【感想・ネタバレ】エコロジー社会主義 気候破局へのラディカルな挑戦のレビュー

あらすじ

生産システムの集団的・民主的再組織化だけが、真に社会的な欲求を充足し、労働時間を短縮し、不要で危険な生産を規制し、化石燃料を太陽エネルギーで置き換えることができる。こうしたことすべては、資本主義的所有の根底に手をつけること、無料のサービスと公共部門を根本的に拡大することを意味する。つまり一言で言えば、民主的でエコ社会主義的な計画を意味するのである。(序章より)

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Posted by ブクログ

斎藤幸平さん著の人新世の「資本論」中のエコ社会主義に隠れてしまいましたが、こちらも2020年に出版されたエコロジー社会主義とはどんな思想か、歴史的経緯が包摂された好著です。
数十年前からエコ(ロジー)社会主義という考え方はすでに欧州から出てきていて、一時は退潮しつつも現在は若者を中心にかなり有力な勢力となっていると感じます(日本ではまだまだですが)。本書でいうエコ社会主義の定義は、「生産力主義という不純物を取り除きながら、マルクス主義の基本的成果を活用するエコロジー的思想・行動の潮流である」とのことです。ふむ、マルクスから生産主義を取り除くというのは今日かなり有力な思想に発展してきていますね。またエコ社会主義は、「赤」、「緑」の戦略的同盟および南の被抑圧・被搾取人民との連携運動を提起しています。ここでいう赤と緑は政党ではなく、より広い意味での労働運動とエコロジー運動を指すそうです。赤と緑の一体化、フランスでいえば、黄色いベスト運動と環境運動が歩み寄る形で大きな運動の潮流が生まれました。

政治面でいえば、一般的にどの党よりも環境政策を打ち出すとされる緑の党も中道左派に落ちぶれてしまい(その甲斐もあってドイツなどでは大きな勢力となったというジレンマもありますが)、かつて緑の党の創設メンバーたちはよりラディカルな党を創り出す経緯には「へえ」となりました。

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2021年01月14日

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