦燥感。
それらを描くのがとっても上手な川上未映子さん。

なんだか、色々が、今の私の心の中を代弁してくれているようで、何も状況は変わらないし、解決なんてしていないのに、スッとモヤが晴れるような感覚。
どのストーリーも、自分の人生も、明るい未来なんて、見える気がしないのに、なんでなんだろう。不思議。

「あなたの鼻がもう少し高ければ」とか「娘について」とか、女性だったら、一度は経験したことのあるような、女性ならではの薄ら暗い部分や土台の明暗の差、「嫉妬」なんて一言では言い表せない感情とか、すごく的確に表現されている。

老眼が進んで、すっかり読書から遠ざかっていたこの数年。
オーディオブックで読書再開するのに最適な1冊だった。
改めて、読書が好きで、読書のある人生がいかに豊かであるか、に気付かされた。

「同じ時代を生きている」ただそれだけのことに何故か安心してしまう作品は、村上春樹氏以来かもしれない。
人間の心の内を、言語化して、小説化して、朗読化して、ってまだまだ未知数に広がる世界なのかも。

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2023年07月31日

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ネタバレ

初読。
一文たりとも見落としたくないくらい、言葉の積み方に魅了された。

「娘について」こわいこわい。善意の皮がたるんだ悪意。

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2023年05月23日

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6つの短編。どれも何か大きな事件があるような話ではないのに内臓を掴まれて握り潰されるような圧倒的な強さがあって気力が消耗した。『花瓶』と『娘について』が特に良かった。

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2023年03月18日

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6編の構成だが、最後の「娘について」以外はあっという間に読める短編だ.若い女性の興味がどの方面にあるのかを特化しながら読んだが、スマホへの依存が大きい日常を過ごしていると感じた.「あなたの鼻がもう少し高ければ」でオーディションに応募するものの全く歯牙にかけてもらえない状況をフィナンシェで紛らわす場面が悲しい.「娘について」ではよしえちゃんと見砂杏奈の妙な関係を見砂の母 ネコさんが取り持つという妙な設定が楽しめた.女性同士の会話の奇妙さは、日頃から関心を持っているが、本書で描写された登場人物らは、事実を暈しながら類推を駆使し、その中から自分なりに納得できる結論を拾いだすという過程を楽しんでいるようだと、類推したがどうだろうか.

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2024年05月04日

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 短編6編、新潮社とオーディオブックのために書き下ろされた、と記されていた。
聴く物語として意識して読むと、句読点の場所はいつもより更に気になる。
特に、最初の「青かける青」は手紙の形で語っているので、耳から入りやすいだろうな、と感じる。
 「娘について」は、人間の弱さ、無意識の自己防衛について気づかされ、一番怖く感じた。
 引用されている、大島弓子の作品『バナナブレッドのプディング』のセリフ、″きょうはあしたの前日だから……だからこわくてしかたないんですわ″、この感情が読後に迫ってくる。

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2023年09月27日

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ネタバレ

ずーっと読みたかった「春のこわいもの」。
読めて嬉しい…!!

ずーっと「すげぇな、川上未映子。すげぇな」って思いながら読み切りました。
恐怖に直結するような言葉を決して使わず、でも確実に読者を恐怖に陥らせる。
猟奇的で本当に言い回しが怖い文章が度々あった。

毎度のことながら、主人公(物語)が変わるごとに(文体が変わっている感じはしないんだけど自然に)、表現の方法に変化をつけていて、読みながら勝手に意識がはっきりしたり、朦朧とさせられたり、すごい。
あとはあまりにアンテナが高い。日常で当たり前になりすぎて気づかないで見過ごしてしまいそうなことを掬い上げるから、読んでてぐさぐさ来てしまう人は私だけじゃないと思う。
久々に小説のレビューをちゃんとしようとしてこれを書いているけど、自分の語彙力が足りなくてこの本のすごさを表現できないのが悔しい。(書いてるそばから、すぐ「すごい」に頼って恥ずかしい)

