あらすじ
にゃー様、僕に会ってみたいと思いますか?
「ぴんぽーん!」
チャイムの代わりに甲高い声が響き輪久はベッドから跳ね起きる。聞き覚えのある声。玄関の鍵をがちゃがちゃと開く音。
「あ、兄様」
別居しているはずの妹の顔。輪玖は慌ててノートパソコンを胸に抱きかかえる。
「お前は何がしたいの?」
「兄様のお部屋チェックですが」
「だからなんのために」
「知っておきたいじゃないですか、だって兄様とは今日から一緒に暮らすのですから」
片親である父・樽人氏の居ぬ間の、突然の妹の来訪。にゃー様との関係を秘密にするため、輪久はパソコンを死守し続ける。そして、妹の目を盗んで、今夜も絶対女王にチャット・イン!
「おはようございます☆」
──デートの待ち合わせみたいですね。
「ふふふ、じゃあらぶらぶデートしちゃいましょう」
奴隷の輪玖はにゃー様に囁きかける。
僕にはにゃー様がいればいいんです。三次元はみんな嫌いです。イミテーションの結華。イミテーションの妹。イミテートすらできない香苗。みんなくすんだ肌色をしています。ただにゃー様の声だけがきらきらと光っています……
絶対女王の宮殿に迷いこんだ少年の顛末やいかに?
※※この作品は廉価版です。廉価版にはイラストが入りません。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
シリーズ完了。にゃー様は誰だったのか、なぜこんなことになったかなどすべてが明らかになった。
途中、カナエ(=輪玖)の信奉者であった草食さんが死ぬかもしれないという事件があり、リアルで逢いに行くシーンがあるのだが、正直私なんかは、こんな奴ほっとけばいいと思った。正直それまでネットでなにかになりすましていた彼が起こした行動に何か唐突感すらあり、違和感を感じていた。しかし、最後まで読み終わった今ではこの行動を起こせる輪玖でなければ、このエンディングは迎えられなかったと思う。
2巻ではエロティックな演出が目立ったシリーズだが同じことを安易に繰り返すようなことはなく3巻まで飽きさせない濃厚な内容だった。身勝手な大人(親)があふれる現代において強さと弱さの間に揺れ動く少年少女を独自の視点で描いていて大変おもしろかった。