【感想・ネタバレ】国道16号線スタディーズ 二〇〇〇年代の郊外とロードサイドを読むのレビュー

あらすじ

ショッピングモールやチェーン店が立ち並ぶ「没個性的で均質的な空間」としてネガティブにイメージされがちな郊外だが、私たちは紋切り型で郊外を理解しているのではないか。

本書は、2000年代以降の郊外を国道というインフラとの関わりから考察する。具体的には、国道16号線――神奈川県横須賀市から千葉県富津市までの首都圏の郊外を環状に結ぶ、いわば郊外が濃縮された国道――を実際に車で走り、街を歩き、国道と土地の歴史の調査やトラックドライバーへのインタビューを積み重ね、現在の郊外とロードサイドのリアリティを描き出す。

同時に、16号線沿いの街を物語るテキストや表象――『ドキュメント72時間』『闇金ウシジマくん』『学校の近くの家』『木更津キャッツアイ』など――を読み解き、また鉄塔や霊園などのモノや空間にも目を向ける。それらの考察を通して、少子・高齢化や人口減少など、現代日本の郊外が抱える課題を明らかにし、郊外の現在を理解するための新しい視点を提示する。

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Posted by ブクログ

国道16号線にまつわる研究。郊外の一風景として殺伐とした没個性的な雰囲気を16号線的なるものと定義。社会学的な郊外論が語り損ねてきたことを16号線を走ったり歩いたりしながら解き明かす。

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

国(酷)道本ではありません。
東京近郊をぐるっと一周する国道16号線を考察すること
により、戦後の高度経済成長から現代の空き家問題を
抱える自治体の悩みまで、すべての答えを導き出すこと
ができるアカデミックな本です。

まさに文化と歴史が詰まった国道16号線こそ「郊外」
の象徴であることが非常によく理解できます。

マイルドヤンキー達はそこら辺に多数生息している
ことから、国道16号線をよく知らない人でも何となく
想像できるのではないかと思います。

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2019年12月20日

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