あらすじ
「アラブの春」で言われた「民主化」や「自由」は、私たちが通常思い浮かべる「民主化」や「自由」とはまったく違っていた!
1歳になったばかりの娘を連れて、夫とともに「アラブの春」の只中にエジプトの首都カイロに降り立った著者。そこで体験した強烈な出来事、危険な事件の数々。
・運が悪ければ即死! 頭上からバルコニーが落ちてくる
・イスラム大物指導者から「おまえは全身恥だ」と言われる
・女性一人で街を歩けばセクハラの嵐
・異教徒は下級市民として人頭税を払わされる?
・エジプトのスラム街の悲惨な実態……
「アラブの春」の渦中、独裁政権が倒れたあとの波乱万丈の日々を、持ち前のタフなメンタリティで生き延びた日本人女性イスラム研究者の日常を描く、ノンフィクション・エッセイ。混乱の時代に出会った人たちと、いつかどこかの空の下で再会できますように!
【目次】
1 娘と親友とサラフィー運転手
2 ピラミッドを破壊せよ
3 頭上注意
4 バット餅
5 出エジプト
6 髪を隠す人、顔を隠す人
7 ファラオの呪い
8 エジプトのアルカイダ
9 牛の腹
10 ふたつの革命
私が住んでいた2011年から2015年にかけてのエジプトは、政治、経済、社会、治安の全てが不安定で、あらゆる面において混乱していました。治安がいい時期というのはあまりなく、悪い状態が恒常化しており、時には極めて悪くなりました。爆弾テロや銃撃、誘拐などが頻発する時期もありました。自宅の近所を含め、カイロ市内で毎日数回これらの事件が発生するようになると、私は被害にあうのを避けるために極力外出を控え、「家にいる」ようになりました。(本文より)
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「アラブの春」渦中を日本人女性で、イスラム研究者である著者の日常を描く、ノンフィクションエッセイ。
1 娘と親友とサラフィー運転手
娘さん中心に話が進んでいきます。
女性一人で街を歩けばセクハラの嵐。
だが、1歳の娘と歩けば風景は全然違う。
2 ピラミッドを破壊せよ
エジプト人イスラム教指導者の発言。
偶像崇拝は認めない。
髪の毛、肌を出した女性は「男を惑わす悪魔」だと。
3 頭上注意
ジハードで死んだら皆殉職者扱い。
空からバルコニーや角材が降ってくる。
エジプト観光地「白砂漠」では星が降るよう見に見えるとか。
4 バット餅
エジプトの食事情彼是。
やっぱり当時は日本食を楽しむことは困難で。
でも、知恵と工夫でなんとかこなす飯山氏。
マグロや鰻をも捌いてたとは!
5 出エジプト
2011年からの4年間の出来事。
エジプトから出て飛行機で1時間ほどでテルアビブ。
そこで自由を満喫する。
アラブ人に話しかけられ、うっかりアラビア語で返答。
1972年の日本赤軍の記憶がある空港で、捕まる。
何もしてない。ただ、日本人がアラビア語で話しただけ。
…テロリストと間違えられるという悲しさ。
これは、本当にその国をキチンと抑えてなければいけないポイント。
6 髪を隠す人、顔を隠す人
髪の毛と首を隠す派、全身を覆う派、顔まで隠す派。
色々あるのだなぁ…。
7 ファラオの呪い
「キャプテン翼」が「キャプテン・マジド」となってるのか。
ちょっと笑えるエピソードも添えて。
8 エジプトのアルカイダ
200頁の
「世界の多くの人たちにとって正義だと信じるものが同じではなく、平和の意味内容も異なるからこそ、世界から戦争はなくならないのです。」
は、まさにその通り。
9 牛の腹
スラム街での児童婚。
イスラム教の預言者のムハンマド…お相手、9〜10歳で結婚…
知ってしまった真実を見なかった事には出来ない。か。
10 ふたつの革命
2011年のアラブの春。
それから30年後に民主的選挙で選んだはずの大統領のデモ。
民主的に選ばれても民主的な政治はしない…
イスラム教の怖さ。
とにかく解りやすい。
エジプトとはどんな所なのか。風習なのか。
食事風景や、建築物、物騒な話てんこ盛り。
娘を抱えて奮闘する飯山氏の思い。
ショート仕立てで読みやすい上、笑えるお話沢山。
出来ることは何か、考えさせられるお話も沢山。
人頭税なんて言葉初めて聞いたし。
イスラム教の怖さ、忘れてはいけない。