『あなたの鼻がもう少し高ければ』
P. 27
トヨの大学のリアルの友達や知りあいは、最近は口を開けば多様性とか自尊心とか、ルッキズムに反対しますとか、そんなことばかりを口にするようになっていた。人にはそれぞれの良さがあり、それは他人に決められるものではない。自分の価値は、自分で決める。トヨの友達がそういう感じのことを得意げに言ったりSNSに書きこんでいたりするのを目にするたびに、トヨは白けた。
だって、そんなの嘘じゃん。トヨはシンプルにそう思った。彼女たちの話をそのまま真に受ければ、ブスも美人も、この世界には存在しないことになる。
でも普通に考えて、そんなことはありえない。じっさいに、美人はいるしブスもいる。そんなの当たり前の話だった。自分て決められる価値もそりゃあるにはあるだろうけど、同時に他人が決める価値も、あるに決まってるじゃんか。得をするのはいつも美人で、損をするのはブスなのだ。だいたい美醜が個人の気の持ちようなんかでどうにかなるとか、本気で思ってんのかな。思いとか気合で、なんとかなるとか?もしそうなら、モデルとか芸能人とかどういう理由で成立するわけ?みんな何に金を払っているわけ?美しさとかきれいさっていうのは、例えば、しあわせとか愛とかそういうなんかふわふわした適当なものとは根本的に違うんだよ。美っていうのは、どうしたってはっきりしていて、ぜったいに見間違えようのないものなんだからーってま、あの子たちも、本当は分かっているんだろうけど。

P.41
「ちなみに、整形ってしないんですかー」
えっと声が出て、トヨは打たれたように背筋を伸ばした。
「あっ、めちゃくちゃ興味はあります」
「どこ?」
「あっ、クリニックですか?」
「違う、顔のどこ?」
「あ」トヨは唇を舐めあわせた。「えと、理想っていうか、あの、それはあることはあるんですけど、まずクリニックに行って相談して、全体見てもらって、どこをするのがいいか一緒にまず決めるっていうか、そんなふうに考えてて…っていうのは、全体の費用感とかもあると思ってて」
「ふつう、それ終わってから来ない?」
「えっ」
「だから、来るなら、顔ちゃんとしてから来てほしいんだけど」
チャンリイは目だけをちらっと動かしてトヨを見た。
「なんでブスのまま来てんの?」
トヨは、腹の奥のほうから恥ずかしさが熱の塊のようになって、体の内側をせりあがってくるのを感じた。

「金がないなら借金するか、ブスでもできる仕事して稼いで、まず整形でしょ」
トヨはチャンリイの言葉に黙った。
「っていうか、それっきゃなくない?芋ブスでも穴モテするとこ見つけてやるっきゃなくない?ぜんぶ順序が逆なんだよね。っていうかさ、クリニックで相談しますって、顔見たらどこやんなきゃいけないとか明らかだと思うんだけど?まず口ゴボ、それから鼻っしょ。そんなわざわざ相談するまでもなくない?」

P.54
そしてトヨはふと、小学校の頃に仲良くしていたスミちゃんのことを思いだした。スミちゃんはトヨのことをヒデヨシと呼ばなかった数少ないクラスメイトで、冴えないトヨに負けず劣らず、誰からもさしたる注意を払われることのない、地味でおとなしい子どもだった。
トヨは小学生時代、派手で目立って弁の立つ女の子たちに使い走りをさせられたり、暇なときにどうでもいいことをふっかけられてはいじられるような存在だった。トヨはプライドが高く、そんな自分のことを恥ずかしいと思っていたけれど、スミちゃんだけはなぜかトヨを慕ってくれていた。女の子たちがトヨのことを無視したり、男子の前で恥をかかせるようなことを言って笑いものにしたときも、スミちゃんはただひとり、変わらず同じように接してくれた女の子だった。
でも、小学生のころにはありがちな、そうした主導権を持つ女の子たちの気まぐれと風向きの変化によって、末端ではあるけれど、トヨがそちらの女の子たちの仲間入りを果たしたような感じになったとき、トヨはあっさり、スミちゃんのことを疎ましく感じるようになってしまった。自分の意見がなく、なぜかいつもくっついてきて、弱い感じがして、ださくて、ぱっとしなて、何が好きなのかもわからなくて、人の話にいつも肯いてへらへら笑うだけのスミちゃんを見ていると、不安とも苛立ちともつかない気持ちになった。

