あらすじ
季節はめぐり、僕、坂木司と鳥井真一の間にもゆっくりと変化の兆しは訪れていた。ひそやかだが確実な羽ばたきの予感、それが僕を不安にさせる。鳥井がひどい風邪をこじらせたある日、僕は同僚の吉成哲夫から、同期の女性の様子がおかしいと相談される。病気の鳥井に代わって慣れない探偵役をつとめることになった僕は・・・・・・。また、木工教室を開くようになった木村栄三郎さんのもとで出会った男性、そして地下鉄の駅構内で見掛けた少年が抱える悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解くのか――。坂木と鳥井に加わる、新たな仲間と風。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。
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Posted by ブクログ
ひきこもり探偵シリーズ第二弾。「誰にもなつかない動物のオンリーワンであることを、杖にしてすがっているのか?」鳥井も坂木も救われないと思ってたことを滝本が言ってくれた。少しずつ関わる人も増えてきて状況がかわるだろうか?「目の前に相手がいなくても、その人のことを思いやったときから友達なんだよ」おばあちゃんの言葉も心に響いた。「困ってる相手に伝えればいいんだよ。」ひとりじゃない。そう教えてあげること。同じ時間を生きている人々。その人たちすべてが、どうぞ幸福な一瞬を誰かと分かち合うことが出来ますように。沁みる。
Posted by ブクログ
目次
・野生のチェシャ・キャット
・銀河鉄道を待ちながら
・カキの中のサンタクロース
三部作の最初と最後を読んだのは10年以上前。
で、残っていた真ん中を読んだのですが…人間関係忘れてる。
もちろん鳥井と坂木の関係は覚えている。
最終的にどうなったのかも含めて。
けど、これは真ん中なので、どうにも宙ぶらりんなのよね、坂木の覚悟が。
坂木がいないとすべての人間関係を拒否して家から一歩も出ない鳥井。
そして自分が鳥井の唯一の世間との窓口であることに自身の存在意義を置く坂木。
この関係は歪である。
少なくとも坂木はそれをわかっていながら、鳥井の手を離す勇気が持てない。
だけど、誰かの一生をずっと保護するなんてできない。
それは親にだって出来ないことなのだ。
これらの作品で鳥井と坂木が出会った人たちがまた、彼らの世界を大きくしてくれる。
そしてそれが、二人の関係をも変えていく、その途中の話なのだった。
Posted by ブクログ
ゲームは2作目以降低迷しはじめるけど、連作推理小説は2作目からノリがこなれてくる!なんて微妙な持論。
登場人物らの成長がかいま見られるからかなぁ。
相変わらず湿度は高めだけれど、救われる事も多かったから読んでいて鬱々とせずに済みました。
やっぱりあれです。木村のじーちゃんは最高なのです!
Posted by ブクログ
鳥井真一
ひきこもり気味の外出嫌いで、ときおり精神が不安定になる。
坂木司
外資系の保険会社に勤める。鳥井とは中学生のときに出会う。
吉成哲夫
坂木の同僚。がっちりとした体格に、短く刈り込んだ髪型がいかにも体育会系に見える男。
佐久間恭子
すらりと背の高い、知的美人。坂木の同期。
滝本孝二
鳥井・坂木と高校で同じクラス。警察官。
小宮弘幸
滝本の後輩。警察官。児童心理学をかじっている。
巣田香織
百貨店勤務。美人。男嫌い。
木村栄三郎
坂木の契約者。カルチャースクールで木工教室の先生をしている。
鳥井誠一
鳥井の父親。商社マンでバンクーバーに住んでいる。
塚田基
視覚障害者。安藤とバイクに乗っているときの交通事故により光を失った。
安藤純
石川助六という芸名の歌舞伎役者。
下島昭
地下鉄の駅員。塚田が一人で地下鉄に乗れるようになるまで面倒をみた。
土屋隆介
栄三郎の生徒。
斎藤
下島の同僚。
寺田結美
滝本の紹介で鳥井たちが知り合った土産菓子の送り主。バイク乗り。事件に巻き込まれ、電車に乗れない。
マリオ・佐藤
檜山利明
地下鉄で風船を持って立っていた。親の仕事の都合で転勤を繰り返す。
佐藤隆之
マリオの父。エル・ボルカン。
土屋登
隆介の息子。檜山との仲はよくなかった。
矢崎明日香
坂木を襲撃した女子高生。佐久間を「お姉ちゃん」と呼ぶ。ユカ、トモと称する2人の友人がいる。
Posted by ブクログ
安定の(?)不安定な2人で、そわそわしながら読み進めてしまう。
自分に危害を加えられても「気持ちはわかるよ」で許してしまう坂木や周りの優しすぎる人の態度に、「それでいいのか?」ともやっとしたけど、栄三郎さんがガツンと喝を入れてくれたのでスッキリ。
他人の子どもの頭をゲンコツで殴るのは、今どき暴力事件にもとられそうだけど、子どもをしっかりと叱ってくれる親以外の大人がいてもいいじゃないか。
利明くんや矢崎さんは、叱られた上で、やり直す機会を与えられた、恵まれた子たちだと思う。
鳥井と坂木の交友関係が広がっていくのも良い傾向。不安定な2人のバランスを取るように、違う良さを持った人たちが集まる。それがこのシリーズの魅力の一つでもある。