あらすじ
木枯らしの吹く街で、突然、目に激痛が走った長瀬は、往来で身動きがとれなくなってしまう。立ち止まる長瀬に救いの手を差し伸べてくれたのは、眼科医の深見だ。勤務する病院まで長瀬を誘導し、てきぱき治療してくれた深見。この出会いが、のちに長瀬を天国と地獄の両方へ突き落とすことになろうとは、この時の彼は思いもしなかった。そして、運命は二人を再会させ……。
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Posted by ブクログ
木枯らしの吹くある日、長瀬は突然、目に激痛が走った。
交差点の真ん中だというのに動くこともできず、痛みに耐えることしかできない長瀬。
そんな長瀬に救いの手を差し伸べてくれた人がいた。
突然、有無を言わせず連れ込まれた先は病院の診察室。彼・深見は、眼科医だったのだ。
けれど長瀬は、治療を終えてからその病院の名前を聞くと真っ青になって飛び出して行った。
実は長瀬は眼鏡士という資格を持ち、眼鏡店に勤めているのだが、長瀬の職場には破ってはいけない絶対の掟があり、「プライベートでも眼鏡着用必須」というものであった。
それを破ってしまうと、最悪クビになることもあるその掟を破り、コンタクトレンズで街を歩いていたことがばれてしまうと一大事。
いくら専門資格とはいえ、国家資格でもなく、また必須でもない資格であるため、眼鏡士の就職口は少ない。
おまけに間の悪いことに、深見につれてこられた病院は長瀬の勤める眼鏡店の取引先であった。
自分の身元がばれて、眼鏡をかけずにいたことが職場に知られてしまってはまずいと思った長瀬は早々に病院を後にする。
ところが運の悪いことは重なるもので、長瀬の職場の上司が急遽入院することになり、長瀬が深見の病院を担当することになった。
長瀬が職を失う覚悟で病院を訪ねると、そこにはやはり深見の姿はあったものの、深見は長瀬のことなど覚えていないようであった。
それはそれで、容姿に絶対の自信を持っていた長瀬はひどく落ち込むのだが、自分の容姿に気を留めなかったものはいなかったため、そんな深見に長瀬は興味を覚える。
実は深見には、幼少期の出来事から「人の顔が覚えられない」という欠点があって――
という感じの話でした。
実はこれ話が二つあって。
雑誌に掲載した表題作と、そうではないその後の話「永遠の片思い」が入っています。
個人的には、一つ目の話よりも、二つ目の話の方が好きで。
それは、魅力的なライバルが現れて二人の仲を引っ掻き回すから――という要素がとても大きいです。
本当だったら、一つ目の話のくっつく前に彼に出てきていただいて、思う存分引っ掻き回してくれた方がより私好みの話になるような気がしましたが、多分、雑誌に載せた分なので、ページ数の都合とかいろいろあったんじゃないかなー……という大人の勘繰りをしながら。
割とベタで読みやすい話なので、すっきりベタがお好きな方にはオススメします。