『ブルーインク』
P.99
ある日の別れぎわ、彼女は白い封筒を差しだした。手紙を書いてみた、と彼女は言った。うまく返事ができなかった僕を見て、彼女は少し居心地の悪そうな顔をした。そして、これにはとくに返事はいらないから、と付け足した。また、持ってくるかもしれない。そういうと彼女はまるで自分に言い聞かせるみたいに、一度だけ肯いてみせた。
真っ白な便せんに、几帳面にそろった文字がびっしりと並んでいた。
それは整列と表現するのがまさにぴったりするような真っ直ぐさで、僕が最初に思ったのは、この手紙を書くのにずいぶん時間がかかっただろうなということだった。手紙は僕の想像していたものとは違っていてーつまり僕にたいする気持ちとか、彼女がふだんあまり話さないような告白めいた何かとか、手紙にはそういったことが書かれるものだと漠然とした期待があったのだけれど、そこにはどうも、彼女の作った話が書かれているようだった。あるいはそれは、詩のようなものかもしれなかった。はっきりした主語がなく、ひっきりなしに雪が降っていて、すぐに消えてしまう足跡の大きさを測っている人物がいた。また、誰のものなのかわからない台詞が突然あらわれ、大きくなりすぎて檻から出られなくなった老いたうさぎの描写があった。

P.125
「さっき、ここで女の子の話したよね」
「うん」
「あれね、本当は暗室じゃなくて、デッサン室だったんじゃないかなと思って」
「何が」
「死んだのが」

『娘について』
P.190
悔しいんだろうな。そう思うと自然と顔の下半分がにやけた。ネコさんが電話を握りしめてうなだれている姿を思い浮かべると、腹のあたりがむず痒くなって、思わず笑い声が漏れてしまいそうだった。どれだけ金をかけても何にもなれない、あなたの娘がどれくらい愚かで、どうしようもないのか。こみあげてくる愉快さを追いかけるように、意地悪な言葉があとからあとからあふれて、それを喉の奥に待たせておくのが大変だった。ネコさんはまだ鼻をすすっていた。ネコさん、わかった?あなたの娘より、わたしの母の娘のほうがすごいんだよ。わたしの母の娘のほうが、すごいの。わかりましたか!わたしはネコさんの鼻先に人差し指を立てて、はっきりとそう言ってやったような気がした。それは全身に鳥肌がたって、危うく身悶えしてしまうほどの快感だった。

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2023年09月04日

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胸の奥底にある人間の想いが描き出された物語です。沸々と湧き上がる衝動のような、興奮のようなそんな想い。誰しもあるけれど、それを味わうためにわざと人を嘲笑ってはいけない。だから、人の奥底の気持ちを描いた物語の主人公に、その想いを託しているのではないでしょうか。
語りのような、朗読されているような、誰かの日記や手紙を読んでいるような、どんな風にも読み取れる進み方で、不思議な気持ちになりながら、モヤがかった街(小説の世界)を毎日彷徨っていました。

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2023年05月03日

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Audibleにて。
独特の川上ワールド。こわいというか、胸がぐーとなる様な何とも言えないけど、好きだな。

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2023年02月15日

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なかなか面白い、一言でいえばホラー?
春という題名に惹かれて読んだけど、え?この春を書く?って驚き。
春は芽吹の季節で行楽シーズンだし楽しいけれど、そればかりじゃない。春大好きの私であっても、何やら自分だけが取り残されてる気がしてソワソワしたり、気圧か寒暖差か?気分の浮き沈みも激しかったり。
春はフラフラーと出掛けてしまい、意味不明な行動しちゃってる人もチラホラ。
そんな自分や周りの人たちの春に起こりがちな暗部にフォーカスした短編集。
相変わらずの川上未映子の文章なので、どの短編もフンワリ柔らかい口調で始まって、高校生のかわいいラブストーリー?と思いきや、、とか、ええ?この人もそんな側面が?!めっちゃしっかりした普通の人やと思ったのに。軽くどの短編にも騙される。
でもほんま周りを見渡すと(自分も含めて)、こういうのは誰でも持ってるんよな。

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2024年04月11日

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春の訪れと共に、得体の知れないウィルスが密かに近づいていた。コロナ流行直前の日々。どの短編にもぬるっとした後味の悪さがありました。私たちの生活にはすでに"こわいもの"が潜んでいる...

