【感想・ネタバレ】同志少女よ、敵を撃てのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいてとても苦しかった
何故読みはじめてしまったのだろう、と思いながら救いがあると思って読んだ
物語としてのカタルシスはあり、読後感は爽快ですらある
しかし爽快さを感じていいのか?という思いはそこに残る
同志少女が最後に撃ったのは、どんな敵?
顔の見えない匿名性の高い戦争の中で、唯一顔の見える兵種、狙撃兵
どうしてロシアだけは女性が実戦部隊にいたのか
それでも戦後、『戦争は女の顔をしていな』かったのか?戦争は何なのか
ただの善良な少女が、『優秀な兵士』になっていくさまがあまりにまざまざと活写されている
そしてその過程が理解できてしまう。そしてその過程を知らない人たちから畏怖される…彼女を置き去りにして

一人ひとりが普通にそのへんにいる人だ。敵の未亡人を愛して、しかし少年を囮にする。死ぬと思ったときには泣き叫び、裏切る。舞台に復帰すれば自己弁護の厚い皮をかぶる。
故郷の恋人が死んだものと思い任務に邁進し、生きているとわかると喜ぶがその彼女が80人を殺したと知るや恐怖し、普通に会話できると知ると一瞬復縁を考え、男の仲間を庇い、女を凌辱するならば死ぬさと気弱に笑い、戦勝祝に女を充てがわれて喜ぶ…

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家族や村の仲間たちを目の前で殺されたセラフィマが狙撃兵となり、戦争に駆り出される中での仲間との絆、破壊、死がとても生々しく描かれていて、そのリアルさに引き込まれた。
オリガが秘密警察組織の立場を隠して明るく優しい少女を演じていたことがすごく衝撃的だったし、セラフィマとミハイルの再会と昔のような関係には戻れない切なさが印象的だった。

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやー凄かった。
戦争モノは初めてで第二次世界大戦に関しても詳しく覚えていない私が読んでも読みやすく、面白かった。
セラフィマ、よく頑張った。
村を焼かれ母を焼かれ、復讐心を胸に必死で生き耐え抜いてきた。
イリーナは凄く厳しかったけど教官としては素晴らしい人だった。
生きたいか死にたいか、それ以外の道も用意してくれて居場所を失った少女たちを助けてくれた。
ミハイルの件はショックで、結局お前も周りに馴染むために合わせてしまうのか、結局そうなのかとショックだったのでセラフィマが撃ってくれて良かった。
どうして女性をモノのように扱うのか。
戦果として当然と思っている部下も、それすら許されないのかと憤る気持ちも理解できず、これだから男はと思わずにはいられない。
どの時代もどの国も同じなんだなと思う。
やはり自分を守るためには強くあらねばならない。
自分を自分で守れる強さと知識が必要で、敵を撃つとはそう言うことだと思った。
自分の大切なモノは人それぞれで、
ドイツから見たら大切な人を撃たれたから反逆。逆もしかり。戦争はだから繰り返されて終わらないのだなと悲しくなる。

出来る人は集中力が違う。いわゆるゾーンに入るというやつ?メリハリが出来ていて仕事の時は仕事のことだけ考えて精神集中できるひと。どの仕事でもそういうひとが成績が良く成果を上げられていると思った。ただ目の前の敵を撃つ。一箇所に留まらない。自分の能力を過信しない。かなり勉強になりハッとさせられた。
歴史について勉強したくなったし、知っていたらよりこの本は楽しめそうだなと思った。
うまく言語化できないけれど訴えかけてくるメッセージが強いなと思う。
デビュー作としては完成度が高く、読み応えもあり素晴らしい。
忘れてはいけない2つのもの。
愛するものと生きがいと。現代でもそれを手に入れられたら幸せに生きられるのだろうと思う。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦争の話だが『敵』は誰かを考えさせられる話。
重い内容と読破後の満足感がたまらない。

同郷の幼馴染を撃ったシーンが1番衝撃的だった。
独ソ戦であるが敵でありながら愛し合う人もいれば憎しみ合う人もいる。
女性の差別についても考えさせられた。
戦争は人と関わる人の人生を変えてしまう。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第二次世界大戦の教養は私にはありませんが、それでも夢中に読むことが出来ました。実際にも女性狙撃手がいたという事には驚きました。いつの時代の戦争も、どの国であっても、戦う理由は、誰かを守りたいという事なのかなと切なくなりつつ、読み終えました。戦友の死、バロンの死はとてもつらかったですが、読んでよかったと思える作品でした。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第二次世界大戦の独ソ戦を舞台に、実在したソ連の女性スナイパー部隊を描いた傑作です。

デビュー作とは思えない重厚さとスピード感を併せ持つ作品で、2022年の本屋大賞など数々の賞を受賞されています。

生まれ故郷の村がドイツ兵に襲われ、全員虐殺され、復讐を果たすために狙撃兵になる主人公セラフィマ。
争の残虐さ、悲惨さ、敵国の女性への暴行など
目を覆うばかりだが
主人公が狙撃兵として研ぎ澄まされていくと同時に殺すことに慣れていく過程も悲しく、恐ろしい。

