あらすじ
婚活が隆盛する今でも未婚化・晩婚化が止まらないのはなぜなのか。悲喜こもごもの実体験を踏まえ、婚活での男女の力学を俯瞰し、参加者やサービス企業への提言をまとめた。
目次
第1章 婚活概念の誕生と独り歩きの始まり
1 未婚化・晩婚化の原因
2 婚活概念の誕生と独り歩き
第2章 婚活市場の成立と婚活の暴走
1 お見合いと仲人による結婚の正統化
2 ロマンティック・マリッジ・イデオロギーと結婚相談所の変化
3 婚活総合サービス業の台頭と婚活市場の成立
4 婚活戦略への注目
5 婚活という現象の行き詰まりを解消していくために
6 婚活市場に飛び込もう ―方法としてのオートエスノグラフィー
第3章 婚活パーティー 婚活市場で無力化していく私
1 婚活パーティーを検索してみる
2 44歳の壁に阻まれる
3 希望への大行列 ―若いイケメンには勝てない現実
4 完璧なマッチングじゃないとね!
5 マッチングはしたけども……
6 戦略変更とマッチング、そしてクリスマス前の別れ
7 婚活パーティーにおける婚活戦略
第4章 婚活総合サービス企業の利用 商品化される私
1 入会への勧誘 ―婚活への魔法をかけられる
2 会員登録と研修 ―商品としてラッピングされる
3 マッチング ―商品として比較される
4 商品化される私、ショッピングを楽しむ女性会員
第5章 あなたのための、婚活戦略
1 婚活市場の力学 ―人生を取り戻す婚活女性、商品化される婚活男性
2 男女それぞれの婚活戦略の可能性
3 婚活総合サービス業への若干の提案
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
話題になってた本。婚活をアカデミックな観点で考察し、オートエスノグラフィーの手法で描いた本。
自分が婚活をうっすら考えていること、そして男性側であることからなかなかに読むのが辛い場面もある。
が、本格的に婚活をやる前に知れて良かったし、読み物としても面白かった。
Posted by ブクログ
44歳から2年半にわたり婚活に挑んだ、経営学を専門とする男性大学准教授である著者が、婚活に関する先行研究を踏まえつつ、自身の婚活経験をオートエスノグラフィーという方法論により深く掘り下げることで、婚活を分析し、今まさに婚活に取り組んでいる・取り組もうとしている人々や婚活総合サービス業者に向けて提案を行っている。
かつて男性として婚活に取り組んでいた身として、著者の実体験をふんだんに盛り込んだ本書は、とても興味深い内容であり、膝を打ちながら読み進めた。
オートエスノグラフィーという学問的手法にのっとっているとはいえ、サンプルは著者だけであり、その体験に基づく分析に(特に女性の立場から見て)普遍性があるのかという疑問はなきにしもあらずだが、婚活市場における非人格化されたデータ化による「商品化」、そしてそれに伴う人生を取り戻すショッピングとしての女性の婚活と商品として陳列棚に並び続けるしかない男性の婚活という対比といった著者の洞察は、現在の婚活(市場)の構造的問題点を鋭く突く部分があるように感じた。
著者の示す「(容姿に恵まれない)男性は婚活市場の外に出てみよう」といった婚活戦略も、あまり希望のない結論ではあるが一理あると思ったし、婚活総合サービス業への①婚活女性の視点からの婚活男性の陳列棚の再設計、②マッチングの申込みは女性のみの権利とするという2つの提案も、かなりドラスティックであり、①は人権上の問題もありそうなのであまり現実味はなさそうだが、成婚率上昇に向けた効果はあるのではないかと思った。
Posted by ブクログ
蚊帳の外から婚活市場の狂騒を覗いてみたく。
市場経済に連なるシステム下での最適化を目論むプレイヤーの行動としては、いくらかグロテスクでありながら一貫したものが存在しているのだなぁと。
Posted by ブクログ
学術書の体裁が取られているが、第3、4章の著者自身の婚活の実体験が一番の読みどころ。
高収入だが、容姿に恵まれない男性の、43歳からの婚活体験記。ここでは男性の年収と女性の若さが100万円=1歳差で交換可能な価値とされているという。
婚活総合サービス企業に「清潔感」を教えてもらう姿に笑えたり、あまりに目的意識がはっきりした女の人の割り切りに戦慄したりする。
果たして著者は結婚できるのか。
Posted by ブクログ
婚活女性は、男性の19%の年収400万以上を争っている。
婚活パーティーの多さは、女性の「もっと良い人がいるかもしれない症候群」を生み出している。
男性は陳列棚に並んで、女性に選ばれるのを待つ。
婚活サービスによるデータ化の弊害。女性は自分を開示しない。
結婚は、スペックが合わなければ成立しない、という結婚情報サービス会社の戦略の上に成り立っている。
男性にとって結婚はリスクを伴う通過儀礼。アメリカでは結婚カウンセラーへの支払いがあると、クレジットカードが止められる、というジョークがある。
結婚した男性は、結婚というリスクを背負う覚悟をしたという意味で、信頼される。
女性は、人生を取り戻すことを意味する。結婚から得られる効用が大きいからこそ、相手にこだわる。人生を取り戻すショッピングとしての婚活。
男性は婚活市場の外で、恋愛によって経済の壁を突破する、必要がある。
婚活するなら相対優位に着目する。