【感想・ネタバレ】少女を埋めるのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

なぜ自分がこの作家が好きだったのかよく分かった作品。少女を埋めるでは、考え方や思想が驚くくらい同じでびっくりした。

家父長制に違和感を感じ、従順できずにもがいた女性の話。「女性だからこうあるべき」っていうのに従う方が楽なこともたくさんあると思うけど、そうやって生きることが苦しい生物学的に女である人もいる。
ジェンダーギャップ指数の順位が低い日本の、女性の幸福度は高いときく。男の人に稼いでもらって、奢られたり守られたり、仕事で重い責任を負うより専業主婦が希望って女性も多いだろうから、それを希望する女性にとっては、その生き方はかしこく正しいと思う。でもその生き方を希望しない女性は、煙たがられて排除されるべきなのかな?

持ってしまった違和感を捻じ曲げることができない私も、その社会では異分子だったと思う。その点新しい所謂東京的な価値観は、息がしやすい。
正論は自分を守る命綱、まさにそうだった。

キメラ以降では、問題をただ切り捨てるのではなく、後の世代のために思考して進んでいくべきというメッセージを強く感じたが、私もそう思う。

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2022年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この著者の本は初めてだったが、「少女を埋める」はいっきに読み終えた。
そして「キメラ」。
今は何でも検索できるので、朝日新聞で書評した当事者がすぐに特定できてしまうのだが、その手ごわさにビックリ。

「少女を・・・」を読んだ直後と言うこともあり、完全に桜庭一樹さんの味方的位置から読んではいるのだが、朝日新聞・そして評論家、ほんっとめんどくさいね~。
そもそも評論した人の「読み違い」が原因でしょ?と思っていたが、そこに着地するのがラストの「夏の終わり」って、ほんとにどんだけめんどくさいんだ!

これを読みつつ思ったのが、現在毎日新聞日曜版で連載中の、山田詠美さんの「私の言霊漂流記」。
作家としての評価は盤石なのに、過去に言われたことをそこまで恨みに思ってるのか~。
と内容そのものより、そのことに気を取られてしまう。
黒人と付き合う女性を昭和のオトコ(主に)たちはそんなふうに解釈するのか、と勉強にはなったけど。

さらに思ったのは、このところシリーズで読んでいる「〇〇員××日記」。
高齢者となった著者が、現在の職業についてリアルに語っているところがとても面白いのだが、かつて
「上司や客、親会社の担当者からひどいこと言われた、された」
うらみを晴らしてるだけ?と読める著書もある。
似たような境遇にありながら、現在の仕事から得られるものをきっちり書いている人もいて、そっちは読後感爽やかなのだが。
結局これは書く人の人間性の問題なのか・・・と、今は思っている。

結局、その人にとって忘れることのできない恨みを文章にして人に読ませ、かつ嫌な気分にさせない、ってホントに難しいことなんだ、というふうに思い至った。

私自身ここまで生きて来て@高齢者です 死んでも許せない!と思ことはいくつかあるのだが、だからと言ってこれを衆人が読める環境で書き記すことはあえりえん!(きっぱり)。
どっちにしても書く力量はないけどね チャンチャン。

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2022年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鳥取で橋を作る時に埋められた人柱は猿廻しだった。「朝一番にここを通った者を人柱にする」と決めた後、土地の者にはそのことをこっそり伝えて朝そこを通らないようにし、よそ者が人柱になるように根回しされていたのだ。猿廻し、絶世の美少女、そうした普通とは違うはずれ者たちが犠牲にされることで、共同体は平和を保ってきた。
だから地元では目立たないように過ごし、東京に出てきた冬子が、父の危篤の報で帰郷する。故郷では知らず知らずのうちに、周囲の心情を慮り、期待に沿うように振る舞う。世界は単純な出来事の連続をどのように選択して線で結ぶか、という解釈からできている。個人と共同体の話。
続く「キメラ」は、「少女を埋める」のテキストを曲解して朝日新聞の文芸評論欄に載せられた作者が、その評論から誤解されて母が「病人を虐待した妻」のレッテルを貼られないために奔走するエッセイ。こちらも、自由な読みと間違った解釈は違うこと、点と点を結んでどのような物語を了解するかは個人に左右されていることが語られている。朝日新聞という大きな組織を前に、和を乱さないために沈黙するか?そうして集団の前に個人が沈黙する事で保ってきた事なかれな平和が日本の常識となっているのだと思う。

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2022年02月11日

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