あらすじ
中学の時,四肢マヒ,発話・視覚・嚥下障がいと共に生きることになった著者は多くの困難に直面しながら,独自のコミュニケーション方法を創る.24時間介助による一人暮らし,大学入学,会社設立,大学院での当事者研究,各地の障がい者とのつながり.絶望の日々から今までをその想いとともに丁寧に描き,また関連する制度も解説し,提言する.
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Posted by ブクログ
天畠さん「どんどんできることが少なくなっていく自分」という自己イメージから脱却し、「責任を背負う主体」としての自分を実感したことが生きるエネルギーとなる。
報道特集に出演されていたNPOテラ・ルネッサンスの小川さんはウクライナ人を支援している。「人から助けてもらうと嬉しいと思う。だが、それが長く続いていくと無力感を感じたり存在意義を見失ったりする。私たちが何かできることを一つ一つやっていくことで自立することも可能だし、脆弱だと言われる人たちが活躍していく状況も作れる。」と仰っていた。
共通することとして、自分自身が他者に貢献するなどして自分の存在価値を認識することの大切さがあると思う。
ただ弱いものを支援する、寄付をするだけではなく、持ちつ持たれつ支え合うことが重要だと学んだ。
Posted by ブクログ
突発的に複数の障害を持った著者による克明な記録
障害者というとクリーンなイメージを持たれがち
しかし狡猾なまでに生活のために戦略を駆使したことが分かる
Posted by ブクログ
重度障害者の筆者が、これまでの人生の苦労や、社会とのつながりをどのようにして創り上げてきたのかを記している。本書で「当事者研究」という言葉を初めて知ったが、当事者だからこそ発信していけることは、間違いなくあると感じる。
しかし、筆者は経済的に恵まれた家庭に育ったことが大きなアドバンテージになっていると感じる。
筆者のようなレベルまで、自分の考えや意思を表明していけるようになる「当事者」はどれほどいるだろうか。
もちろん、本人の努力は相当のものであることは本書から窺い知れるが、どうしても、先のような事を考えてしまうのである。
ただ、そうした点を差し引いても、良書であることに変わりはない。
Posted by ブクログ
24時間体制での介助を必要とする重度障がい者なのにも関わらず、大学で学んだり、みずから事業所を立ち上げたり、本を出版したりするなど、さまざまなハードルを乗り越えてプロジェクトを成功させてきたその行動力や意志の強さには脱帽しました。
この本を読んで、障がい者は「弱い」存在であり、彼らより優位な立場にあるわれわれ健常者(=強者)が助けてやらねばならない存在なのだと、思い込んでいたことに気がつきました。
著者が介助者を「教育する」というような表現があり、違和感を感じてしまったのですが、それはきっと、障がい者から「上から目線」で語られることを想定したことがなかったからだと思います。
健常者は、常に施す側の「上から目線」の立場だという固定観念が、おそらく今も自分にはあります。
しかし、そうではない考え方があることを知っただけでも、自分にとっては有益な読書体験になりました。
Posted by ブクログ
福祉について詳しくなかったので、当事者目線で書かれていて勉強になった。
特に「依存」の問題は、障害の有無に関わらず誰もが直面するものだと思うが、障害があるとより問題が深くなるなと感じた。
著者は、両親から離れて住む環境を整えてほどよい距離を取りつつ、依存先(信頼できる介助者)を複数作っているとのこと。とても参考になった。