【感想・ネタバレ】アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのかのレビュー

あらすじ

野沢雅子、小原乃梨子、田中真弓、緒方恵美、高山みなみ……。アニメの少年を女性の声優が演じることに、違和感はまったく感じない。しかしこれは、ディズニーアニメで少年を子どもが演じるのとは対照的な、日本アニメの特徴だ。こうした配役はどのようにして生まれ、アニメ文化に何をもたらしてきたのだろうか。

少年を演じる女性声優を軸にアニメと声優の歴史をたどり、日本が独自に育んできたアニメと声の文化を描き出す。子役起用が難しいという制約から始まった少年に女性声優をあてる配役は、魔法少女もの、アイドルアニメ、萌えアニメ、BLなどのアニメの変遷とともに実に多様な広がりを見せている。性も年齢も超えて恋愛対象としての「イケボ」の青年まで演じる女性声優は、外見とキャラクターとの差異やジェンダーのズレから、視聴者に独特の欲望を喚起している。

みんなに愛される少年から女性が恋する青年までの女性声優を切り口に、アニメと声優のメディア史を考察する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

緒方恵美さんのご自伝を読んでから、こちらも気になって読んだ。
硬いっちゃ硬い本で、緒方さんに直接関連する部分は思ったより少なかったけれど、声優の長い歴史のなかで緒方さんが果たした役割が掴めたような気がする。やっぱりすごい方だ。

永井一郎さんが声優に対する偏見と闘ってきたこと、舞台もアニメも演じることには変わらないと力強い永井さんの言葉にも感動。もう一回『母をたずねて三千里』を見たくなった。

0
2021年05月08日

Posted by ブクログ

どんなことにも、それが生まれた歴史がある。女性声優が少年キャラを演じるのは、日本でアニメを見てきた者にとっては当たり前のことだけど、もしなにかが違ってたら、当たり前ではなかったのかもしれないな。

0
2021年01月18日

Posted by ブクログ

丸の部分はポップガード。
昔は洋画の吹き替えが生放送だった。

プレスコでは声優の声の質やセリフのニュアンスが絵に生かされている。
アフレコは仕上がった絵に声優が従う、、、アニメーターが描く原画や動画から生まれる視覚的、作画的要素(造形、表情、動き)に声優の演技が微細なレベルで同期することが求められる。

アニメを構成する視覚的、聴覚的表現の双方を刺激してきた。

0
2025年04月14日

Posted by ブクログ

 女性声優が少年役を演じるという現象は占領期のラジオドラマにまでさかのぼることができた。

 当初の理由は子役を扱うにおいての経済的倫理的理由が大であったが、時を経るに従い、女性声優は単に少年にとどまらず、青年・成人男性をも演じるようになり、アニメにおいてキャラクターのデータベース化が進むと、両性具有的な役までが熱狂的な人気をもって受け入れられるようになった。

 このように女性声優はアニメを中心に様々な領域においてジェンダー越境的な新しい物語世界を創出している。

 本書は上述のように女性声優が少年役を演じるというこのについての考察を中心に、戦後から現在に至るまでの「声優」というアーティストについて、アニメ研究やメディア史の観点で記述したものである。

0
2021年03月15日

「雑学・エンタメ」ランキング