あらすじ
ベスにとって誰よりも大切な存在は双子の姉アディだ。その姉に懇願されては引き受けざるをえない。姉はバーハールの皇太子マリクの許婚で、少女のころから王妃になるべく教育を受けてきたにもかかわらず、いよいよマリクとの初めての対面が迫ったとき、ベスに自分の身代わりになってほしいと泣きついてきた。そこでベスはバーハールに行ってマリクに会う決心をした。結婚話をなかったことにしてもらうよう彼に働きかけるのが目的だ。ところが、マリクとともに過ごすうちに、思いもよらない事態に陥る。マリクに恋をすることなど、あってはならないはずなのに。★今月、登場するシークは「だまされた花嫁」のヒーローの兄君。テレサ・サウスウィックならではの華やかな世界が広がります。★
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Posted by ブクログ
内容としては、結婚と即位を控えた砂漠のシーク、皇太子が昔ながらの許嫁と結婚するというもの。そして、その許嫁の女性がうり二つの双子で、結婚をためらう姉の代わりに妹が入れ替わる、いわば王道ものだ。
ただ、私はこの作品を通しても、とても大切なことを教わったと思っている。
ー父上は悪くありません。原因は僕の愚かな行為にあります。
ー例のぺてん師ジャーナリストのことを言っているのか?
ー誰も信用せずに生きられる者はいない。お前の判断は適切だ。自信を持ちなさい。私はおまえを信頼しているのだから、心の命ずるままに決断しなければならないよ。
本書からの抜粋部分は、父王と息子である皇太子の会話である。
彼は過去に愛した女性に手酷く裏切られ、女性を愛することにトラウマを持つようになっている。
女性を信頼して愛してしまった我が身を責め続ける皇太子に対して、王がかけた言葉がとても印象深い。
「誰も信頼せずに生きられる者ははいない」。特にこの部分が深く響いた。
自身も最近、恋愛ではないが、似たような体験をしたからだ。もちろん、私の場合、相手の方は微塵も悪いことをしたという自覚はないし、事実、そのときはそうだったのだろう。
しかし、結果として、私は長く苦しむ痛みを身体的に抱えることになってしまった。
自分の決断と選択を幾度責めたかしれない。相手を信頼して、大切な健康を任せてしまったことが結果として大きな不幸を招いてしまった。
だが、あのときの私は、相手を心から信頼し、この人であれば任せられると信じて疑わなかった。今の後悔と罪悪感は、やり場のない怒りと焦燥感が招いたものであり、過去の自分が悪かったとは言えないし、自分を責めて苦しめても意味はない。
国王が皇太子に向けたこの言葉は、図らずも深い私の懊悩をいくばくなりとも軽くしてくれた。
相手の罪を許し、事実を受け容れなければ、試練を乗り越えて先に進むことはできない。
改めて感じた次第である。