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2024年04月06日

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オーディブルで。

春のこわいもの。

タイトル的には少しホラーが混ざった小説かな‥と思っていましたが。

時は2000年。
コロナ禍のマスクの買い占めの時代の話。

短編の作品で,それぞれの主人公の闇の部分をツラツラと読むような作品でした。

暗くて,脈絡もなくて、もし書籍で手にしていたら,パラパラと読み飛ばして⭐︎⭐︎終わりだったかなと思います。

しかし、ナレーターの雰囲気が作品とピッタリとあっていて,聞いていて心地よく,

いつもオーディブルは1.5-2倍で聞くのですが、即座に1倍に戻して聞き出しました。

ナレーター誰なの??と名前を見ると,女優の岸井ゆきのさんでした。

岸井ゆきのさんの才能素晴らしいです。

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2024年03月25日

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ネタバレ

コロナ禍の始まりの時期、それぞれの人に「あの時どうしてた?」と聞いて回るような感覚だった。
老いていく人、青春真っ只中の若者、仕事柄あまり変化が無かった社会人などなど...
同じ時代を過ごしていたのに捉え方は皆違って、コロナが生活に与えた影響もそれぞれで。
100人いれば100通りの人生があるって当たり前の事なんだけど、私は面倒くさがりで色んな立場の人の事を考える手間を惜しんで、皆大体自分と同じように生きてるだろう、そういうものだろうって考えちゃう事がよくある。
こういう本を読むと、いかんいかんって少し背筋が伸びる気がする。

『ねえ、戻れない場所がいっせいに咲くときが、世界にはあるね。』(p15)
このフレーズ大好き。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

タイトル通り、「あなたの鼻がもう少し高ければ」本当に怖い。他人に対して、「ブス」と言い切る人も怖い。文中にあるみたいにボディブローのようにジワジワと怖さが沁みてくる。

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2024年02月10日

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短編集【あなたの鼻がもう少し高ければ】美しいの基準は何なのか?美しければいいのか?今の若者の価値観に驚く。

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2024年01月08日

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6話から成る短編集。
自己完結しているような話のなかで、最後に収録されている「娘について」が一番わかりやすかった。
友人に対しての隠された悪意を描いた作品で、秀逸だった。

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2023年10月26日

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初めて読んだ川上未映子さん。
人の心の中のいろんな感情がこわい。
相手への嫉妬や見栄、期待、裏切り‥

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2023年09月05日

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心の奥にある記憶や感情の痕跡のひだの裏側まで赤裸々に綴っていくような作品。経験の近似値にもよるー確かに似た経験もいくつかはあるが、正直、ここまでのきめ細かな観察や繊細なコミュニケーションとる人間ではない私にとって、入り込めない作品だった。

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2023年08月11日

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ネタバレ

6つの短編、いずれも記憶に新しいパンデミックの少し前の「よくわからないけど何だか怖い」という当時の不穏な感じが反映されている。

印象に残ったのは「ブルー・インク」と「娘について」の二編。

「ブルー・インク」は文章の感じもお話もどこか村上春樹っぽい。好意をもつ同級生の女の子の言動に振り回されながら、だんだんと苛立ちを募らせていく主人公。怒りが爆発してしまいそうな不穏さにハラハラした。

「娘について」は作者自身を投影したかのような小説家が主人公で、彼女は創作にも行き詰っている。かつて同居したことのある女優志望の友人とその母とのやりとりとかマウントを取り合う会話があるあるで、読んでいて少しつらい。女優になるための具体的な努力も行動もせず、親の仕送りで怠惰に生活する友人に主人公は苛立ちを募らせる。

冷静に考えると他人が夢に向かって頑張らないからといって自分がイライラする必要はないのだ。半面、彼女が成功しそうになると足を引っ張ろうとする。自分は「小説を頑張っている」と周囲に見せるようにしているけど、悲観的な将来しか浮かばない。こうすれば不幸になるよ、という見本のような思考経路で、読むのが辛くなってくる。

どんどん気持ちが内に向いて、このような行き詰まりに陥る感じがコロナのときは確かにあったように思う。渦中にいたときは、なんとか普通に生活を続けていたつもりだったけど、戦争中を描いた小説を読んで当時を想像するように、改めて振り返ると歴史的な一地点だったのかなと思う。

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2023年08月03日

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新刊として出たばっかの時に買って詰んでて、やっと読んだ。川上未映子の小説って、人の、目を背けたくなるようなキッショい感情の解像度が高くていつも感心するんだけど、細かすぎて伝わらないところがあるのかもしれない。

