あらすじ
気候問題への対応が“経済”の主導権を左右する!
技術・企業から政治力学まで、何がどう変わるのか?
正しく理解するための最先端の状況を整理・解説する。
「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」ことを宣言した日本。カーボンニュートラルが国際的に注目されるのは、地球温暖化への対応が喫緊の課題であることに加え、その実現への挑戦が、社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出すチャンスにつながると期待されるからだ。いまや120以上の国と地域が「カーボンニュートラル」を目標に動き始め、国際的な潮流が加速している。しかし現実には、技術面はもとより、国益をめぐる国家間の政治的問題、社会の変革など、決して明るい未来を展望できる状況にないことも事実。
本書は、カーボンニュートラルという、もうひとつのそして最も注目すべき「新しい日常」の全体像をザックリと把握し、現在何が起こっているのか、課題は何か、2050年に向けて今後どのようなことが起こり得るのか、ビジネスにはどのような影響があるのかを、これまでの脱炭素政策の動向も踏まえ理解できるようにすることを目指すもの。
著者は、海外での再エネ発電投資・事業運営、排出権取引などに関わる経産省、環境省のFSに多数関与するほか、国内企業向けに関連のコンサルティングサービスを提供している。
【目次】
第1章 カーボンニュートラルとは何か
第2章 日本におけるカーボンニュートラルの論点
第3章 2030年の現実解と2050年への展望
第4章 脱炭素経営
第5章 テクノロジーによるイノベーション
第6章 投資とファイナンスの進化
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Posted by ブクログ
地球温暖化問題の国際協調は、囚人のジレンマで説明できる。各国が合理的選択をした結果(ナッシュ均衡)が地球全体にとってパレード最適にならないため、世界的なジレンマになっている。
パリ協定の長期目標はゴールである。ターゲットではないので、最善を尽くして取り組めばよい。努力目標。
ライフサイクルアセスメント(LCA)=製品が商品寿命を持つ間の生涯にわたる環境影響評価。
エネルギーのグリーン化だけでよいか。
二本は平地面積が狭いため、ドイツより太陽光発電は導入済みで、これ以上の拡大は難しい。
FITからFIP(市場連動型)へ制度が変わる。
風力発電は、年平均設備利用率は35%程度。夏場は20%。北海地域は55%程度ある。
製造業の電力消費は2割ほど。熱利用のほうが多い。
電気料金はコストが2倍以上に上昇する。
スイスの国民投票では、ガソリン増税などが否決された。地球全体に対する寄与率が少ないため、費用対効果が疑問視されたから。
人間の排出量が突出して多い。少子高齢化で減る可能性がある。
電動車は、LCA全体で見ると、バッテリー製造時の排出量が多いため、必ずしも有利とは限らない。
技術の選択肢を増やすこと。最初からガソリンやディーゼルを禁止しないこと。
電炉は高炉に比べて、CO2排出量は1/4。しかし原料の鉄スクラップの確保が難しい。高級鋼を製造することが難しい。
GX(グリーントランスフォーメーション)
ポーター仮説=環境規制が技術革新を誘発し、先んじて導入した国の企業のほうが競争優位を獲得する。反論も多い。
次世代原子力SMR=小型モジュール。一機当たり30~60mW。構造が単純。