最後のケーニヒスベルク戦は息もつかせぬ衝撃の展開。一気に読んでしまった。
何も知らない状態で、もう一度ゆっくり読みたい。

ユリアンという少年狙撃兵の死
家から離れなかったマクシム隊長、
ドイツ人捕虜が本当はサッカー選手になりたかった話、
敵国ドイツ兵を愛したサンドラ、
勝利を得た後に敵の女を襲うのをご褒美と考える兵士たち。その最前列に主人公の幼馴染がいたこと。しかしその幼馴染は優秀で部下に優しい上官であったこと。
全てが悲しい。。戦争さえなければ。

戦後の話がとても穏やかで、ホッとしたが
現実にはロシアはウクライナと戦争をしている。
ロシアの人たちは今何を思って戦っているのか。

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2024年04月24日

匿名

ネタバレ

人間の本質

はじめに手に取って読み始めるまではページ数と内容の重さに躊躇していたが、いざ読み始めるとページをめくる手が止まらない。開始10ページで主人公の母親が死ぬという、何ともインパクトの強い始まり方。戦争の残酷さだけでなく、その中で女性として生きていくことの難しさや狙撃手となってセラフィマに訪れる心身の変化がつぶさに描かれている。そして、他の女性狙撃手たちと接していく中でその先にセラフィマが見つける戦う意味とは。一度読むと何度も読みたくなる、最高の良書。

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2024年04月03日

ネタバレ 購入済み

何のために戦うのか

長い長い物語でしたが、時に息を止めて一気に読みました。
ロシア/ソヴィエトの第二次世界大戦、女性兵士、狙撃兵、何より多くの死者たちにあった日常や心情が映画を観るように脳内でに映し出されました。折しも同じような状況が毎日のようにTVニュースで流れ、何故歴史は繰り返されるのか、戦争は止められないのか、との想いが去来しています。

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2022年08月05日

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あなたの敵をうて。

セラフィマは故郷と家族を失い、イリーナに狙撃兵として教育を受けた。敵であるドイツ兵「フリッツ」ハンス・イェーガーを殺すため。そして、母の遺体と家を焼いたイリーナを殺すため。彼女は共に訓練を受けた同志たちと狙撃兵旅団第三九独立小隊として戦場に身を投じる。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』を思わせる小説。『戦争は〜』は一兵士として戦った女性たちの証言集であったが、こちらは狙撃兵の1人に焦点を当てたフィクションである。敵であるハンス・イェーガーに復讐を果たそうとするセラフィマの戦いでラストを一気に読ませるのは、フィクションだからこそできるカタルシスがそこにあるからだ。しかしそこには同時に痛みもある。虚しさもある。

「敵」は「てき」とも読むし「かたき」とも読む。「敵を撃て」というタイトル、そしてセラフィマが執着するのは「敵討ち」である。憎悪を生きるエネルギーにして一心に戦ってきたセラフィマが最後のシーンで撃ったのは彼女の守りたい者「女性たち」の「敵」だった。

ソ連の敵はドイツだった。市民でもあった。子どもでもあった。男性でもあり、女性でもあった。敵の命を奪って、味方を失って、セラフィマが学んだことは生き方だった。生き方は選べる。そして失われた命は戻ってこない。

戦争中でも許されない罪がある。しかし戦わないといけないときがある。だから自分の道を選ぶのだ。敵を撃つ。守りたいものを守る。そして戦後、語るのだ。選んだ自分の生き方を。そこには敵も恨みもない。そこで戦争が終わる。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デビュー作でこの重厚な完成度…作者は恐ろしいほど天才だなと思った。

タイトルの「同志少女よ、敵を撃て」が現れた部分で、涙が出た。
地獄の中にいるような残酷な世界、必死に逡巡する気持ちのあり方、あの場面で彼を撃ったセラフィマを思うと…気付いたら落ちていた。このタイトルはそういうことだったんだって。

「戦争は女の顔をしていない」そうだよねと思った。
どんな犯罪者も悪人も、自分のことを"悪人"だとは思っていないというけど、まさにその通りで進んでいく。
みんなが他責思考で残虐を極めていく。

何かが悪だから私は正しい。あっちが非道だから仕方ない。みんながしていたから自分もする。
戦時下ほど酷くなくても、こういった心理って今でも人間にあるよなと思う。
例えば、敵側の女性に乱暴することを楽しんで、仲間意識が強まるとか女性じゃなくても憤るような思想だけど、今でも同じ部活の学生複数人で乱暴したとか、集団で自衛官にセクハラとか、あるよね、、あっあるじゃん。今もあるじゃん。
そして、その被害者側を責めるような言葉を向ける人たちも、いるじゃん。戦時下でもない現代の日本で、いるじゃんって思ったら怖くなった。
輪の外側に立って、見つめ直してみて欲しい。私も輪の外側に立つことを忘れないようにしないと。誰も傷付けない生き方なんて不可能だろうけど…。

絶対的な正義はないから、常に自分の正義を疑うことは大切だなと改めて思ったし、みんなが自分の正義なんて考えてる余裕がないような状態に追い込まれる"戦争"ってのは、本当になくなって欲しいと改めて思った。

小説を読んだだけで理解したとは到底言えないけど、「戦争がどう人の心を壊すのか」をすごく丁寧に描いていると思う。

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2024年05月25日

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