小説に出てくるような状況を体験したことがあれば、「ああ、あの時のもやもやってこういうことだったんだ…」って納得するような、答え合わせみたいな言い当てられてるような感覚になって面白いんだけど、マジで共感できないことはいくら説明されても共感できない。

今回のは半分以上共感できない話だったから、少し感動が薄れてしまった。多分、私が化粧そんな好きじゃないのと、ブスいじりされたことないのと、コロナ禍の体験がちょっと違ったのがある。

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2023年07月24日

Posted by ブクログ

人の心は人の数だけあって、しかもその一つの心ですら制御できないのが人間です。
色々な人たちの心の中が描かれていますが、どれもこれも他愛も無くて、いくらでも世の中に転がっていそうで、それでいてとても気持ちが悪いです。
人が人に感じる感情は一つではなくて、色々なものが混ざり合っています。仲良しに思えてもそこに一抹の憎しみや嫉妬のようなものが混ざって至り、憎んでいるのに愛のようなものが混ざっていたりして。
この本に出てくるのはどれもこれも自分の中に見覚えがあるような感情、もしくはこれから出会うかもしれない感情です。

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2023年06月16日

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乳と卵に続いて2作目の川上未映子さん、ご本人のイメージや可愛らしい装丁と裏腹に不穏な感じにさせられる〜

音声と相性いいんだろうな、聴いてみたいなと思った

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2023年05月17日

Posted by ブクログ

ざわざわする短編集。
どれもタイトルが素敵なのに、ずーーっと不穏。
コロナ初期の何が何だか分からない不安な感じと、生きていくうえでのしんどさを煮詰めた話たち。
あの頃の春ってこんなだったなあ。

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2023年04月21日

Posted by ブクログ

言葉にするのが難しいぐわぐわする感情になる短編集。ぜんぜん読後感が爽やかではないけど、爽やかな空気の中で読みたくなる本だった。

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2023年04月16日

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春に読もうと決めていた本。やっと読めた。

うすら寒い、どこか不気味な雰囲気。
女や人間の怖さというはっきりしたものよりももっと漠然としたなにか。
冒頭のギャラ飲みの女の子の話が圧倒的にインパクトありすぎて、他の作品から明らかに浮いている。
美容垢界隈の胡散臭さよ。怖いねえ。

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2023年03月30日

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春に感じる「嬉しい気持ち」の裏にあるちょっとザワザワした気持ち。
この短編たちは、それに似ている。
穏やかな印象の春。その裏に微かに潜むダークな何か。

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2023年03月15日

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川上さんの文章は、なんというか、芸術みたいなものがひしひしと感じられるような、あぁこれが文学かぁ、みたいな感じ。
それでも決して読みにくいということはなく、上下に移ろう流れは止まらなかった。

"人には人の地獄がある" という気付きを得ることができたし、「娘について」に関しては、心の余裕がないことってこんなにも恐ろしいんだなと感じた。

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2023年03月08日

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春の空気が感じられる様になると、嬉しい反面なんかザワザワしてしまう気持ちもある。そのザワザワ感と近しい人や憧れの人との関係性の中でも発生するなんとも言えない感じを重ねているのかなぁ。特にコロナ禍で、今までは感じなかった新たなザワザワも、世の中にはたくさんあったのかも。

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2023年02月19日

Posted by ブクログ

オチでこわい、というより、
ぞわぞわがゆっくりやってきて、じとーっと去っていく感じ。

黄色い家を読んでいる時も思ったけど、
未映子せんせーは、軽くてじめじめした女の子の心の中を描くのがうまい。

なんでこのタイトルなんだろう、と思う作品がいくつか。捉えきれてない部分も多いのかな。

「淋しくなったら電話をかけて」の
〈あなたが見つめる画面には、知りたいものも読みたいものも、知るべきことも読むべきものも本当はありはしないのに、あなたはどこからも目を逸らすことができないでいる〉が当てはまりすぎててザクッと切り裂かれた。

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2023年02月17日

Posted by ブクログ

人の色んな黯い部分を描いた短編集。
怖いもの見たさでどんどん読めてしまうし、読後の後味の悪さがすごい

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2023年11月18日

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