【感想・ネタバレ】ここに物語がのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年01月12日

梨木香歩さんが読んできた本。
あらゆる分野にわたっての読書。
こんなに深く深く掘り下げて読んでいることに圧倒された。選り好みせず読書するのは難しいから、私が読まないような本のことも知れてよかった。
佐藤さとる著「だれも知らない小さな国」や、村岡花子訳「アンのゆりかご」は私も大好きな本だった。梨木さん...続きを読むが、「幼い頃からの愛読書がある、と言うのは幸福なことだと思う。」と書かれているように、再読するとその頃の自分に戻れる。そして、また新たな気持ちがわいてきたりと何度でも味わえる、ということに気づかされて、何だか嬉しくなった。たまには、好きだった本を読み返してみようと思った。

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Posted by ブクログ 2023年03月07日

確か産後の休暇中だったからもう7年近く前だと思う。梨木さんのエッセイを読んで、衝撃を受けた。こんなにも世界のいろんなことに日々考えを巡らして、それを文章にしている人がいるんだと。そんなに卑下する必要はないのに、「私なんか何も考えてないな。ぼーと生きてるな。」となぜか落ち込んだ。あんなに衝撃的だったの...続きを読むに、そのエッセイがどれだったのか思い出せないところが、また甚だ悲しいのだけれど・・・。本書は、このことを強く思い出させたエッセイだった。梨木さんの思考のよりどころとなっているであろう本や物語について書いたものを集めたもの。別の媒体に掲載された短めのエッセイを集めたものという感じ。

本書で紹介されているものは知らないものばかりで、こういった読み物が梨木さんの精神的な血肉となり、作品に顕れてくるんだろうな~と、さらに梨木さんを雲の上の存在のように感じてしまった。

ガルシア・マルケスの「百年の孤独」は、梨木香歩さんの愛読書のひとつと知った時から「いつかは読もう」と思っていたけれど、今回ちょっと内容に触れて、無理、と思った(笑)素晴らしい作品なんだろうけど、読みきる自信がない。

本書では戦争のこと、アナグマのこと、チェルノブイリのこと、そしてコロナ禍についてなど、様々な資料からの梨木さんの思考が書かれているけれど、特に印象に残ったのは、「ハンセン病と自由について」。大変重要なことを知った、知って良かったと思った。
かつてハンセン病患者のための隔離施設があったことはおぼろげながら知っていた。そして、それが実は不要なものであったという事実もなんとなく・・・
しかし、恥ずかしながら、それらがナチスのゲットーなどと並ぶ「強制収容所」であったということは知らなかった。国立療養所長島愛生園の園長であった光田医師の業績は、本当のところは、そういうことだったのか。かなりの衝撃だった。そして、神谷美恵子は光田医師の熱心な信望者だったのか。「生きがいについて」を読んでいただけに、表面的なことしか知らなかったことに驚愕するとともに無知って怖いとひしひしと感じた。
そして、「自分で考える」ことの重要さをいまいちど考えた。
たとえ初めは知識が少なくて自分で考える自信がなくても考えないといけないんだと思う。右にならえ、上の人の言う通りに、ではダメなんだと。もし、それで間違っていたら、自分の考えを修正していけばいい。とにかく自分で考えること。頭を使うこと。個々が以前よりも重視される今、そうやって十人十色の考えがあれば、こんな強制収容所的なものや戦争のような間違いは起こらないんじゃないかと考えてしまう。安直に考えすぎだろうか。
でも、その思いに手を差し伸べてくれそうな、この章の終わりを、ちょっと長いけれど引用しておきたい。
「・・・私たちは確かに、一時的に激した感情に思考まで影響を受け、飲み込まれやすい傾向がある。自身で考えることを放棄するところから始まり、極端に奔れば自分の「激情」に後付けで論理の匂いのするものを与えていくーこれは恐るべき「短絡」であり、知性の「機能停止」状態ともいえる。この短絡は学歴や教養の多寡には関係ない。知性の代名詞のような人間にも、気を付けていなければ起こりうる。個を放棄して、一つに纏まりたい欲求を、他の民族より強く持っているのかもしれない。それが結局、自分たちの「自由」の首を絞めていくような結果になるということを、深く考えなければいけない時が来たのだと思う。
ほんとうに人間全体のため、そして個々の人間にとってそれが正しいことなのか、冷静に考え抜くことー評論家ではない、学者でも文学者でもない、私たちそれぞれが、いままさにそれをしなければいけない時代に生きているのだ」

少し難解に感じたところもあったけれど、思慮深いこのエッセイ集は、「自分の頭で考える」ことの大切さを再認識させてくれた。

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Posted by ブクログ 2022年05月08日

著者のお気に入りだったり手掛けた書評などが、伝えたい本として紹介したい本として今ここでの話題作としてなどたくさん紹介されている。すでに読んでいる本で有ればなるほどと思ったりこういう視点もあるのかと考えさせらたり、未読のものはさっそく読みたくなったりとメモ片手に楽しい読書だった。

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Posted by ブクログ 2022年04月26日

面白かった。書評ってただの読書感想文じゃないんだ。実際の本を読むよりわかりやすいんじゃないの?何冊か気になるから読んでみよう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月11日

梨木さんが雑誌等で書いた書評・解説の類をまとめた本。2000年以降のものを集めてあるようだ。いろいろ読んでらっしゃるが、小説よりずっとノンフィクションが多いのがちょっと意外に感じる。

「読書の不思議な力の一つは、生身の自分は決してその場に居合わせるわけがないのに、内側のどこか奥深く、その場を『生き...続きを読むている』確かな感覚が逃れようもなく生じることだ」
幼少からかなり本を読んでいらっしゃったという話は前にエッセイでも読んだことがあるけど、「罪と罰」も小学生で読んだというからすごい。本に、作者に、登場人物に、すっと近づいて行ってぴったり寄り添うような、深く潜り込もうとするような梨木さんの姿勢。同情し、憤り、ともに楽しんで……とてもエネルギーを使う読み方だろう。「こころ」の話の洞察力はさすがだ。

哨戒されているのは私自身はほとんど読んだことがない本ばかりで、片山廣子の「新編 燈火節」やアリソン・アトリーの本、アナグマの本など、読んでみたくなるものがちょくちょく出ててきてわくわくする。特に片山廣子は前にエッセイを読んで素敵だったので、詳しく人となりなど書かれていて嬉しかった。まだ読みたい本がたくさんあって、人生がとても足りない……。

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Posted by ブクログ 2022年01月25日

書評などを集めたエッセイ集。

梨木さんの幅広く膨大な読書遍歴に圧倒されつつ、不意に好きな作家が言及されていて嬉しくなる。

この人の書くものは信頼できるなあ、という思いを改めて強くしました。
というのも、全ての著作を読んだわけではありませんが、梨木さんの小説から得た言葉が、自分の中でハーケンのよう...続きを読むになってくれているからです。
本書で彼女が読んだものの一部を知ることで、あの言葉はこういう本や体験から創られたんだなあと、その一端を垣間見ることができたような気がします。
興味関心の幅が広く、そして自然や人など、生き物の観察が本当に上手い方だなあと思いました。

それにしても、小学生で『罪と罰』を読まれたって、凄い。私は未だに読めてません…。

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Posted by ブクログ 2021年12月04日

小学生でドストエフスキーの罪と罰を読めたのか…すごいなぁ。アラサーなわたしもまだ読む気になれないのに…
結構読んでる方だと思ってたけど、梨木さんのこの一冊で紹介されてるものほとんど知らなかった。まだまだすぎるなー

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