【感想・ネタバレ】彼女の命日のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 サスペンスを普段読まないため、話に入っていけるか不安でしたが、読みやすい文体でかつ主人公のみの視点での文章だったので、とてもサクサク読めました。
 とても文章は丁寧できちんとしており、物語の根幹にかかわる蘇りという大きな謎に対して直ぐに自分も不思議感を味わうことが出来ました。
 最初は殺された主人公が蘇りによって謎解きをするのかという期待があったので、サスペンスという物語の流れとはこうなのかなという気持ちで読んでいたのですが、殺された主人公は残された周りの人々が今どうしているのか、ということが気になるようで、自分のいなくなった世界の話を、主人公の視点を通して話が進んでいきます。
 個人的にそういった視点は面白かったのですが、(ここから物語の展開のネタバレになります)、主人公が蘇りに慣れていくにつれ、蘇りの憑依先の人(蘇りは憑依という形で成されます)の立場や人間関係が気になるようになり、それも確かにとても人間的な感覚であり納得できる考えなのですが、行動がどんどん本筋(だと思っていた主人公の殺人)からずれ、さらに主人公の周りの残された人々の話からもずれてしまっていくのがもどかしく思えました。
 その後主人公の取った蘇りの際の行動に無関係に(全く無関係とまでは言えないのですが)、犯人が捕まったので話は終わりを迎えます。
 話の広げ方はとても速かったため、主人公の人柄を理解させる心理描写だったり、時代を知らせる風景描写だったり、物語の前提条件をうまく知らしめられるような、それらの文章の展開のうまさに感心しました。ただ、話の進行や話の畳み方もまた同様で、あっという間に(うまく納得できないまま)終わってしまったので、余韻を味えるようなところがもっと欲しかったなと思いました。
 

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2018年07月17日

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