あらすじ
1160年、平治の乱の後、源頼朝は平清盛によって助命される。後に大納言・時忠が、「此一門にあらざらむ人は、皆人非人なるべし」とまで言い放ち、知行国三十余国、荘園五百ヵ所、田園その数を知らずと言われるまでに栄華を誇った平家一門の命運は、この瞬間に窮まった。
後に平氏を滅ぼすことになる頼朝を清盛はなぜ救ったのか?
平氏を滅亡に追い込んだ天才武将・源義経は数々の戦果を挙げたにもかかわらず、兄の不興を買って非業の死を遂げる。その義経が怨霊として祀られていないのはなぜなのか?
二つの謎が解けるとき、源氏と平氏の真の姿が現れる。
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清盛の義母池禅尼は、なぜ源氏の棟梁となるであろう頼朝の命を、清盛に救わさせたのか。
この問いから始まる、源平合戦に関わる内容を、他のさまざまな問いとともに解決していく事で、歴史の真実を浮き上がらせる長編。
とにかく、えっ?そうなの??と唸らされることばかりだった。大河ドラマ鎌倉殿の13人を観ていたので、ややこしい人物名と関係性があまり混ざらなかったのも良かった。
この時代に興味のある人以外も、読むべき本な気がする。この一冊で、神社の意味、怨霊の存在、自分の目で確かめる価値、問いの持ち方、学ぶことの意味など、描かれている本筋だけでなく考えさせられることの多い、すごい本だった。
数年前、三島に行った事が懐かしい。今度はこの本を持って行きたいなー。
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高田さんの歴史ミステリーが好きで、購入しました。今までの作品は、歴史の謎の追求と事件の解決が並行して進むことが多かったが、この作品は、純粋に、登場人物が、歴史の謎に取り組んでいきます。物語が進む中で、定説になっている様々な歴史的事実とされる出来事が、多くの文献の分析をもとにして、ひっくり返されていきます。そして、最後の結論にも、衝撃を受けました。この本から学んだことは、系図の重要性です。天皇家はもちろんのこと、かつて権力を握った源氏や平家、藤原氏など、系図を読み解くことは重要だと思いました。歴史ミステリーに興味がある人におすすめです。
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他の作品の場合は、現実世界ではで殺人事件が発生して、それに伴って歴史の謎が解明されていくが、本シリーズでは歴史の謎とフィールドワークしか出てこない。
だがそれが良い。歴史に集中出来て面白さを堪能できる。源平の戦いがよく分かった気になれる。
池禅尼が頼朝の除名をした理由や義経が怨霊化して居ない理由、鵯越は行われたのか?何故、安徳天皇は三種の神器と共に沈まなければならなかったのか?鎌倉の段葛は何故作られたのか?何故、北条政子は自分の子を見殺しにしたのか?など非常に盛り沢山な内容。
それぞれに理由が語られ納得させられる。
木曾義仲についてはもっと調べてみたい。
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高田先生の物語は、実際に現地を訪れるフィールドワークと、電車の中やバーで見つけたことを整理するシーンがちょうどいいバランスで入っているので、まるで自分も一緒に旅をしているような感覚になる。 鎌倉の長谷に行った事がある人ならきっと知っているあの看板など、現地の細かい描写もいい。旅行のしにくいこんな時代だからこそ、更に楽しく読めた。
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いくらなんでも、登場人物のテンションが高すぎるんじゃないか?という、疑問はさておき。
大河ドラマで注目をあびる源平合戦に関する様々な疑問に対して、現地に行ってしっかり検討するという趣向はとても面白かったです。
義経は鵯越の坂落としやってない疑惑は、大河ドラマにも取り入れられてましたね。梶原景時@中村獅子堂の「一ノ谷と鵯越は全く別の場所」という突っ込みに、義経@菅田将暉が「構わぬ。鵯越の方が響きがいい。馬に乗って駆け下りたほうが絵になるしな。」、「歴史はこうやって作られるんだ。」って言わせるあたり、三谷脚本さすがです。
高校で日本史習った昔から、北条も、三浦も「平氏」の血筋じゃんって思ってたので、終盤の「平平合戦」の話は、ひたすら、「そうそう!」って我が意を得たりでした(自分も登場人物と同じくらいテンション高いのでは?という突っ込みはさておき…)。同じギモンを抱いても、それを小説にできてしまう作者の才能すごいなと。
Posted by ブクログ
難しかったけど思ったより食いついていけた!ボリュームあった。もともとの知識が乏しいけど、馴染みのある地名がたくさん出てきて親しみやすかった。解説がまたおもしろかった。